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**最強!? モンスター×マスターズ  【モンマス】 Gランク落ちこぼれから始まる、 世界最強の相棒育成譚**  作者: 心瑛タケハル


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第127話 なんか最近、調子いい

中央都市近くの草原。


タケルは、モンマスを前へ掲げた。


「アクセス! ルー!」


黒い光が弾ける。


「ワフ!」


ルーが地面に降り立った。


続けて、タケルはもう一度叫ぶ。


「アクセス! モチ!」


白い光が、ぷるんと弾けた。


「ぷるん!」


モチが、ルーの横に並ぶ。


二匹が同時にいる。


それだけで、タケルの胸は少し熱くなった。


「おお……」

「ほんとに出せた……!」


サクラが目を輝かせる。


「できてる!」

「ちゃんと二匹並んでる!」


ルーとモチが、

得意げに並ぶ。


アキラも、腕を組んだまま静かに頷いた。


「これが、タケルのレベル5の同時召喚か」


タケルは、思わず笑う。


「そんな大袈裟な」


頭をかきながら、

でも少し嬉しそうに言う。


「でもさ」


一拍。


「今なら、何でもできそうな気がする!」


「出た」

サクラが呆れた顔をする。

「すぐ調子乗るやつ」


「いや、でも今回は仕方ないだろ!」

タケルは胸を張る。

「苦労して手に入れた」

「レベル5だよ? 二体同時だよ?」


ルーが、得意げに吠える。


「ワフ!」


モチも、ぷるんと跳ねる。


「ぷるん!」


その様子を見ていた近くの冒険者たちが、

ざわざわとこちらを見る。


「おい、見たか?」

「あんな小さい子が」

「二体同時召喚してるぞ」


「しかも……」


「スライムと……犬?」

「いや、あの犬、ただの犬じゃないだろ」


「それより、あのスライム」

「動き、変じゃないか?」


タケルの耳に、その声が届く。


悪口ではない。


驚き。


興味。


少しだけ、警戒。


タケルは、さらに胸を張った。


「ふふん」


「鼻伸びてる」

サクラが言う。


「伸びてねぇよ!」


その時だった。


少し年上の冒険者が二人、タケルたちの前に立った。


一人は赤いバンダナを巻いた少年。


もう一人は、細身で素早そうな少年。


赤いバンダナの少年が笑う。


「なあ」

「ちょっと勝負しないか?」


「勝負?」


タケルが聞き返す。


「二体同時召喚、俺たちまだ出来ないんだ」

「モンマス5って、実際どれくらい違うのか」

「試してみたい」


細身の少年も頷く。


「別に本気で潰す気はないよ」

「軽い模擬戦」


サクラが少し心配そうにタケルを見る。


「どうする?」


タケルは、ルーとモチを見る。


ルーは尻尾を振っている。


モチも、ぷるんと揺れている。


怖がってはいない。


むしろ、やる気だ。


タケルは笑った。


「いいぜ」

「今の俺たち、ちょっと強いからな」


「ほんと調子乗ってる……」


サクラが頭を抱えた。


アキラは静かに言う。


「まあ、見る価値はある」


「アキラまで!?」


赤いバンダナの少年がモンマスを構える。


「じゃあ、こっちはこいつだ」


「アクセス! フレアラット!」


炎のような尻尾を持つ小型ミラモンが現れる。


細身の少年も続く。


「アクセス! スピンホーク!」


小さな風をまとった鳥型ミラモンが、

空中でくるりと回った。


――ピッ。


【模擬戦フィールド:展開】


草原に淡い光の円が広がる。


タケルは息を吸う。


「ルー」

「モチ」


二匹が前に出る。


「行くぞ!」


――ピッ。


【BATTLE START】


フレアラットが地面を蹴った。


火の尾を引きながら、

一直線にルーへ突っ込んでくる。


同時に、スピンホークが上空から風の刃を飛ばした。


「速い!」


サクラが声を上げる。


タケルはモンマスを見る。


画面が、一瞬光った。


【同調率:53%】

【連携値:51%】

【簡易リンク:接続中】


「表示、増えてる……!」


サクラが目を丸くする。


アキラの目も鋭くなる。


「レベル5で、リンク表示が開いたのか」


タケルは、画面から目を離す。


「モチ!」

「ルーの足元!」


モチが、ぷるんと跳ねた。


体が薄く伸びる。


地面に、ぷにっとした白い足場ができた。


ルーがその上を踏む。


――ぽんっ!


一気に加速した。


「ワフ!」


ルーはフレアラットの突進を横へかわし、

そのまま空中へ跳ねる。


「なっ!?」


赤いバンダナの少年が驚く。


スピンホークが風の刃を放つ。


「ルー、下!」


ルーが体をひねる。


だが、風の刃が速い。


その瞬間。


モチが、ぽよんと跳ね上がった。


風の刃を、体で受け止める。


ぷるるん。


衝撃を吸収し、

そのまま風を横へ逃がした。


「スライムが、受けた!?」


「いや、ただ受けただけじゃない」

アキラが低く言う。

「風の向きをずらしてる」


タケルは叫ぶ。


「今だ、ルー!」


ルーが空中から一気に落ちる。


「ワフ!」


フレアラットの前に着地。


そのまま横へすり抜け、

背後を取った。


フレアラットが振り返ろうとする。


けれど。


足元に、モチがいた。


ぷるん。


フレアラットの足が、ほんの少し沈む。


「えっ?」


動きが止まる。


その一瞬で、ルーが前足を軽く当てた。


――ピコン。


【HIT】


スピンホークが上空から降りてくる。


細身の少年が叫ぶ。


「スピンホーク!」

「風巻き!」


風が渦を巻く。


ルーの動きが鈍る。


「ルー!」


タケルが声を上げる。


だが、モチが先に動いた。


ぷるん。


体を丸くし、

風の渦の中へ転がる。


「モチ!?」


風に巻かれて、

モチの体がぐるぐる回る。


だが。


その回転を使って、

モチは勢いよく跳ねた。


ぽよんっ!


風の中から飛び出し、

スピンホークの進路をふさぐ。


「ぷるん!」


スピンホークが驚いて軌道を変える。


そこへ。


ルーが走り込んだ。


「ルー!」

「決めろ!」


「ワフ!」


ルーの爪先に、

淡い蒼光が宿る。


モチが地面で跳ねた。


ルーの足元に、

もう一度白い足場。


――ぽんっ!


ルーが加速する。


蒼い残光が、

一直線に草原を裂いた。


「なっ――!?」


スピンホークの横を、

一瞬で駆け抜ける。


次の瞬間。


――ピコン。


【WIN】


【勝者:タケル】


一瞬、草原が静かになる。


それから。


「……まじか」


赤いバンダナの少年が呟いた。


「スライムと犬で」

「今の連携するのかよ」


細身の少年も、笑うしかないという顔をした。


「見たことない」

「普通に強いじゃん」


一拍。


「……こんな強いスライム、初めて見た」


タケルは、拳を握った。


「よっしゃ!」


ルーが走って戻ってくる。


「ワフ!」


モチも、ぷるんぷるん跳ねる。


「ぷるん!」


タケルは二匹を見る。


「すげぇぞ、お前ら!」

「今の、めちゃくちゃ噛み合ってた!」


サクラが笑う。


「うん」

「前より、ちゃんとコンビになってる」


アキラも、少しだけ口元を緩めた。


「普通に強いんじゃないか」


「だろ?」


タケルは、にやっと笑った。


「もう負ける気しないな!」


「はい、出ました」

サクラが即座に言う。

「調子乗りタケル」


「いいだろ、今日くらい!」


アキラは呆れながらも、少しだけ笑った。


周囲の冒険者たちも、

まだタケルたちを見ている。


「スライムって、あんな動きするのか?」


「俺もスライム相棒にしようかな?」


「やめとけって」

「普通はああならないから」


「あの可愛いワンコも変だぞ」

「速いだけじゃない」


「二匹の動きが、最初から繋がってるみたいだった」


タケルは、その声を聞いて、

少しだけ照れた。


けれど。


その時。


――ふっ。


風が吹いた。


一瞬だけ。


いつもと逆向きに。


ルーが、ぴくっと耳を動かす。


「ワフ……?」


モチも、

ぷる……と小さく揺れた。


タケルが振り返る。


「どうした?」


風は、すぐに元に戻った。


草が普通に揺れている。


何も起きていない。


サクラが首を傾げる。


「今、風……変だった?」


アキラも周囲を見る。


「一瞬だけな」


タケルは空を見上げる。


雲はゆっくり流れている。


「……気のせいかな」


ルーはまだ空を見ていた。


モチも、少しだけ静かに揺れていた。


けれど。


すぐに、ルーがタケルの足元へ戻ってくる。


「ワフ!」


モチも、ぷるんと跳ねた。


タケルは笑った。


「よし」

「今日は帰って、母ちゃんに自慢するか!」


「また調子乗る」

サクラが笑う。


「いや、これは報告だ!」


「同じでしょ」


アキラはモンマスを閉じながら言った。


「まあ」

「今日のところは、素直に喜んでいいだろ」


タケルは、少し驚いてアキラを見る。


「アキラが優しい……」

「明日、嵐か?」


アキラの眼鏡が、きらりと光る。


「いつも優しいだろ?」

「……今から勝負するか?」


「いやいやいや」

タケルが即座に首を振る。

「今、勝ち運いいから」

「ここで負けたくない」


サクラが笑った。


「もー、アキラ」

「大人気ない」


三人と二匹は、

笑いながら草原をあとにした。


ただ、ルーだけは一度、

空を振り返っていた。


モチも、

ほんの少しだけ静かに揺れていた。


⸻


現実世界。


夕方の商店街は、

いつもより少しにぎやかだった。


「本日、福引き最終日でーす!」

「一回のお買い物につき、一枚!」


店先から、

元気な声が響いている。


タケルは、母と妹のさとと一緒に歩いていた。


「にいに、今日は強かった?」


さとが、タケルの手をぎゅっと握る。


「強かったぞ」

タケルは胸を張る。

「ルーとモチがな」


「にいにも?」


「……にいにも、ちょっとは」


母がくすっと笑う。


「あんた、最近なんか明るいわね」

「学院に受かって、少し自信ついた?」


「まあな」

タケルは鼻の下をこする。

「なんか最近、調子いいんだよ」


「その調子で、机にたまっている課題もやってくれると助かるんだけどね」


「それは別問題!」


母が呆れてため息を吐く。


「課題未提出で、入学前から呼び出されても知らないわよ」


「……」


タケルの顔が、少しだけ青くなる。


「なんか急に」

「早くやらないといけない気がしてきた……」


その時、商店街のおじさんが声を上げた。


「おっ、タケルくん!」

「聞いたよ! グランディア中央学院、合格したんだって?」


「商店街のみんなで話してたんだよ」

「すごいじゃないかって」


タケルは、ちらっと母を見る。


「……母ちゃん、自慢しすぎ」


母は、少しだけ照れたように笑った。


「ついね」

「だって、ほら」


「それより」

おじさんが、福引きの箱を指さす。

「福引き券、三枚あるよ!」


「福引き?」


タケルが近づく。


おじさんは、ガラガラの抽選機を指さした。


「今日の特賞はすごいぞ」

「バトルマスター世界決勝戦、日本特設会場の特別観覧チケットだ!」


タケルの目が、ぴくっと動く。


「世界決勝……?」


「そう!」

おじさんは得意げに言う。

「世界トップのミラモン使いたちが集まる、年に一度の超大舞台!」

「しかも今年は、日本からつながるアルセリア大地で開催!」


さとの目が輝く。


「にいに、やって!」


「いやいや」

タケルは笑う。

「そんな簡単に当たるわけ――」


ガラガラ。


一回目。


白玉。


「残念賞、ティッシュ!」


「まあ、そうだよな」


二回目。


白玉。


「残念賞、ティッシュ!」


「ティッシュ増えたね」

さとが嬉しそうに言う。


「嬉しいけど、そうじゃない!」


母が笑う。


「最後ね」


タケルは、抽選機に手をかける。


「まあ、当たらないだろうけど」


ガラガラ。


からん。


金色の玉が、ころんと落ちた。


一瞬。


商店街が静かになる。


おじさんの目が、見開かれた。


「……」


タケルも、玉を見る。


「……え?」




【モンマスメモ】


第22話より。


ミラリアで活動する子は、

現実世界の学校へ通う代わりに、

通信教育と課題提出が必要。


なお、タケルは

だいたい溜める。

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