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**最強!? モンスター×マスターズ  【モンマス】 Gランク落ちこぼれから始まる、 世界最強の相棒育成譚**  作者: 心瑛タケハル


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第119話 渡りたくなる橋

「安全だけじゃ足りない」


アキラが、橋を見つめたまま言った。


サクラも、小さく頷く。


「気持ちだけでも、ダメなんだよね」


二人は、もう一度谷を見る。


強風。

深い谷。

向こう岸の小さな影。


まだ、誰も動かない。


「じゃあ」

サクラが両手を広げる。

「渡りたくなる橋を作ろう」


アキラは、静かに頷いた。


「安全で」

「歩きたくなる橋だ」


その時。


ミラッチが、にやりと笑った。


「君たち」

「モンクラレベル2、解禁だよ」


「えっ?」


パチン。


ミラッチが指を鳴らした瞬間、

アキラとサクラが光に包まれる。


――ピッ。


【モンクラレベル2】

【素材追加】


サクラの目が、一気に輝いた。


「これならやれる!」


両手を前へ出す。


「素材、表示!」


――ピッ。


空中に、

いくつもの素材ブロックが並んだ。


【軽量ウッド】

【風抜き石材】

【光糸ガラス】

【共鳴ベル】

【柔軟ロープ】


「わ、いろいろ使えそうなのあるわね!」


サクラが、

透明なガラス素材を持ち上げる。


中に、

細い光がすうっと流れた。


「きれい……」


「悪くない」

アキラも見る。

「ただ、強度確認は必要だ」


「やっぱりそこなのね」

サクラが苦笑する。


その時だった。


――バサッ!


鋭い羽音。


「え?」


サクラが空を見上げる。


空を旋回していたのは、

細長いくちばしを持つ鳥型ミラモンだった。


【ミラモン:ストームピーカー】

【タイプ:風鳥】


ストームピーカーが急降下する。


狙いは――素材。


「ちょっと!」

サクラが叫ぶ。

「それ持っていかないで!」


光糸ガラスが、

くちばしに挟まれて飛んでいく。


「アクセス!」


アキラが即座にモンマスを掲げた。


光が走り、

モンマスがタブレット型へ変形する。


「ララ!」


青い光が弾けた。


リボンを揺らしたララが現れる。


「アキラ、どういう状況よ?」


「ララ」

アキラが空を指さす。

「あの鳥を追い払ってくれ」


ララは空を見上げ、

耳をぴんと立てた。


「仕方ないわね」


風が、

ララの足元へ集まる。


「風なら、負けない!」


青い風が巻き上がる。


「風走り――スカイステップ!」


――ダン!


ララが橋を蹴った。


そのまま、

風を踏むように空中を跳ねる。


「うわっ!?」

サクラが目を丸くする。


ストームピーカーが急降下する。


ララは風を読み、

その軌道へ回り込んだ。


「そこ!」


青い風が、一閃。


ストームピーカーが、

くるりと体勢を崩した。


サクラも続く。


「アクセス!」

「チヨちゃん、お願い!」


ぽん、と光が弾ける。


「呼ばれて飛び出て、でごじゃる!」


チヨが胸を張った瞬間。


――ゴォォッ!


突風。


「きゃあああでごじゃる!?」


そのまま、

くるくる回りながら橋の中央へ飛ばされた。


「いきなり!?」

サクラが叫ぶ。


ララは耳をぴんと立てる。


「右から来る!」


ストームピーカーが、

もう一度素材を狙って急降下する。


「返しなさい!」


ララが風を蹴る。


その横で。


「拙者も行くでごじゃる!」


チヨが飛び出した。


――が。


また風に流される。


「わわわ!」

「方向が違うでごじゃるぅ!」


その姿に、

ストームピーカーが一瞬気を取られた。


「今よ!」


ララが、一気に加速する。


――バシュッ!


風が弾けた。


ストームピーカーは、

諦めたように素材を落とす。


ララが風を読んで走る。


落ちかけたブロックを、

すれすれで受け止めた。


ミラッチが、

木陰で拍手する。


「やるね!」

「なんだかんだ、連携いいね!」


にこにこしながら続けた。


「見ていて、るんるん♪だよ」


「その言い方、ちょっと腹立つわね」

サクラが呆れる。


「褒めてるんだけどなぁ」


その時だった。


橋の中央で、

逆さになっていたチヨが声を上げる。


「……あれ?」


「チヨちゃん?」

サクラが振り返る。


チヨは、

床の模様をじっと見ていた。


「ここ」

「アキラ殿の骨組みと、サクラ殿の光が重なってるでごじゃる」


アキラが目を細める。


「……偶然か?」


チヨは橋の中央をぺたぺた触る。


「片側から押しても、動かないでごじゃる」

「でも」


反対側へ回る。


両手で押した。


「両方から力が来たら」

「噛み合いそうでごじゃる!」


アキラの目が、鋭く光った。


「……そうか」

「片側だけだと、ただの橋だ」


橋の中央を指さす。


「でも、両側から重さがかかると」

「ここが噛み合う」


サクラが息を呑む。


「両側から歩いた時だけ」

「光る橋……?」


ララが風を受けながら笑う。


「いいじゃない」

「風も、その流れなら乗せられる」


チヨが胸を張った。


「つまり!」

「仲直りしないと光らない橋でごじゃる!」


「雑だけど」

アキラが頷く。

「分かりやすいな」


サクラとアキラが、顔を見合わせた。


「作り直すぞ」


「うん!」


そこからは、早かった。


「中央、広くするぞ」


アキラが指を動かす。


――ピッ。


橋の真ん中が、

少しずつ丸く広がっていく。


その下に、

太い柱が何本も組み上がった。


「これなら、両側から来ても揺れにくい」


「じゃあ私は――」


サクラが、

光糸ガラスを空へ放る。


「光の道!」


――ピッ。


橋の床に、

やわらかい光が流れた。


左右から伸びた光は、

真ん中で、ひとつに重なる。


「わぁ……」

サクラが目を輝かせる。

「ちゃんと繋がってる感じする!」


ララが橋の上を走る。


「そこ、風がぶつかる!」


「分かった!」


アキラがすぐ修正する。


――ピッ。


橋の中央に、

小さな隙間が開く。


強風が、

そこを通り抜けた。


「おおー!」

チヨが拍手する。

「飛ばされにくくなったでごじゃる!」


「最初に飛ばされたやつが言うな」

アキラがぼそっと言う。


「結果よければ忍法でごじゃる!」


サクラが吹き出した。


そして――


橋が、完成した。


丈夫で。

明るくて。


ただ渡るだけじゃない橋。


中央には、

小さな広場。


両側の光が、

そこでひとつに重なっていた。


向こう岸の影が、

そっと動いた。


一歩。


反対側の影も、

少し迷ってから歩き出す。


両側から、

同時に橋へ足を踏み入れる。


そして。


中央にたどり着いた瞬間――


ふわり。


橋の光が灯った。


風が、音を運ぶ。


小さな鈴のような音が、

谷に広がった。


向こう岸の子どもの影が、

泣き止む。


反対側の影も、

武器を下ろした。


ミラッチが、

ゆっくり歩いてくる。


今度は、にやにやではなかった。


ちゃんと、笑っていた。


「うん」


一拍。


「これは、渡りたくなる」


サクラが、

ほっと息を吐く。


アキラも、

少しだけ肩の力を抜いた。


――ピッ。


【モンクラ課題】

【達成】


【報酬査定:上昇】


チヨが飛び跳ねる。


「でめたし、でめたしでごじゃる!」


「まだ終わってないでしょ」

サクラが笑った。


⸻


その少し遠く。


戦闘フィールドの光が、

静かに揺れていた。


タケルは、表示された数値を見る。


連携値:50%

連続勝利:4


条件②は達成。


同調率:48%


「……あと少しだ」


タケルは、小さく拳を握った。


うまくいっている。


最初は、

何もできなかった。


学院にも落ちそうだった。


モチも、ルーも、

最初から強かったわけじゃない。


でも――


ここまで来た。


グランディア中央学院にも受かった。


勝てるようにもなった。


前に進めている。


「これでいいんだ」


タケルは、そう思った。


その隣で。


モチが、静かに揺れていた。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


アキラとサクラ、やりました!


二人とミラモンたちの頑張りを少しでも「よかった!」と思っていただけたら、ブックマークや評価で一緒に祝ってもらえると嬉しいです。


そして残るは、タケルとモチ。


最後まで一緒に見届けてもらえたら嬉しいです!

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