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**最強!? モンスター×マスターズ  【モンマス】 Gランク落ちこぼれから始まる、 世界最強の相棒育成譚**  作者: 心瑛タケハル


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第115話 速さを奪うもの(4戦目)

――ピッ。


休憩明けのフィールドが、静かに展開される。


地面は、やけに重たい色をしていた。


【対戦フィールド:展開】

【対象ランク:D】


「次はルーだな」


アキラが小さく言う。


タケルは迷わない。


「得意な流れで一気にいく」


ルーが前に出る。


黒い耳が、ぴくりと動いた。


その正面。


地面が、低くうねる。


――ごご、と。


土を割って現れたのは、

ずんぐりとした灰色の影。


【ミラモン:グラビティ・モール】

【ランク:D】

【特性:局所重力操作】


短い脚。

小さな目。

だが、地面と一体化しているような存在感。


「……相性、悪いかもな」

アキラが呟く。


「問題ない」

タケルは即答した。


「ルーは元々Aランクだ」

「こんなDランク相手に、苦戦なんてしない」


一拍。


「速さで押す」


タケルはルーを見る。


「イケるか? ルー」


黒い耳がぴくりと動く。


「ワフ!」


サクラが小さく笑う。


「ルーもやる気ね」


タケルは口元を上げた。


「当然だ」


――ピッ。


【BATTLE START】


ルーが地面を蹴る。


――ずし。


「……?」


一歩目が、重い。


いつもの爆発的な加速がない。


「跳べ!」


ルーが飛ぶ。


――どす。


着地が、明らかに鈍い。


サクラが眉を寄せる。


「なんか、動き……重くない?」


ルーが、一瞬足を止める。


小さく身震いするように、体をぶるっと揺らした。

まるで、何かを振り払おうとするみたいに。


「……?」


タケルは気づかない。


その間に。


グラビティ・モールが、

わずかに前脚を持ち上げる。


何も起きていない。


――ように見えた。


だが、空気が、わずかに歪む。


「タケル!」

サクラが叫ぶ。


「相手、なんかやってるわ!急いで!」


「問題ない!」


タケルは即答した。


「ルー! お前のスピードは通用する!」


「いけー!」


「ワフ!」


ルーが地面を蹴った、その瞬間。


次の瞬間。


グラビティ・モールが、

地面を小さく叩いた。


――ごん。


空気が沈む。


ルーの動きが、さらに遅くなる。


「重力、か」

アキラが低く言う。


タケルは歯を食いしばった。


「構うな! 横から入れ!」


ルーが迂回する。


その判断は、正しい。


真正面は危険。

横へ抜ける。


完璧なルート。


――のはずだった。


だが。


ほんの、わずかに遅い。


ルーが、

歪んだ空気の帯に踏み込んだ瞬間。


地面に転がっていた石が、

不自然な軌道で浮き上がる。


「……!?」


次の瞬間。


石が、猛スピードで射出された。


――がん。


被弾。


「……ッキュ!」


短い、詰まったような鳴き声。


ルーの体が、大きく揺れる。


一瞬、足がもつれる。


「くっ……!」


HPが削れる。


「大丈夫だ! まだいける!」


タケルは、即座に指示を飛ばす。


「右だ! そのまま下を取れ!」


ルーが応える。


完璧な角度。

完璧な距離。


――ピッ。


連携値:46% → 49%


「上がってる」

タケルが小さく笑う。


(ほらな)


だが。


――ピッ。


同調率:48% → 48%


変わらない。


一瞬だけ、ルーと目が合う。


タケルは、すぐに視線を外した。


「行け!」


迷いのない命令。


ルーは、応える。


だがその動きは、

どこか“必死”だった。


「押し切る!」


本来なら選ばない選択。


スピード型で、真正面突破。


重力がかかる中、

ルーが、無理やり地面を蹴る。


「……ッ、クゥ……!」


低く、押し殺したような声。


空気が重い。

それでも、前へ。


サクラが、思わず声を漏らす。


「ルー……きつそう……!」


――どん。


衝撃。


――ぐらり。


グラビティ・モールの体勢が、わずかに崩れる。


「今だ!」


タケルの声が響く。


ルーの前爪が、淡い蒼光に包まれた。


震える足。

だが、目は逸らさない。


踏み込む。


ルーが、最後の一撃を叩き込む。


――どす。


地面に、沈む。


【勝利】


静寂。


タケルは、息を吐いた。


「よし」


――ピッ。


表示が、切り替わる。


同調率:48% → 48%

連携値:49% → 50%

連続勝利:4


「……」


条件②は達成。


だが。


条件①は、動かない。


ミラッチが、少し離れた場所から言った。


「お見事、タケル君」

「君のルー、速いね」


タケルは、ふっと鼻で笑う。


「当然だろ」


一拍。


ミラッチの声色が、わずかに落ちた。


「でも」


タケルが、睨む。


「なんだよ」


ミラッチは、今度は笑わなかった。


「君――急いでない?」


沈黙。


空気が、少しだけ重くなる。


タケルは、即答する。


「急いで何が悪い」

「勝ったんだから、いいだろ」


ミラッチは、ゆっくり首を傾ける。


「うん」

「勝ったね」


また一拍。


「でもね」

「勝ち方って、ひとつじゃないよ」


タケルは、眉をひそめた。


意味が、分からなかった。


(勝ちは、勝ちだろ)


画面の端に表示された数値が、目に入る。


連続勝利:4

同調率:48%

連携値:50%【条件達成】


(あと少し)

(このまま勝てば、届くはずだ)


そう思った瞬間、


ほんのわずかに、

ルーの呼吸が乱れていることに気づいた。


――気づいた、はずだった。


だが。


タケルは、視線を上げる。


「次だ」


その選択が、

何を削っているのか。


まだ、気づいていない。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


ルー、今回もよく頑張りました。


「ワフ!」


タケルとルーがこの試練をどう乗り越えるのか、少しでも応援したいと思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると嬉しいです。


この先も一緒に見守ってもらえたら励みになります!

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