三国会談からの日本国政府
「これにて、三国会談は終了となり、ここに真日本国、アルマキア獣王国、アメリカ合衆国による地球連邦共和国の成立を宣言します。本部は真日本国舞浜にレンにより建設される龍宮城に置き、先ずは智仁天皇、タマモ女王、ジャクソン大統領の三人を理事として選出します。理事長は不本意ながら私レンが務めさせて頂くことになりましたのでよろしくお願いします。各国家と龍宮城は瞬間移動装置で結び、月一回の定例会を開催するだけでなく、有事の際の協力、食糧や人員の融通も積極的に行っていこうと思います。更には諸外国の特級ダンジョンの攻略、援助を求める民の救援は当分の間は私を中心に行いますが、各国の国の状況が落ち着き次第三国には協力を仰ぎたいと思います。」
その言葉に満場の拍手が応えたが、土方から一つの質問が提出された。
「今後も特級ダンジョンの攻略は行われると思うのですが、その際にアルマキア獣王国の皆様のように優れた力と知恵を有する種族や国家が現れると思います。その対応についてご教授下さい。」
「もちろんこちらに協力したいということであれば、受け入れることも可能で、新たな参加国として認可することもあると思います。しかし、原住民の方達との対立も容易に予想されますので、その場合は対応をこの場で検討したいと思います。一番問題になるであろうことは、これまで自国民を蔑ろにし、富を貪ってきた例えば日本国政府や世界の他の国々に残存する旧権力者達が素直に我々を受け入れるとは思えないことです。その場合の基本的な私の立ち位置は、より多数の幸福ですが、それが相手の殲滅ということにはなりません。基本は無視で勝手に進めていくしかないということです。」
その言葉の後のジャクソンとスミスを見ると、お互いに顔を見合わせて困ったような顔をしていたので、彼らの国にも日本国政府のような権利だけを強く主張するような団体があるんだろうなと想像がついた。
「取り敢えず、真日本国では旧明治神宮にできた特級ダンジョンを攻略しますが、米国ではどこか希望はありますか?」
その言葉にジャクソンが応えた。
「テキサス州ヒューストン特級ダンジョンの攻略をお願いしたいと思います。国の重要地点としてはニューヨークやワシントン、ロサンジェルスの特級ダンジョンを上げることができますが、そこが解放されても国民への利益は少ないです。それよりも周辺の農地開拓が可能なヒューストンから開放して頂きたいと考えます。」
その言葉に続いて、まだ小さなタマモが手を上げて発言の許可を求めた。
「私達の国は、単一国家、単一民族である上に、ダンジョン内ということもあり治安も良いし、余力もあります。当然周辺の魔物の討伐は行いますが、それでも余力があります。近衛軍部隊の一部を真日本国や米国合衆国に応援に出すことも可能です。これについての意見を求めます。」
先ずは近藤がそれに応えた。
「言葉の問題が解決されれば、こちらとしては心より感謝したい提案でありますが、意思疎通ができないと難しいと判断するしかありません。」
「それについては問題ないのじゃ。我がレンにより授かった地球言語理解のスキルを国民に付与するだけじゃからの。簡単なことじゃ。」
と、横からメギドが口を挟んだ。
「それは我々の英語についての理解も問題ないということですか?」
「ん?ここで普通に皆で会話できてるじゃろ。そういうことじゃ。」
皆が笑顔になった時に、扉がノックされる音が聞こえてきて、ジャクソン大統領の護衛官が要件を確認して報告した。
「日本国政府からの連絡が入りまして、旧日本国首都東京に天皇を騙る偽物が現れ、クーデターを計画しているようなので、鎮圧に協力してほしいとのことです。」
「な、なに!?」
その言葉に激昂したのはテキだった。
「天皇や国民を護ることもせず、都やそこに暮らす民を見捨てて逃げ出した輩達を朝敵と呼ばず何と呼ぶ!奴らには儂が直々に天誅を下してやる!」
「て、テキさん!待って下さい。先ずは皆の意見を聞いて下さい。それと僕に一つの策があります。これまでも散々似たような経験はしてきましたので効果はかなり期待できます。その結果が出るまでは、少し我慢して頂けますか?」
僕の言葉に土方が続いた。その土方の提案に従って、先ずは三国宣言が地球全土に発信された。
【正統な天皇直系である智仁天皇を君主とする真日本国、メギド神を主神とするアルマキア獣王国、ドナルド・ジャクソン大統領を擁するアメリカ合衆国の三国は、新たに地球連邦共和国を設立し、このダンジョンに侵襲された魔物が蔓延する大地や海を、もう一度我らヒト属の手に取り戻すことを宣言する。本部は真日本国舞浜の龍宮城とし、盟主は世界最初の特級ダンジョン攻略者レンと定める。我らが護るべきは自国の民だけではなく、この地球に生まれてきた生きとし生けるヒト属である。獣人族、エルフ族、小人族、妖精族、ドワーフ族、鬼族、魔人族、ドリアード含めた植人族、龍人族を筆頭とした水人族、死人族などの魔素や神素により新たに誕生した民も護る存在である。我らに仇なす者は、知恵ある者、理性ある者を害する魔物のような存在である。我々地球連邦共和国は、そのような存在を容赦しない。例え、それがかつての地球の同胞達であっても、この方針に仇なす者達には天誅を下すと宣言する】
NPTOは、いつの間にか地球連邦共和国へと名称変更したようだった。
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その宣言のあった一週間後、日本国政府首相官邸の首相執務室のドアがノックされ、今は筆頭秘書となった男に案内されて入ってきたのは、石田外務大臣とある国の駐日大使だった。
「岸破君、下手を打ったねぇ。この失態は取り返しができないほど大きいと思うのだが、当然他の皆に誠意を見せてくれるんだろうねぇ。」
その石田の言葉に、岸破は苦虫を噛み潰したような顔をした。その表情に満足そうに笑った彼は更に言葉遊びをするように口を開いた。
「御所の災害も君の警備不足だという声も上がっていてね、あれは天災だろうと私が庇っても耳を貸さない人間が多くて、私もほとほと困っているんだよ。で、どうなの?天皇陛下の保護は順調に進展しているのかな?」
「…各方面の防衛部隊に救出作戦に協力するように伝達しているが、余裕がないとか、無い袖は振れないと芳しい返事はきていない。」
その言葉に、石田は嫌らしい顔を更に歪めてニヤリと笑った。
「だから私が以前から忠告していただろ。援助要請とか救援要請を無視していると、必ず痛いしっぺ返しが来るよと、私が言った通りじゃないか。」
その防衛部隊への援助計画に、後ろから手を回して中抜きしたり、法案そのものを潰す工作していたのはお前だろという言葉を噛み殺して、岸破が黙り込んでいると、同伴していた駐日大使が口を開いた。
「我が国の上層部は、あなた方の政権を強く支持しています。その為の援助も、政党に対してだけではなく個人相手にもかなりの額を支援してきたはずです。そろそろつけを払ってもらわないとバランスが取れないと考えていますがいかがでしょうか?」
「それはしっかりと考えている。これまでも貴方がたの国民がこの国で動きやすいように法整備をしたり、我が国の国民から利益を毟り取るのにも協力したり、いろいろな支援をしてきたはずだ。」
その言葉を聞いた大使は、口角を上げて皮肉を籠めた笑みを浮かべた。
「それでは足りないのですよ。小国日本が我々に…」
大使が更に言葉を続けようとした時に、部屋に首相秘書の一人が飛び込んできた。
「た、大変です!急いでモニターをつけてください!」
「何だねキミは?今は大事な話の真っ最中なのだよ。キミの大変は国家の大事よりも優先せねばならぬことなのか?」
石田の言葉に、秘書は更に言葉を続けた。
「明治神宮の特級ダンジョンのライブ攻略映像が全世界に衛星中継されています!」
「「「な、なんだと!」」」




