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三国会談4

その後、何とか無事に大統領執務室に案内された僕らの前には、第六十五代大統領ドナルド・ジャクソンが、待ち焦がれた客人とやっと会えたというような表情をして立っていた。


「レン様、私は貴方に会えて非常に感激しております。ようこそアメリカ合衆国へ。」


そう言ってジャクソン大統領は、握手しようと手を出しかけた僕の隣をすり抜けて、後ろに立つ龍人のテキに手を差し出し、隣のスミスが頭を抱えていたので、僕は仕方ないですよと彼に囁いた。


「儂の名前はテキという。レンは前に立つ少年じゃ。」


へっ?という驚いた顔を見せて、ギギギィと振り向いた彼の顔は蒼白で表情が抜け落ちていた。


何とか握手を無事に済ませ、どうにか全員がテーブルに着いた所に、周辺の魔物の討伐から四人が部屋へとテレポしてきた。


「お前、人間のくせになかなか腕が立つの。儂の愛刀の一本をを使ったとはいえ、ゴブリンジェネラルを脳天から真っ二つにした技はなかなか見応えがあったのじゃ。」


ミィのその言葉に平伏する近藤を横目に、メギドもミライヤに声をかけていた。


「お主の腕も奴に勝るとも劣らんぞ。はぐれとはいえ、バジリスクを仕留めた腕はなかなかのものじゃ、これからも励むのじゃ。」


「有り難きお言葉です。」


彼女の言葉に涙を流しながら額を床に擦り付けるミライヤだった。


突然の出現に声をなくしている護衛官達に自分の仲間であることを告げ、周辺の中型から大型の魔物を間引いてきたことを伝えると、信じられないような顔を見せているので、僕が二人に状況を尋ねている隣で、スミスが大統領にこの状況を説明していた。


「な、なんだと!周辺一キロ範囲内にはもう魔物の出現はないというのか!我が国民達を再び太陽の下へ出すことが可能になったということか!」


僕が大統領の言葉に振り向き、この半径一キロの地海空エリア内に新たに魔物は侵入できないこと、エリア内の魔物は討伐すればダンジョンと異なり、新たな発生はないこと、小型の銃などでも倒せるゴブリンやコボルト程度の魔物は完全駆除できなかったので、警備はまだ必要であることを説明すると、彼は涙を流しながらスミスと抱き合い感動に咽び泣いていた。


「ところでの、この沖合でクラーケンと小型の海竜を二頭捕獲したけど、お主達は食糧にする気はあるかの?」


「もちろんです。ここの施設では住民も含めて二万人ほどの人族が暮らしています。食糧はあればあるだけ有り難いです。」


大統領の後ろに立っていた女性護衛官が身を乗り出すようにして応えたので、僕は部屋にいた全員を門の外の広場へとテレポートした。突然の出来事に皆がびっくりしていたが、その後に出されたクラーケンと二頭の海竜の大きさの方が衝撃だったたらしく、話題はすぐにそちらに移っていった。


「あぁ、ミィはまた血抜きしてないね。臭みが残るからダメだって言っただろ。」


僕は風刃で二頭の首を落とし、遠隔で心臓を強引に拍動させ、更に水魔法を応用した水流操作で二頭の血液を球状に纏めると、空間庫に収納した。


クラーケンの方も、そのままにしておくと身が傷みやすくなるので、胴体の間から空気を入れながら胴と内臓が引っ付いている部分を軟骨に沿って引き剥がして胴と内臓を分離し、胴の軟骨を取り外した後で、中を水魔法で洗い流した。


「なぁなぁ、どうして解体魔法を使わないんじゃ?」


後ろから尋ねてくるメギドに、


「これからまたクラーケンやイカの魔物が捕獲できた時に、解体方法知らなかったら、美味しく食べれなくなるだろ。」


と答えながら皮を剥き、これは防具にもなるから加工を工夫してみるように護衛官の人に伝え、クラーケンの身と足と吸盤に分けて、調理担当の護衛官達に渡した。


海竜の方は構造的に哺乳類や爬虫類と大差ないので、解体魔法で骨、肉、内臓、皮に分けて渡そうとしたが、アルマキア獣王国の三人があまりにもほしそうにしていたので、その一部をマジックバックに収納して分けて上げた。


「ミィ、さっき確保した竜もだしてくれるかな?」


そのレンの言葉に絶望したように顔を青くしたミィを見て、タマモがこれだけでも十分な肉の量になるから、それは必要ないんじゃないかなと口を挟むと、ミィは彼女に抱きついて感謝しているように見えた。


「あとでこっそりと私達だけで美味しく頂きましょ。」


とタマモがミィの耳元で囁くと、ミィは満面の笑顔でそれに応え、二人の間で密約が成立したようだった。


そんなことをしているうちに空は朱色に染まりだし、東の空に一番星も現れた為、これから更に会談を進めることは難しいだろうと提案し、夕飯兼ねた歓迎パーティーを開こうとということになった。


全員を招くのは人数的に不可能なので、参加できない人達には食堂の方で楽しんでもらおうと、空間庫に溜めていた野菜や穀物、果物や肉、魚を一万人分ほど提供すると、食堂の責任者が目に涙をいっぱいに浮かべて両手で握手を求めてきたので、僕は困ったようにミィとメギドを見ると、二人はニカッと笑って親指を立てていた。


大きめの訓練用体育館に保管庫から出したテーブルやサーバーなどを並べ、立食のバイキング料理形式のパーティーを演出するために、トンカツや炭焼きステーキ、ハンバーグなどの各種肉料理、刺身や魚フライ、煮物などの魚料理に加えて、お手製のうどんやラーメンなどの麺類、寿司などを中央に並べ、フルーツやゼリー、プリンなどの冷菓、ケーキやアイスクリーム、シャーベット類を端に並べ、ビールを始めとしたお酒類、珈琲、紅茶、果汁、炭酸飲料などをその反対側に並べた。


そのパーティーは大好評で、護衛官や兵士含めた大人の人達ばかりでなく、その子供達、その友人とかにも話題は広がり、僕とミィとメギドの三人は料理提供係として大忙しだったが、三時間ほど十分に宴を堪能してから終了を告げた時には、周辺からブーイングの嵐で必ず次回のパーティーも開催させて貰うと宣言して、やっと僕達は解放された。


申し訳なさそうな大統領を前にして、僕達一行は門の外の広場に簡易施設を出して休むことを告げると、そんな申し訳ないことなどできないと言われたが、僕が出した簡易宿泊施設を見学して、私もこっちが良いとごね出したのは後の笑い話になった。


ダンジョンが出現して以降、それから解放された喜びが理性を失わせたのだと納得するしか無かった。


その日、僕達三人は、入浴後にミィがこっそりと獲ってきた鯛を使ったお茶漬けを食べて、僕特製のお汁粉を〆として就寝した。

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