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三国会談

東京国際空港、旧羽田空港に降り立った米国国防軍最高司令部長官スミスは、その光景に圧倒されていた。簡素ではあるが、十分に機能しているであろう管制塔、滑走路や空港格納庫に並んでいる大型戦闘機や輸送機、戦闘機や攻撃ヘリ、数は少ないが大型輸送用ヘリコプターが所狭しと並んでいる上に、更には埠頭には小型空母と呼んで差し支えない数隻の大型護衛艦やイージス艦、それらを護る為の十隻を越える駆逐艦と潜水艦が、ぎっしりと並んでいるのを見て驚愕を禁じ得なかった。この魔物溢れた現代において、これだけの軍備を持つ国は我が国以外には片手で足りる程の国しか存在しないはずだった。


呆然としているスミス一行を、大型魔石バスに乗った斎藤が迎えに来て、彼らをそのバスへと誘導したが、スミスは彼に確認せずにはいられなかった。


「どうなっているんだ?ここでは魔物の侵入に対する警戒は必要ないのか?それにこの充実した軍備はどこから確保したんだ?それにこれだけの規模の空港や基地を維持するとなるとそれなりの人員や食糧が必要になるはずだ!それに電源はどこから手に入れている。魔石発電機だけでは、これだけの規模を運用するのはわが国と違って難しいだろ。日本の原子力発電は、あの地震以来衰退したはずだ。」


矢継ぎ早の質問に、一瞬身を引いた斎藤だったが、特に執行部に止められているわけでもなかったので、目的地へと向かう道中で、一つずつ順番に説明していった。


「先ずは魔物に対する警戒ですが、皇居を中心とした半径三十キロと、成田空港を中心とした半径三十キロのエリアは、魔物の侵入を拒むドーム型の障壁が張られていますので、まだ龍の襲撃はないのでその場合は判りませんが、魔物はまず侵入できないと考えて良いと思います。」


「そんな障壁を張る魔道具なんて聞いたこともないぞ!そんなものがあるなら、世界に公表しなければそれは全ての人類に対する大罪だ!」


その言葉に斎藤も頷いて応えた。


「その通りですが、我々もそれを知ったのは三日前です。数に限りがあるので、それを公表することは人類同士の争いを生む可能性があるから、現在は公表できないと言われました。」


その斎藤の言葉にスミスは、ある存在に気づいた。


「あの英雄(ヒーロー)がそう言ったのか?」


「あっ、その言い方は止めて下さいね。そう呼ばれるの大嫌いみたいなんで。次の説明に移って良いですか?」


スミスが頷いたのを確認して、斎藤は説明を続けた。


「ここに停留する多くの艦船や、軍用機は、当然我々の部隊に属するものだけではありません。先日真日本国とアルマキア獣王国が新たに日本連合国

の成立を発表した際に、各地の日本防衛軍の生き残りに声をかけ集まってもらった結果です。今は軍人しかおりませんが、彼らに各地の生き残りの日本人を可能な限り集めてこの東京に向かうように智仁天皇陛下様が勅令を下しましたので、最終的にはこの近辺に十万から二十万の人間が集まることになると思います。更に…」


その言葉をスミスが止めた。


「ま、待て!それだけの人間を集めて食糧の確保は問題ないのか?かなりの量が必要になるぞ!」


その言葉に斎藤は自信満々に答えた。


「問題ありません。十万の国民を有するアルマキア獣王国には、更に十万人の食糧を提供できると確約を頂いております。ダンジョン内での生産ですので、天候に左右されることもなく、確実に計算できますし、他者の侵入はダンジョンが拒絶しますので、他国からの侵略も考慮する必要はございません。」


スミスは絶句してしまった。米国でもかなりの人間が生き残ってはいるが、土地が広く魔物の討伐をしながらの農業には限界があり、その地に住む人間を養うのに精一杯で、とても余力があるとは言えなかった。


「最後の質問の電力ですが、わが国には三◯重工が開発した高温ガス炉の実証炉が東京湾沿岸に残されていましたが、その燃料として魔石を使用する方法が模索され、結果として、通常の魔石発電装置や魔石炉以上の効率で発電することが可能となったことで、この関東エリア内であれば電力の供給が可能になりました。」


その説明を聞いたスミスは、少し眉を寄せ、腕を組んだ。


「あれか…確か東京湾内の埋め立て地に建設されたのだったな。」


「はい。設置場所がドーム障壁内部であったことは非常に幸運でした。あの時に反対派の連中のデモが官邸を取り巻いて圧力をかけたせいで、その埋め立て地に建設されることになり、首都近辺の住民の大移動が起こったことは、今では笑い話ですね。」


そんな話をしながらもバスは空港内を移動し、一つの少し大きめのビルの前へと乗り付けられた。その建物はお洒落な外観の空港ビルの一つで、奇妙なことに外観に損傷部位は全く見つからなかった。


「これはたまたま魔物の襲撃から逃れることができたのか?そんなことがあるのか?」


よくぞ聞いてくれたというような表情を見せて、斎藤が応えた。


「当然破壊されていました。どうしようもないくらいボロボロで、殆ど更地に近かったと言っても過言じゃありません。」


その答えに納得がいかないスミスが更に尋ねると、斎藤が建物の壁を右手で擦りながら応えた。


「レン様のパートナーの一人であるメギド様の魔法の一つが使用されました。」


「レン様?あの英雄か!そのパートナー?他にも類まれな才能を持つ人間がいるのか?」


「これ以上は、私の口からは説明できません。この後の会談で直接本人の口からお聞きすれば良いと思います。」


そう言って、斎藤は建物内部にある立食形式の食事が準備してある大広間に一行を案内し、スミスに微笑みながら出ていった。


取り残されたスミス一行は、目の前の光景が信じられなかった。各テーブルの上に置かれた大皿の上には、これまで見たことのないような料理が山のように盛り付けられており、揃えられた皿の中に欠けた物は一枚もなく、ピカピカに磨かれたフォークやナイフ、スプーンは全て統一され、見たこともない色とりどりの野菜や果物が、これでもかというくらいにその存在を主張していた。


集まっているのは、殆どが軍人であったが、中にはまだ幼児にしか見えない子供達も何人か混ざっており、彼女達は山のように高いケーキに目が釘付けになっていた

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