表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/39

お台場ダンジョン15

「我も、この忌々しいダンジョンに体力削り取られてあまり余裕はあらへんから、本当はもっと殴り合いたかったんやけど、そろそろ終わらさせて貰うわ。当然、我の奥義受けてくれはるよな?」


「そうだね。問題ないよ。ドンと来いだよ。」


その僕の言葉に彼女は本当に嬉しそうに笑った。


そして精神集中するかのように、両手を軽く広げて掌を僕に向け、軽く目を閉じて少し顎を上げた体勢を暫く続けていると、九本の尾の先が徐々に光り始め、その輝きを増していった。


「九天圧搾、錬成殲滅宝珠。」


彼女の綺麗な透き通った声が聞こえると、部屋中を様々な色に染めていた朱、黄、蒼、白、漆黒、金、銀、銅、無の九つの巨大な光球が収縮し始め、更にその輝きを増していき、そこから筋状に放たれた光が、彼女の前に直径数メートル程のオパールのように様々な色が混ざり合った眩いばかりの宝珠を生み出し、最終的には元の尾の先の光球は全て消え去り、それだけが残った。


「我の今持つ全てじゃ、受け止めてくれるんやろ?」


「もちろんさ、さっき言った通りだよ。ドンと来い。」


ーーーー

「や、ヤバいです!あれはかつての世界の一番大きな大陸を消滅させたのより、更におっきいです。ダンジョンどころか、この世界下手したら滅亡します!」


焦るウェストリアを宥めながら、ミィは昔まだ彼が自分をレンと自称してなかった頃の、彼との闘いを思い出していた。


「普通は、あれだけの奥義を使えば勝てると思うんじゃがの。あの子にはそれが通じなんだ。」


「えっ?何?」


ミィの小さな声を聞き取れなかったウェストリアに彼女は微笑みだけで答え、目の前の光景を見るように指示した。


ーーーー

強く輝く宝珠はゆっくりと僕の方へと向かってきたが、慌てることなく腰を落とし、両手を前に出して、掌をそれに向けて念を込めた。


すると、その宝珠の歩みは徐々に遅くなると同時に、その大きさは徐々に小さくなり輝きはより強くなっていき、レンの所に辿り着く頃には、少し大きめの飴玉程のサイズにまで縮んでいた。


その事象を唖然として見ていたメギドだったが、その後の光景には更に度肝を抜かれた。


僕はその飴玉程のサイズの宝珠を片手で掴み、そのまま口へポイッといれ飲み込んだ。一瞬身体がすごく強く光り輝いたが、暫くしてそれも消えて元の部屋へと戻った。


竜達もその頃には呻くようなことも全くせずに、固唾をのんで経過を見守っていたので、その空間は不思議な沈黙に包まれていた。


「…た、食べた?我の全てを食べてしもうた…」


そのセリフを最後まで言い切れぬうちに、メギドの身体は徐々に光へと変わり始め、空間に溶け込むように消えていき、ウェストリアのメギドちゃんと叫ぶ声と同時に世界の声が響いた。


【ダンジョンマスターのメギドが討伐されました。このダンジョンの支配並びに管理はレンへと移譲されます。あなたはこのダンジョンの継続を希望しますか?】


その問いかけはある程度想定していたので、僕は幾つかの質問をした。


「ダンジョンを継続した場合、そのエネルギー維持の方法を教えてくれ。」


【幾つかの方法が考えられます。自らの魔素或いは神素を利用する方法。他者の魔素を利用する方法。魔石を利用する方法の三つを上げることができます】


「ダンジョンを継続した場合、その廃棄は可能かどうかを教えてくれ?」


【特級ダンジョンの管理は、これまで私が行ってきましたが、支配並びに管理がレン様へと移譲されましたので、その機能、拡張、廃棄は管理者であるあなたの一存で決定します】


「拡張、廃棄した場合に、代償が必要であるかを教えてほしい。」


【拡張には相応のエネルギーが必要となりますが、廃棄した際の過剰エネルギーは管理者へと返ります】


「既に消去されたダンジョンボスを、ボスではなく一介の魔物として復活させることは可能か?」


【私が管理していた頃は不可能な設定としておりましたが、今はレン様が許可を出せば可能です。全ては管理者の決定によります】


「この場で試してみても良いか?」


【肯定します】


僕はその言葉に従い、第二十階層のダンジョンボスであった雷氷狼を現界させてみると、無事に通常の魔物として空間から出現し、そのままミィの所に飛びついて甘えていた。


「最後の質問だ。管理者はダンジョンに常駐する必要はあるのか?」


【ありません。ただしダンジョン存続の可否を決定する場合や、支配権の移動が問題となった場合は、強制転移が行われます】


「了解した。このダンジョンを僕の支配下に置いて存続させる。ただし、ダンジョン内住人との折衝により縮小するか否かは改めて決定することとする。ダンジョン内ボスや魔物の配置、住人や魔物の取り扱いもその際に改めて決定することとする。これで纏めてくれ。」


【レン様の提案を了承しました。今後この台場ダンジョンはレン様のダンジョンとなります。管理を移譲します】


そのアナウンスと同時に世界の声との通話が途絶え、それと同時にこの世界で暮らす全ての者の頭の中に世界の声がアナウンスされた。


【台場特級ダンジョン第七十一層のダンジョンマスターが討伐されました。以後このダンジョンは討伐者レン様の支配下並びに管理下に置かれ、この世界最初の管理ダンジョンとなります。残り特級ダンジョンの数は七十一となります】


ーーーー

「ねぇ、ねぇ、メギドちゃんは?メギドちゃんはどうなったの!助かったんでしょ、殺したりなんかしてないよね!」


そう言いながら、目に涙を一杯に貯めて僕にしがみつくウェストリアの頭を軽く撫でて、僕は背中を指差した。


「えっ?何?何かあるの?」


彼女が僕の背中へと目をやると、そこには白銀のフサフサの毛で前髪パッツンのミディアムヘアーをしたまだ子狐程の大きさの三本の尾を持つ三歳位の幼女がしがみついていた。


「えっ?えっ?」


驚いて満足に声の出ないウェストリアに変わって、ミィが応じた。


「コヤツも儂と同じじゃの、幼児化してレンに付いて来る気満々じゃの。」


その言葉に、その幼女はニンマリと笑い、ウンウンと首を縦に振った。


「えっ?えっ?もしかしてのもしかしてメギドちゃんなの?私よりチビになっちゃったの?」


そう叫んだウェストリアの頬を、メギドの尾の一本が張り飛ばし、彼女は十メートル程吹き飛んだ。強さは劣化したとはいえ、まだまだ並みの神では相手にもならないような強さは健在だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ