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バザールでお買い物!

登場人物

・女神様

普段はゲームをして暮らしてます。

・きなこ

異世界では名前をからわかれることが少ないのが嬉しいみたいです。

・クイール

おっとり系ではないみたいです。

・リュート

好きな食べ物はセロリです。

「街だっ!」


色々な人がたくいたっ!


「ここがライドンです。けっこう都会でしょ?」


「色々なお店がありそうですねっ!」


都会と言っても元の世界の都会とは違った。

高いビルはない。車も走ってない。

小屋ぐらいの大きさの建物がずらっと並んでいる。


「ここは冒険者が集まる場所で有名なんですよ」


ぼくはあちらこちらを見ながら歩いた。

本当に色々な人がいる。

大きい人、小さい人、角がある人、羽根がある人……


「なんだかコスプレ会場みたい……」


「コスプレって何ですっけ?」


「なっ何でもないですっ!」


クイーカさんはぼくの手をしっかりと握ったままだ。

でも不思議と恥ずかしさはなくなっている。


「やっほー!」


知らない人に声をかけられた。

見るとそこには小さな体にがっちりとした鎧と大きな斧が特徴の女の子が立っていた。

8歳ぐらいの体格と顔だったから格好がなんだかアンバランスに見えた。


「移住者と協会の人だよね?」


ぼく達の横を歩きながらついてくる。


「そうですよ。今からバザーに行ってその後にギルドに行く予定です」


ぼくより先にクイーカさんが言った。


「そうなんだねっ! 今日はリュートちゃんじゃないの?」


「リュートさんは協会にいますね」


「ふーん。今度遊びに行くって言っといてっ!」


「わたしもう案内人辞めたのでお伝えできるかは微妙です……」


「それなら今から行こうかなっ!」


「暇そうでしたから行くと喜ぶと思いますよ」


「それならお土産もって行こう! あっ移住者ちゃんはいい仲間が見つかるといいねっ!」


にっこりとぼくに微笑みかけてくる。

その笑顔はとても幼くて可愛いものだった。


「うん。えっと君の名前は?」


「オレの名前はウドゥ!」


オレって……。

見た目に反する一人称だった。


「ぼくの名前はきなこ。よろしくね」


「きなこねっ! 覚えたっ! 何かクエストとかで一緒になったらよろしくねっ! それじゃばいばいっ!」


手を振って走っていくウドゥちゃん。

勢いがあって元気な人だなーと思った。

でも……


「あんなに小さいのに戦うんですか?」


「あの人はわりと有名なパラディンです。リュートさんから聞いたことがあります」


「そうなんですね。ぼくより年下みたいだったけど凄いんですねっ!」


「さっきの人はドワーフの女性でリュートさんより年上ですよ」


「それはびっくりっ!」


「ドワーフの男の人はみんな中年男性に見えますけど女の人はみんな子供に見えるっていう不思議な種族なんです」


この世界は元の世界よりも見た目で判断しちゃだめなんだなと思った。


「もうすぐここの名物に到着しますよっ!」


「名物?」


「バザールですっ!」


言いながらクイーカさんが指差す先にはたくさんのお店があった。


「ここで買えないものはないっ! って言われている世界最大のバザールっ!」


食べ物、武器、防具、薬、何でも屋……


「武器屋だけでもたくさんあるんですねっ!」


「剣専門とかいろいろありますからねっ!」


人がたくさんいてとても騒がしい。

だからぼくたちの声は自然と大きいものになった。


「何か買うものあるんですか?」


「きなこさんはお腹空いてないですかっ?」


「お腹……」


言われてみれば空いてるような気もする。

いろいろあったから気が付かなかったけど……


「空いてますよねっ! 何か食べたいですよねっ! そうですよねっ!」


「うん……。クイーカさんはお腹すいてるんですか?」


「空いてるっていうより食べたいものがあるんですっ!」


言いながらじゅるりという音がした。

クイーカさんがあるお店を凝視していた。


「肉の肉巻きチーズ揚げ……」


読むだけで胸焼けしそうな気がした。


「お肉食べたいですっ!」


クイーカさんが絶叫するように言った。

でも周りも騒々しいので誰も気にはしていなかった。


「お肉食べたいんですか?」


「食べたいですっ! めっちゃ食べたいですっ! もう禁断症状が出てきてますっ!」


「でもなんでそんなに……」


「リュートさんが出す料理ってめっちゃ味気ないんですよっ! 野菜っ! スープ! パンッ! 野菜っ! スープっ! パンッ! エンドレスっ!」


今までの鬱憤を晴らすかのようにクイーカさんは言葉を続けた。


「協会だからってお肉食べちゃ駄目って何時代だってのっ! あのクソババアっ! こっそり肉を食べようとしたらぶん殴られたしっ! でももうわたしは自由っ! お肉をたくさん食べてもっ……」


一匹の猫がクイーカさんにそろりと近づく。

そして……


「あいたっっっっっっっ!」


クイーカさんの手をがぶりと噛み付いた。

見てるだけで痛そうだった……。


「なっ何するのよっ!」


クイーカさんが猫を睨めつける。

すると猫が口を開いた。


「誰がクソババアだって?」


「リュートさんっ!」


「心配だからついてきてみればずいぶんなことを言ってくれるじゃないか」


猫がクイーカさんの声で喋っていた。


「あの……これは……?」


「失敬。これは魔法で作った姿だ。意識を飛ばして見たり聞いたり話したりできる」


「なにちゃっかりついてきてるんですかっ! ストーカーっ!」


「協会では真面目にしていたが元のお前を知っていると心配でな……」


「わたしはもう大人になったんですっ!」


「というわけで私も時折こうやって冒険に同行させてもらう」


「なにちゃっかり言ってるんですかっ! たまには顔を見せろよみたいに格好つけて帰ったくせにっ!」


「それはそれ。これはこれだ」


「きなこさんとのらぶらぶな夜も過ごせないじゃないですかっ!」


「それをさせないためについていくのもあるんだがな……」


「変態っ!」


「どう言われようがけっこうだ。……来客みたいだ。もうお前は協会を離れたから肉を食うなとは言わんが量は自重しろよ」


言って猫は消えた。

たぶんウドゥさんが到着したんだろうなと思った。


「やけ食いしてやるっ!」


「ちょっちょっと!」


クイーカさんがぼくの手を引っ張って勢い良く歩く。

その目にはお肉しか移っていないみたいだった。


…………

…………


「美味しかったですっ!」


とても満足そうなクイーカさんの表情。

本当にいい食べっぷりだった。

ぼくもお肉を食べた。美味しかった。


「でも何の肉かは書いてませんでしたね」


「そこらへんはわりとアバウトですからねっ!」


「……それ大丈夫なんですか?」


悪い病気とかにならなければいいんだけど……


「毒があるとかないとかはちゃんと検査がありますからね。冒険者が取ってくる肉が出ることが多いです」


「冒険者が取ってきて売ったりするんですか?」


「ですねっ! 貴重なお肉は高い値段で売れたりしますっ! 貴重なお肉は高級店に行きますけどっ!」


「そういえばお金は大丈夫なんですか?」


「さっきはわたしが払いました……あっ忘れてましたっ!」


「?」


「えっとですねっ! 移住者には最初、30万クルトンを渡すんですっ!」


「30万クルトン?」


「クルトンはお金の単位ですねっ! だいたいこういうバザールで食べるごはんが400クルトンぐらいですっ!」


そして聞いた説明によるとぼくのいた世界とあんまり変わらない物価だった。

だから……


「そんなに貰えるんですかっ!」


ぼくは驚いた。

10万以上のお金を持つのはもちろん初めてのことだった。


「でも30万クルトンって節約して使っても2~3ヶ月でなくなっちゃうんですよね」


「それ以降は自分で稼がなくちゃいけないんだね」


そう考えるとそんなに多くないんだなって思った。

お金はなんだか難しい。


「わたしの貯金もありますのでしばらくは大丈夫ですがクエストをこなしたりしてお金を稼ぐ必要はありますね」


「あんまり使わない方がいいんだね」


ぼくはあらためて店を見回す。

買いすぎて生活できなくなるのはだめだと思った。


「クイーカじゃねーかっ!」


そして声をかけられた。

見てみるとそこには色々なものが置いてある露天商があった。

そしてそこのお店の人は体が緑色で鬼をとても小さくしたような容姿をしていた」


「げぇ……なんでこんなとこにいるんですか……」


「そんなに嫌そうな顔をしてんじゃねーよっ! 商人がバザールにいるのは当たり前じゃねぇーかっ!」


「クイーカさん」


ぼくはこっそりとクイーカさんに言った。


「この人は?」


「ゴブリンのカズーです。一応商人です」


「ゴブリンっ!」


というとなんだか凶暴で人を襲うイメージしかなかった。

でもカズーさんを見るとそんなに悪い人ではなさそうに見えた。


「ぼくは悪いゴブリンじゃないよ……ってかっ! ギャハハハハハハハハ」


たぶん移住者が教えたであろう言葉が聞こえた。


「どの種族も色々だ。悪いやつもいればいいやつもいる。ただしオークは除くなっ!」


「あんたは悪いやつに決まってるじゃないですかっ!」


「俺ほどいいやつはどこを探してもいないっつーのっ!」


言いながらまだギャハハハハハハハと笑う。

悪いか良いかは分からないけど愉快そうな人だなとは思った。


「言っておきますけどあんたのとこで買うものなんてないわよっ!」


「お前も俺の腕の良さは知ってるだろっ!」


言いながらカズーさんはぼくを見る。


「ついでに言うとクイーカよりあんたに用事があるからな」


「付き合う必要はないですっ! 行きましょっ!」


「でもなんだか気になるから……」


ぼくは店に置いてある商品を見回す。

本当に雑多に色々あった。


「俺の店が気になるってのは有能な証拠だなっ! おにーさんっ! 名前はっ!」


「きっ……きなこです……」


「きっきなこか……」


「きなこですっ!」


「きなこか。いい名前だなっ! ……ところできなこ。移住者だろ? ちょいとマイステータスカードを見せてくれないかね」


「薄汚いゴブリンに見せなくていいですっ!」


「おいっ! それは種族差別だぞっ!」


「薄汚いカズーに見せなくていいですっ!」


「それは俺個人を指してるから差別ではないな。実際に俺は薄汚いしなっ! ギャハハハハハハハハ」


「でもどうして見せたほうがいいんですか?」


「そりゃその人にあった商品を紹介するためさ。戦士に魔法のステッキを売ってもしょうがないだろっ!」


「……その……笑いませんか?」


「笑って儲かるなら笑うさっ! でも笑ってもお前はお金はくれないだろ?」


「それは……そうですね」


なんだかカズーさんは信用できそうに思えた。

クイーカさんがなんで毛嫌いしてるのか分からないぐらいに。


「これです……」


ぼくはマイステータスカードを見せる。


「ふむ……。これは珍しいステータスだな」


そしてカズーさんは笑わなかった。

真面目にぼくのステータスカードを見ていた。


「その……おかしくないんですか? そんな低い数値……」


「おかしいとえいばおかしい。こりゃ明らかに最弱だ」


でもな。

とカズーさんは言葉を続ける。


「強さと弱さってのは表裏一体だ。最弱だからこそ最強になれる可能性がある。と俺は思うぜ」


最弱だからこそ最強になれる。

なんだか目からウロコが落ちそうな言葉だった。


「でもまぁそのステータスじゃ魔物狩りは厳しそうだなっ! するとしたら採取系か?」


カズーさんはぼくにマイステータスカードを返してぶつぶつ言っている。


「採取系ならいいものがあるぞっ!」


言いながら出してきたのはリュックサックだった。

でもとても古くて色も地味。


「なんですかそれ……。そんなのきなこさんに似合わないですっ!}


「確かにこれはボロいし地味だ。でもな特別な魔法がかかってる」


「魔法?」


興味深い言葉っ!

魔法がかかった道具というだけでわくわくしてきた。


「これは生物じゃなければいくらでも入れることができる不思議なリュックサックだ。おまけに入れたものは割れたり壊れたりしない!」


「すごいっ!」


見た目は普通。

でもいくらでも入れれるなら本当に凄いと思った。


「ただ重さを減らすことはできない。でも薬草とか集めて持って帰るのにはもってこいだぜ」


「確かにいい商品ではありますね……」


ふむふむとした感じでクイーカさんが見る。


「さすがにこういうレア物商品を探させたら天下一品ではあります」


「ギャハハハハハハっ! 俺様は超一流だからなっ!」


「それでこれいくらですか?」


「20万だな」


持ち金の半分以上!


「高いですっ!」


クイールさんが抗議の声を上げる。


「言ってもたくさん入るだけですよっ! いくらなんでも高いですっ!」


「おいおい。そのたくさん入るってのがどれだけ凄いか分からないならモグリだぞ。第一ここで買えなかったら二度と目にすることすらできないレベルのレア物って分かってるだろ」


「それは……」


しゅんとなるクイーカさん。


「どうするかはきなこさんにお任せします。きなこさんのお金ですし……」


それなら……


「買いますっ!」


ぼくは決めた。

ここで会ったのが何かの縁だと思った。


「なかなかいい返事だっ! 人ってのは目の前の金で計算する。でもお前はそうじゃなさそうだなっ!」


「それは褒められてるんですか?」


「両方だなっ!」


ギャハハハハハハハ。

という笑い声が響く。


「気に入ったからおまけにいろいろ鞄の中に入れといてやるっ!」


言いながらカズーさんはてきとうに商品を取っては鞄の中に入れていく。


「魔物避け薬、毒消し草、ミール海の塩……なんだか今日はやけに気前がいいですね」


「俺様はいつでも気前いいぞっ!」


色々入れた後にリュックサックをぼくに渡す。

お金を持っていたのはクイーカさんなので……


「20万クルトンですっ!」


「確かにっ! まいどありっ!」


「……それで利益はどれぐらいなんですか?」


クイーカさんが言うとカズーさんはにやりと笑った。


「それは流石に教えられないなっ!」


「もしかしてぼったくりですかっ!」


「ぼったくりかどうかは買ったきなこが決めることだっ!」


ぼくは買ったばかりのリュックサックを背負ってみる。

なんだかとても馴染む感じがした。

昔かた持っていたもののように。


「ぼくこれ買ってよかったですっ!」


「それならいいんですが……」


「また会えたら何か買ってくれよっ!」


店を去るぼくたちにカズーは言う。

いい人に出会えたと思った。


「次はギルドに行きますっ! 冒険するには最低3人っ! だからあと1人っ! 張り切って誰か見つけましょう!」


「うんっ!」


ギルドでもきっといい出会いがありそう。

なんとなくぼくは思った。

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