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Ⅶ.沸騰
「お疲れ様です。」
ドキドキしながら部室に入った。
「お疲れ様〜!パート練しよ〜!」
先輩たち。よかった、普通だ。
「部活おわりまーす!」
「ありがとうございました!!」
なんか、楽しかったな。…
ふわふわドキドキした気持ちで部室を出た。
ふっと外を見るとサッカー部がいた。
あいつもいる。よくわからなくてムカつくやつだけど
今日は気分いいから応援してやるか。
「なーんてね。」
風を浴びようと教室の窓を開けた。
「やっぱムカつくよね、あの1年。」
「調子乗ってるよね〜」
「絶対音感あるらしいよ。なんなのあの子。」
「やだよね〜調子乗るなってかんじ」
ひやっとした。先輩たちだ…
耳が痛い。頭が痛い。
好きでこの耳なわけではない。
いつも聞こえる心地よい生活音は消え去り
先輩たちの声が頭の中で楽譜に変更される。
気持ちが悪い…吐きそう…
「はぁ、はぁ、はぁ、うぅ。はぁ、」
息が苦しい。やばい……
"パサっ"
急に頭を何ががおおった。
「タオ ル?」
びっくりして顔を上げると転校生。
安藤紺が立っていた。
「安藤くん?なんでここに、」
無表情の安藤は両手をポケットに入れた。
「落ち着いた?」
予想外の言葉にキョトンとしていると
彼はポケットから手を出してタオルの上から私の耳を覆った。
"っっ!!"
自分の中の何かが沸騰して顔が真っ赤になるのを感じた。




