涙の真相、ドンデン返し 【15】
「僕と君とは、実の兄妹なんだ」
判らない。
「どう言う事?」
判らないよ、わたし。
「お兄ちゃん__!」
それってどう言う意味?
もしかして、お兄ちゃんもサウロロフスの王子だとか?
「__レジェナ__」
お兄ちゃんは、顔を顰めるように声を絞り出した。
「いいかい、これから話す事は他言無用だ。絶対に、誰にも言ってはいけない__」
一体、何を話すのよ。その言葉に、わたしは胸を締め付けられるような想いだった。
「__十七年前__」
お兄ちゃんは、静かに語り出した。
「当時の国王、ケラト・ディアトリマ・バリオニクス・マルディール陛下と王妃様の間に、一人の女の子が誕生した」
それは聞いてるよ。
「しかし、折角お生まれになった王女様は、生後僅か四月で御他界あそばしたそうだ」
え?
どう言う事?
「当時サウロロフスの政情は既に危機的な状況に在った。如何に御世継ぎではなかったとは言え、漸く誕生なされた王女様がお亡くなりになったとあれば、風向きがどう変るかわからなかったんだ」
「__」
「王女様の御生誕とほぼ同じ時期に、近衛隊長トイデス大佐の元にも子供が生まれていた。しかも、王女様と同じ女の子だった」
それって、まさか……
「トイデス大佐を始め、主だった重臣たちは予めこの事は公にせず、秘密にしていたようだ。どうやら、父さんたちはこういう事態を、姫君が夭折為されると言う事も含めて不測の事態を予想していたらしいんだ。当時から、サウロロフスの権力闘争はかなり危ない状況だったからね。もしかしたら、影武者に使うつもりだったのかも知れない」