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タイトルを少し変更しました。今後とも宜しくお願いします。
一週間振りに学校へと登校するといつ以上に視線を集めているのがわかる。
多分今日から登校しているであろう影継も同じような視線を浴びてることだろう。
先日襲われた事件については特番が組まれるレベルのニュースらしかったのだが、俺がそれを拒否したので表立ってニュースにはなっていない筈なのだが……
さすがに地元の人達には隠しきれないか。
まあ考えても始まらないし終わらないので、普段と変わらぬ感じで教室のドアを開けと
「………………」
無言である。
普段であれば入口近くの女子生徒がたどたどしくではあるが挨拶してくれるのに。どうやら今日は喋っちゃいけないゲームでもしているっぽいな。そう思うほかあるまい。
そんな悲しい妄想をしつつ自分の席へと進むと佐藤さんと鈴木さん目があった。
「おはよ」
とりあえず挨拶を試みてみたが二人は気まずそうに顔を見合わせてはヒソヒソと内緒話を始める始末。
マジでこれって傷つくんだけどなー。女子ってそういうこと分かっててやってるのかなーとか色々考えながらも席へ座るしかない。
内緒話が終わったのか佐藤さんが"おしっ"と気合を入れながらこちらに振り返った瞬間
「田中太郎さんはいますの?」
教室のドアが開くのと同時に聞き覚えのある声が教室に響く。その声のする方視線を向けると縦巻きロールがお似合いの四十九院さんが珍しく一人で立っていた。
教室を見渡す様に視線を動かす彼女は直ぐに俺を見つけると優雅に縦巻きロールを揺らしながらこちらに近づいてくる。
正直彼女が一人で俺の所に来るなんて影継案件以外の何ものでもないのは分かりきってる。恐らくあの事件について怒ってらっしゃるのだろう。俺と遊びに行かなければ大切な人が危ない目に遭うことはなかったのだから。
四十九院さんは俺の前まで来ると"ふう"と一息つき綺麗に頭を下げてきた。
「田中太郎さん。以前は京華院影継を助けて頂き心から感謝致します。そして感謝の言葉が遅くなり申し訳ございません」
まさかの言葉に意をつかれ軽く放心していると、
「太郎! 沙羅がここに来ていないか!」
これまたややこしいヤツがややこしいタイミングで登場だこと。
見ろよこの状況を! お前の未来の嫁が他の男に頭下げて肩震わしてるこの状況をよ。
そして影継もこちらへゆっくりと歩いてきた。その姿にクラスの女子達が道を譲って道になる。
俺の前、そして嫁の隣に立つと
「太郎、この前は本当に助かった。改めて礼をしようにもお前の家も連絡先も知らなくてな。学校へ問い合わせたがやはりと言うか教えてもらえなかったのでこのタイミングなってしまった。ずっと沙羅と一番に礼をしようと話していたんだが、まさか抜け駆けするとは思ってもいなかった」
こいつめ、と嫁の頭をワシャワシャと撫でる影継に"やめてくださいまし影継様。他の方もおられる中で"とかなんとか、言葉と表情がてんでバラバラのお嬢様だこと。
「その件に関してはお互い怪我も無く無事だったんだからお終い。大人になったら酒を飲みながら笑い話にでもしようぜ」
もうこいつらのイチャイチャする様を見たくないというのと、俺の中ではこの話は終わりという感情が九対一の割合でミックスされて出た言葉だ、嘘はない。
「ああ、わかったよ太郎。あとお前は要らないと言うだろうがやはり礼は何かさせてくれ。俺と沙羅からの気持ちだと思って」
そう言われると断り辛いものがある。
「それじゃ、三人でご飯でもどうだ? どちらかの家に行けば危険もないだろうし」
この提案に四十九院さんは驚いていたが影継は直ぐに"わかった"と言ってくれた。
それから実は交換していなかった連絡先を四十九院さんも含めて行い、とうとう俺の携帯に初めて友達が登録された瞬間だった。細田さんとその上司の田村さん。後は校長先生という寂しい内容だったのだが……いやいや数じゃない!
携帯を見ながらニヤニヤしていたのが伝わったのか、影継に心配されたので事実を伝えると"お前ってヤツは"と心底呆れられたような、納得されたような顔をされたが悪い気はしなかった。
そこから日程はまた連絡しようという流れになり解散。二人が出ていくと同時に田中先生が入ってきた。
「おはようございます。今日から風邪が治った田中君も登校してることですし、あまり騒がしくしないように」
そう言えば俺って風邪をひいて休んでたことになってるんだった。まあ皆気がついてはいるだろうがそれはそれ。
そのまま田中先生の授業が終わり休憩時間になると俺は携帯を取り出し先程追加された二人の画面を眺めることに。そこでふと気づく……ん? 同じプロフィール写真だと?
登録された名前は勿論違うが、使用している写真はどちらも同じく二人で写っている写真だ。
あー、やっちゃってますわこの二人。影継は恐らくこういうの苦手そうだし四十九院さんだろうな。
と言うか、俺のプロフィール写真って初期のまんまか。特に意識してなかったけど、こうして友達が増えた事だし帰ったら少し考えてみるか……
「佐藤さんと鈴木さんはどんなプロフィール写真にしてるんだ?」
質問したと同時に先程無視された事を思い出す。
"やっぱり何でもない"と言う前に俺の目の前には二つの携帯画面が無言で差し出された。
一つは休みの日にランチへ出掛けたのだろう、私服の佐藤さんと鈴木さんが笑顔で写っている。パフェのサイズがおかしいのは無視だ。
もう一つは鈴木さんの写真だ。俺は反射的に鈴木さんの携帯を手に取りこれでもかと言うくらい凝視する。
「は、恥ずかしいから返してよ田中くん」
とか聞こえた気がしたが気のせいしておくか。俺は携帯の角度を変えたり、自分の頭を動かして下から覗いたりと色んな角度から写真を見つめる。勿論携帯の画面はどこから見ても平面なのは知っているがこれは抑えきれん。
「あんたいい加減にしなさいよ! 哀ちゃんが困ってるじゃない」
その声と同時に横から携帯を佐藤さんに取られてしまったが、俺の両手はそれを追いかけるように求めてしまう。
「な、なによあんた。そんなにこの写真が気に入ったの?」
「無論だ」
俺の即答が意外だったのか固まる佐藤さんと鈴木さん。
「そんな可愛い写真を見せられては辛抱たまらんと言うやつだ」
「へ、へー。あんたってもっとナチュラルがタイプだと思ってたけど……へーそうなんだ」
最後の方は弱々しく呟くような言葉だが今は気にならない。
「十分ナチュラルだろ? あー今すぐにでも撫でてみたい」
その言葉と同時に何故か鈴木さんは自分の髪を手櫛で一生懸命整え始めた。女性行動はよくわからん。
「撫で……ってあんた、そんなことしたら嫌われるわよ流石に!」
マジか! こっちじゃ撫で回したら嫌われるのか。
「嫌われるのは嫌だな。それじゃあ触らないから一緒に寝るのは駄目かな?」
先程まで髪を整えていた鈴木さんが急に自分の匂いを嗅ぎ始めた。正直言っていいならドン引きだ。
「添い寝!? あんた意外にも大胆なのね。し、仕方がないからあんたが悪さしない様に私が見張るわ」
「いや待て、それは流石恥ずかしいから勘弁してくれ。俺の後ならこの子を好きにしてもいいから邪魔はしないでくれ」
次の瞬間、佐藤さんと鈴木さん視線が絡み合った数秒後、お互い顔をこれでもかと赤くして俯いてしまった。
まあ、女子の考えなんてよく分からないからいいとして、今は確かめなければならない情報はただ一つ。
「で、鈴木さん鈴木さん。この可愛らしい猫はどこに行けば会えるの?」
画面には大型長毛種の猫を抱っこしている鈴木さんが写っていたのだ。




