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本日二話目です。



〜細田 瞳〜


 あの襲撃事件から今日で丁度一週間が経つ。

あの時太郎さんの側に居られなかった事に何度後悔したかはわからないが、今こうして隣で珈琲を一緒に飲めることに感謝しましょう。


 一番の懸念だった襲撃者の逮捕は、私の想像と違い呆気ない幕切れとなった事は今でも不思議ではありますが詳細を聞いても太郎さんは答えてくれないので仕方ありません。

相当怖い思いをされた筈です。無理に思い出させるのも酷というもの。

 その主犯格の一人である不知火華ですが、警察が現場に到着した時には何故かトップレスの状態で地面にうつ伏せで倒れていたと聞きました。一体あそこで何が……

 まあ、終わったことですし彼女を捕まえれるかが今回一番の心配事ではあったのですがこれで一安心。


 なんてしてる場合ではありません!


 同じ過ちを起こさぬよう務めるのがプロというもの。正直最近の私は少々……いえ、大分ぬけていました。


 護衛当初は周囲に気を張り、いつ誰に襲われても対処出来る自信がありました。

護衛対象が異世界人という事で普段の対応と違うことも多々あり戸惑いもしましたが仕事には支障なかった筈です。


 いつから?


 最初は"拒絶"の色で全身を覆いながらも普通に接する護衛対象の田中さんに違和感と言いますか、怖いというのが一番当てはまったかと。


 それが接する度に気になり、偶に観せる感情の揺れだったり……ええ正直この辺りから惹かれていたのかもしれませんね。


 そうして彼の色の痛みに触れた時に、自分勝手なのは重々承知ですが"守りたい"と思ったのと同時に芽生えた感情が今も私の中で日々大きくなっていくのを感じます。


 しかし私の想いとは別に、太郎さんは強かったんですよね。私が守らなくても一人で大丈夫なくらい。

 特に最近では学校で同性の友人が出来たと話してくれた時は本当に嬉しそうな色をしてました。

私は上手く笑えていたでしょうか? 「それはよかったですね」と言葉と表情が一致していたでしょうか?


 ああ、なんて愚かな考えなんでしょうか。

()が彼を守ると。

()が彼の色を変えてみせると。


 そんな時に今回の事件です。

やはり私が守らなくちゃいけないんだと自分に言い聞かせてきたこの一週間。

 わかっています! 今の状態が異常な事くらい。過剰過ぎる護衛だって事も。

 でも、こうでもしないと()が壊れてしまう。


 最低ですね私って


 自分の安心の為に好きな人に無理を強いるなんて。

護衛失格です。一週間前は私がもっと太郎さんを彩るって決めたばかりなのに……


 あら? 色々考えてたら眠気……が。最近気を張り過ぎてたのがここにきて一気に押し寄せてきたのでしょう。

 ほら、太郎さんにも指摘されてしまいました。




 ……なんといことでしょう。

気がつけば何故か太郎さんに膝枕をしてもらってます! えっ、夢じゃないですよね? 意識が覚醒した途端恥ずかしくなって体を起こそうとしたところ、優しく髪の毛を撫でてくる太郎さん。


 ああ、これは抗えない。

世の中にはこんな素晴らしい場所があったなんて。一体何人の女性がこの幸福感を知っているのだろうか。いや、今はこの幸せを感じることに専念しなければ。


 ……私汗臭くないですよね? お風呂は昨日入ったし、朝もちゃんと身嗜みは整えたはず。


 しかし緊張で額にかいた汗が一滴太郎さんのパンツに落ちるのを感じた。普段なら飛び起きて謝罪の一つでも二つでもするけど今は、今だけは許して下さい。


 寝たフリをしてなんとかこの事態をスルーしようとする私の思考に一つの疑問点が浮かんできました。

 これって好きでもない女性にもする行為なのでしょうか? 異世界事情は詳しく無い私ですが何となく違うのではと思ってしまいます。というか思いたいんです。

 そしてこの場所を佐藤さんや鈴木さんには譲りたくないという気持ちが溢れて止まりません。




"太郎さんは私のことどう思っていますか?"


 

 この答えを知ってしまったら私は……


 いえ、聞くなら今がいいでしょう。

もし太郎さんの答えが私の求める答えでなくても……いやちょっとそれは困ると言うかかなり凹む自信があります。




「もう誰かを好きになるなんて」


 頭上から不意に聞こえてきた呟きに一気に目が覚めました。

 危うく太郎さんを困らせるところでしたね。自分が不安だからその不安を消したい、楽になりたい。

 そんな事は簡単。相手に全て任せればいいだけの自己保身。




 でも、でもね太郎さん。





「私はあなたが大好きなんです」




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