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「ブルマ」が出たと同時にこちらにも出ました!通称「妖怪ブクマ外し」……ごふっ
鈴木さんの発言からそれなりに時間も経っており、今は家に帰ってあとは寝るだけの状態だ。
布団の上で転がりながら放課後の出来事を思い出す。
あの後の会話を整理すると、鈴木さんの曽祖父は俺と佐藤さんと同じ世界からの転移者で残念ながらもう亡くなっていること。昔に起きたお嬢様学校での火遊びの張本人で、その時鈴木さんの曾祖母にあたる人とまあ、そのなんだ、やることやってできるもんできちゃったと。
それ以降鈴木家の女性は格式高い学校へは通うことなく、今のような平均的な学校へ通っていると説明された。実はその結婚も鈴木さんの家からしたら本意ではなかったものの、当時の二人の熱い説得に折れてしまったらしい。
でも、そうやって異世界人から遠ざけた先で俺という異世界人に出会うという偶然に「これって……運命ってやつかな?」と照れ臭そうに頬を掻きながらおどけて見せた鈴木さんに不覚にもドキッとしてしまった。
それにしても元々お嬢様学校に通うような家柄で、異世界人とはいえ男性との結婚も乗り気ではない家ってどんな家なんだろうか?
~鈴木 哀~
「田中太郎くん……」
お風呂で足を延ばしながら自然と口から零れた言葉。
私の中にも異世界人の血が流れており、特に色濃くその血を継いでいるとおばあさまから聞いたことがある。だから私の考え方はこの世界の女性とは少しズレていて、昔はそれで周りから変な子として見られていた。
「いいかい哀、それは哀の中の血の所為だよ。今は周りと違う考えや表現に戸惑うことも多いだろうけど、いつかそれをわかってくれる男性がきっと現れる。だから無理に周りに合わそうとしなくていい。だから今の哀のままでいておくれ」
私の頭を撫でながらそう言ってくれたおばあさまも去年私を残して遠くへ云ってしまった。
それにしても佐藤さんもやっぱり異世界から来てたんだ。初めて見た時はちょっとした違和感というか既視感というか、なんだろう気になる子だなぐらいに思っていた。だけど同じクラスになった田中君とのやり取りを見て私の疑惑はドンドン確信へと近づいて行く。
決定的だったのは田中君と佐藤さんとの「ブルマ」の会話だった。
まさか曽祖父が言っていたという「もしブルマに反応する男がいるとしたらそいつは異世界人だ」がまさか本当だったことに驚きを隠せない。
なんであんな布に反応するんだろう?確かに昔履いていたズボンタイプより動き易くていいと思うけど。
「そしてそいつは儂に感謝するだろう。なんせこの世界にブルマを広めたのは儂じゃからな」とも言っていたと言うがこれは黙っておこう。なんか釈然としない。
この他にも「壁ドン」「顎クイッ」「お姫様抱っこ」等数々の言葉を残して去った曽祖父には今でも信者のような人達も居ると言うのだから世の中何が起こるかわからない。
でももし、田中君に壁ドンされて顎クイッのコンボを決められた日には私はそれに抗えるのだろうか?
因みに純情だった曾祖母はそのコンボで一瞬でKOされたらしいとおばあさまが教えてくれた。
ちょっと想像するだけならいいよね?田名君に迷惑かけるわけじゃないし。
一人暮らしなので誰かいる筈もないけどキョロキョロと周りを確認してしまう私は臆病なのかな。
十分後
「危ない。危うくお風呂で死にかけるところだった」
想像に想像を重ねていくとこまでいってしまった私は命からがらお風呂から出て、今は脱衣所で倒れている。上半身は脱衣所、下半身はお風呂場という状態で。
もしこれをお母さまが見たらなんて言うだろう「なんてはしたない姿です哀さん。そんな姿をあの人にでも見られたらどうするつもりです」と怒るに違いない。
それはそれでいいかな。こんな姿で呆れてくれるなら大歓迎だ。いくらでも……いややっぱり見ないで欲しい。さすがに恥ずかしいです。
こんなところが私がズレているところだろうか。多分他の女性なら喜んで自分の裸体を男性にみて欲しいのだろうけど、私はそこにどうしても羞恥心が生まれてしまう。
いい具合に体も冷めてきたのでゆっくりと起き上がり、タオルで体と髪の毛を拭いてパジャマに着替えリビングへ戻ると丁度携帯電話が鳴り始めた。
もしかして連絡先を交換したばかりの佐藤さんかな?と画面に表示される名前を見ると
「お母さま……」
そこには思っていた人物とは違って、あまり話したくない人物の名前が表示されていた。それでも出ないという選択肢は私には用意されていないので
「もしもし哀です、お母さま」
今日もまた小言を言われるんだろうなと思いつつも電話に出ると
「こんばんは哀さん。今お時間よろしいかしら?……そう。それでは一つだけお伝えしたい事が」
どうせいつものやり取りが始まるんだろうなと内心ため息をついていると
「哀さんの学校に異世界人の男性が編入してきたそうですが、彼と係わることを一切禁じます。それでは」
それだけ言うと電話を切られてしまった。
一瞬何を言われたかわからなくて携帯を持ったまま固まってしまったけど、直ぐにかけ直すと
「なんですか哀さん?お話はもう終わった筈ですが」
お母さまの先程と変わらない口調が耳を打つ。普段は気にならないけど今はその静けさが怖いとすら感じてしまう。でもさっきの言葉には従えない。空いてる手をギュッと握ってから
「お言葉ですがお母さま、なぜそのような事をおっしゃるのか伺ってもよろしいでしょうか?」
それでもお母さまに比べ、私の声は少し震えるのを隠せない。
「理由もなにもあなたもわかっていると思ったのですが。改めて説明しないといけないかしら。あなたは性格は別として頭は良い方だと思っていましたが……」
「ええ、残念ですがお母さま。あなたの娘は性格も頭も残念に育ってしまいまして。申し訳ございませんが不出来な娘に理由をどうか教えていただけないでしょうか」
電話越しに伝わってきたお母さまのため息。そのあとに出てきた言葉はやはり私が今まで散々聞かされてきた内容だった。
「いいですか哀さん。今までも何度も言ってきましたが異世界人もとい、おじいさまの所為でどれだけ我が鈴木家が迷惑を被ってきたか知らないわけではないでしょう。そんなおじいさまと同じ世界の男性ともしものことがあったらあなたは責任をとれるのですか」
わかっていたことだけど言葉にされてしまうと反論の言葉が出てこない。
私が生まれた鈴木家はこの国でも有数の資産家で財界に大きな影響を与えてきた家だ。それが異世界から来た曽祖父の好き勝手により、一度は傾きかけてしまったのだ。当時を知らない私にはその時のことはわからない、けど相当苦労したと一度だけおばあさまの愚痴を聞いたことがある。
なんとかおばあさまの代で持ち直し、それをお母さまが継いだのが今の鈴木家で私はその跡取り娘。
代々通っていた学校を替えてまで異世界人との接触を断とうとしていたのに、それが逆に仇となり田中君は私の通う学校へと現れた。
「なので哀さんには前にも話しましたが、この世界のしっかりとした家柄の男性と結婚してもらいます。いいですねこれは家の為でもありあなたの為でもあるのです」
お母さまが家や私を大事にしているのは知っている。
だから言葉は厳しいけど家の将来と私の将来を考えたらきっとお母さまが正しいのだろう。黙っているとそれを肯定と受け取ったのか
「いいですね。それとあなたの髪の色とお化粧も直しなさい。それと学校ではふざけた口調みたいですが、そんなことをしてあの人に嫌われようとしても無駄です。既に哀さんの昔の写真を見せていますので」
そう言ってまたもや電話を切られてしまった。
思いっきり携帯電話を振り上げて床に叩きつけようとしたけど、グッと堪えて机の上に静かに戻しズルズルと床にへたりこんでしまった。お母さまが持ってきた縁談相手が嫌いそうな容姿と口調に替えてたのもやっぱりバレていた。
そこで何度目になるか、小さい頃に聞いたおばあさまの話が蘇る。
「確かにお父さまの所為で鈴木家に危ない時期があったのは事実だよ。でもね、そんなお父さまの隣でお母さまはどんな顔をしていたと思う?」
私はそれに「悲しい顔?」と答えるのだ。でもそれにおばあさまは
「違うよ。お母さまはいつも”笑顔”だったさ。苦しい時でも悲しい時でもいつも笑顔だった。もしかしたら誰もいないところで泣いていたかもしれない、苦しんでいたかもしれない。だけどね、お父さまの隣にいたお母さまはいつも笑っていたんだよ」
そして最後に「私はそれが羨ましかった」と言うのだ。
おばあさまは傾いた家を持ち直す為に他家の男性との結婚を余儀なくされたからからと思っていたけど多分違う。
家の為の結婚、それでも自分の母親のように普通に”笑って”いたかったのだろう。好きな相手と一緒に……今ならそう思うことが出来る。
まだ彼の顔をちゃんと見てない、仮面越しだから声も少しくぐもっている。出会ったばかりで性格もまだわからない。けど少しエッチなのはわかる。仮面越しでもなんとなく私の胸を見ているのがわかるから……そんな彼にこんなことを言うのはお門違いだってわかってるけど……けど
「助けてよ田中くん」
作者の小話⑪
仕事も始まり隣人と会う時間も減ったが別に気にもしていなかったとある週末。
「町を案内してあげる」と突然家にやってきて告げられた用件は、引っ越してきてこの町をよく知らない俺にとっては別に断る理由もなくそのまま町を案内された。
その時、同じ町で働く隣人の友人を数人紹介され、その中でも特に仲が良いという女性と三人で晩御飯を食べに行くことに。
隣人は俺より十歳年上で友人は同い年だった。なんでもこんな田舎にくる男なんて少ないみたいで町は高齢化が進んでいるとお酒を飲みながら話してくれた。確かに会社でも町でもあまり若い男を見ない。同じく若い女性も。中学を卒業すると皆都会の学校へ行ってしまいあまり町には残らないらしい。
そんな閉鎖された町でどうやら俺はかなり面倒な女性の部屋の隣に引っ越してしまったと気が付くのはそう時間は掛からなかった。
つづく




