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・・・これを使っちゃいけないと知らずめちゃ多用してた……
これからは数字も漢数字に統一していこうと思います。
「どうしたんですかこんな場所で?」
珈琲でパンを流し込んでから尋ねてみると再び大きなため息をつかれた。
「それはこっちのセリフだよ。どうしたらこんな場所で男子が一人でお昼を食べることになるんだい」
それはカクカクシカジカで、と説明すると「情けないねえ」と言われる始末。
「いや、あんたもそうだが私が言いたいのは女子に対してだ。一言、一緒にご飯食べようぐらい言えないもんかね。」
「まあ善処します。それでどうしてここへ?もしかしてストーカーですか?」
発信機とかついてないよな?襟の裏とか調べてみるが特になにも見つからない。またまた呆れられたが要約すると、細田さんへ校舎の案内をしつつプロの目線で学校の防犯のアドバイスを貰っている途中らしく、なのでこんな人の来なさそうな場所に足を運んだとか。ついでに食堂から「編入生の男の子が何も買わずに出て行ってしまった。何か不満があったのだろうか」という連絡を受けていたらしい。……すいません。
「明日からお弁当作りましょうか?」
とは細田さん。それはそれで大変嬉しい申し出なのだが、今でも彼女にはお世話になりっぱなしなので少しでも負担を減らしたい。
「それはまた次の機会に取っておきます」
そうして少しの間雑談に興じているも予鈴の音でお開きとなる。最後に校長先生から聞いた話では、食堂では生徒手帳を販売機にかざせばそれで会計が可能とのことだった。最初から教えてくれなかったのは、まさか俺が一人でご飯を食べるなんて思ってもいなく、一緒に行った生徒に教えて貰えるとふんでいたみたいだ。甘いな校長先生。俺はそんなにコミュ力高くない。
もし、コミュ力を測るスカウターなるものがあれば「……コミュ力……たったの五か。ゴミめ」と言われてしまうくらい雑魚なのだ。
次の授業に遅刻しそうなので少し駆け足で教室へ戻るとどうやら俺が最後みたいで、皆席へちゃんと座っていた。別に悪いことをしたわけでもないけど、ちょっと気まずい雰囲気の中自分の席へと座る。
進学校でもない当校はそこまで勉強に力を入れているわけでもないので、俺の頭でもついていけるレベルで助かった。これが女の子目当てでお嬢様学校へ行ってしまった日には授業についていけずに非行に走っていたことだろう。
そうやって本日の授業は無事終了してそれぞれが放課後の予定へ。
部活動をしている人は部活へ。帰り道にお茶していく人達は早々に帰宅。
俺も帰る準備を済ませてとある場所へ向かおうとすると
「田中君はどっか部活は入らないの?」
その一言で今までざわざわしていた教室が一瞬で静かになった。
聞いてきた鈴木さん本人も驚いている。気のせいでなければ他のクラスの女子が廊下から聞き耳を立てているのもこの世界ならではなのだろう。
「特に今は考えてないかな。それにまだ何があるかも知らないしな」
とりあえず無難な回答でこの場を去ろうとするも
「だったらあたいが案内してあげようか?丁度花っちと一緒に行くところだし」
なんてコミュ力なんだこの子は。俺のスカウター新品なのに割れちゃうよ?それに折角女子だけで見学出来るのに、そこに俺が入ると佐藤さんが迷惑するだろうしな。当の花っちはあだ名を聞かれたのが恥ずかしかったのかキッとこちらを睨んでくる。わかってますわかってますよ行きませんから安心して下さい。
「また気が向いたらお願いするよ」
そう言って教室を後にすると、止まっていた生徒達も何事もなかったかのように動き出した。さてと食堂に人はまだいるかな?そうして今度は迷うことなく俺は食堂へと足を向けた。
……閉まってる。
もしかしてそうかもしれないという気がしていたが、やはり食堂の入り口は鍵がかかっていて開かなかった。窓から中を覗くも人影も見当たらない。
明日の昼にもう一度来ようと踵を返そうとすると
「おや、ここになにか用事ですか?」
食堂の角からおばちゃんが話かけてくれたのでそちら見ると、正に俺の中の”食堂のおばちゃん”が立っていた。
「食堂の人ですか?」
と尋ねると肯定の返事が返ってきたので、素直に食券の買いかたがわからなくて帰ってしまった。明日からは利用させてもらうことを告げると
「あらあら、わざわざありがとう。気にしてたスタッフもいたから私から伝えておくわね。それじゃおばちゃん明日も頑張っちゃうから」
のほほんとした人だなと去って行く後ろ姿を見て安心する。校長先生も最初はあんな感じだったのに今じゃ見る影もない。
細田さんが居る職員室まで歩いているとグラウンドの方から部活をしている元気な女子達の声が聞こえたので、ついつい足をそっちに伸ばしてしまう。そこで目にしたのは
「ぶ……ブルマ……だと」
もとの世界の絶滅危惧種がそこでは飛んだり跳ねたりしている。
まさかこんな所で元気な姿が見れるなんて思わなかった。そうか、元気にやってるならそれでいい。ブルマは元気が一番だ。一人感動していると
「あんた……まさかブルマ見て喜んでんの?」
いきなり話しかけられてドキッとしてしまう。別に悪いことをしてるわけじゃないのにびくびくしてしまうのは何故だろう。仮面で俺の表情は分からない筈なんだけど……
「ああ、花っちか。いやなに、ふと懐かしさに駆られてね。多分だけど花っちも小学校のころはブルマじゃなかった?俺は動き易くていいと思うけどねブルマ。勿論履いたことなんてないけどね。それに選手からしたら機能性重視したんじゃないかな?いや知らんけど。でも長い間使い続けられるってそれだけブルマが優秀ってことじゃないのかな。なのにいつの間にかブルマが絶滅していったことは日本男子としては悲しく思っていたところだよ。それに見てごらんよ。あの生き生きしたブルマの姿を。俺はブル」
「ブルマブルマ連呼するな――それになにしれっと花っちって呼んでんのよ!」
まだまだ言いたい事はあったのに佐藤さんに止められてしまった。テンションが上がってつい”花っち”なんて呼んだこともご立腹みたいだ。
「いいな花っち。田中君からあだ名で呼んでもらえて。羨ましいし」
ぼそっと呟いた鈴木さんの言葉でお互い言い合いを一旦止めて彼女を見ると
「だって基本”おい”とか”お前”とかでしか呼ばれないんだよこっちって。だからあだ名じゃなくても”鈴木さん”って呼んでくれるだけで、あたいは嬉しいのに花っちは……」
佐藤さんは慌てて弁明しているので俺は彼女に任せてしれっと帰ろうとするも、鈴木さんの言葉で足を止めるしかなかった。
「それに、花っちも田中君と同じ”異世界人”……だよね?」
勢いよく振り返ると佐藤さんは驚いたと言わんばかりに固まっているし、鈴木さんは腕を後ろに組んで「秘密だった?」と苦笑いを浮かべている。
「だって、花っちの田中君への態度が変だもん。男子と接するのに慣れているっていうのかな?それとはちょっと違う気もするけど、この世界の女子校生の態度じゃないのは確かだよ」
それを聞いて”俺は知らないからな”と視線で彼女に訴え、この場を後にしようとしてもう一度足を止めることとなる。
「それにさっきの田中君の言いかたもヒントになったし」
今度は佐藤さんから”なんてことしてくれてんのよ”と視線で訴えられた。多分仮面がなかったら泣いてたかもしれない程佐藤さんの視線は怖かった。
因みにどこがヒントになったか今後に生かすために聞くと
「ブルマ」
たったそれだけでバレるなんてブルマって偉大だなと感心するも束の間
「もう亡くなってるけど異世界男子にとって”ブルマ”は至高!とかいう人がいてね……それから殆どの学校で体操服はブルマになっちゃったの。この世界の男子にとってはどうでもいいことみたいだったから、ブルマを見て歓喜する人は十中八九異世界人。んで、それに対して花っちのツッコミもこの世界の女子のそれじゃなかった。まあこんなとこだよ」
あの名探偵達も真っ青な推理に俺は驚愕した。
「しょ、証拠はあるのか?俺が犯人だっていう証拠がよ!」って叫ぶ犯人に「これがその証拠だ」って言いながらポケットからブルマを取り出すどこかの孫を見たぐらい驚きだよ。
肉体と精神が一致しないどこかの小学生探偵の番組最後のヒントがブルマだったぐらい驚いた。どうやってそれで犯人に辿り着くんだよ。そんなのただの変た……やめておこうブーメランだこれ。
「あのね哀ちゃん。勝手なお願いなのはわかってるんだけどこのことは……」
そんな佐藤さんのお願いに鈴木さんは
「わかってるよ花っち。もしこのことがバレたら他の女子からの嫉妬とか酷そうだし、もしかしたらいじめに発展するかもしれない。花っちがそんな目に合うのは嫌だし黙っておくよ」
「ありがとう哀ちゃん」
ちょっとヒヤッとした場面はあったけどこれで一件落着。
女子二人の友情も深まってよかったよかった。これも全てブルマのおかげだ。すげーなブルマって。
「それになんか花っちのことを初めて見た時から妙に気になってたし」
ちょっと恥ずかしそうに指先を合わせながら下を向いている鈴木さん。目の前の佐藤さんはゴクリと喉を鳴らす。
おっ、この流れはもしかしてあれですか?白い花が寄り添うあれですかあれですね!見てはいけない気がするけど見てみたい。両手で目を覆うもしっかりと指先から二人は見えている。……俺、仮面してたんだ。
「実はあたいの曽祖父が異世界人なんだ。だから私にもほんの少しだけその血が流れてるの」
ん?
作者の小話⑩
次の日もピンポーンとチャイムが鳴りドアを開けるとやはり昨日の隣人が立っていた。
「こっちに来て日が浅いけどインターネット使える?もしまだ回線ひいてなかったら私の回線使ってもいいよ」
なんて親切な隣人なんだ!まだネット回線が繋がっていなかったのでパスワードを教えてもらい早速その日の夜からネットを繋げた。
(なんて優しい隣人なんだ!これが田舎の良さってやつか!!)と貰った地ビールを飲みながら思っていたんだ。
そう
思っていたんだ……
つづく




