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猫カフェでもらった元気を執筆に変換!
鈴木さんが返ってきたのは授業が始まって5分程してからだった。
泣いた後を隠す為か目元の化粧が更に濃くなっている。実は少しだけギャルメイクではなく、俺が可愛いと言った素に近いメイクで帰ってくるんじゃないかという思いもあったのだが外れてしまった。
いや、外れたほうがよかった。
男に言われたから変えましたでは嬉しくない。どうせなら”俺”に言われたから変えましたのほうがグッとくるものがあるのだ。
それに鈴木さんはがあのギャルメイクを気に入っているという選択肢もあるわけで、今の俺にとやかく言う権利はないしな。
それにしても数学というのはいつ見ても理解が出来ない。これならまだヘブライ語のほうがわかると思うぞ。いや無理です、はい。
まだ算数だったころからの苦手教科。得意なのは社会と理科だが、この世界の歴史を覚え直すのには苦労しそうだ。なんたって歴史上の人物の殆どが女性なので流れも変わってくる。戦いの理由の9割が男性に関してなのはご愛敬と言うしかない。
黒板とにらめっこしながら唸っていると、鈴木さんと目が合った。
直ぐにそらされてしまったが別に嫌われたわけではなさそうな雰囲気だ。そのまま時計の針は進み数学から解放されたので、俺も囚われの膀胱を解放しに行こうと席を立つ。
教室の後ろから廊下に出ようとして扉をスライドさせた瞬間
「きゃっ」
っと、女子生徒とぶつかりそうになってしまい、後ろに倒れそうな生徒の手を思わず掴んでしまった。
「すまない。大丈夫か?」
返事はないが特に接触したわけでも転んだわけでもないから大丈夫か。
女子の横を通り過ぎて俺は男子トイレに向かうことに。数歩歩いた瞬間後ろから絶叫が聞こえてきたけど多分気のせいだ。幻聴じゃなくても俺の所為ではないと思いたい。
「私はもうこの手を洗わない!!」「ちょっと舐めさせて」「あんたとはいつか握手したいと思ってたんだよ」「誰か爪切り持ってない?」「腕相撲しよう!」「その手であたしの胸を揉んでくれませんか?」「「それだ!!」」
・・・おかしい。やはりこの世界はおかしい。
そう思いながら歩くと直ぐにトイレのマークを発見できた。
もうちょっとだから我慢していてくれよ俺の膀胱よ。直ぐに楽にしてやるから。
しかしいざ目の前まで来て俺の足は止まってしまう。
だって男のマークが見当たらないのだ。入り口は1つ。マークも1つ。勿論お馴染みの赤いやつ。
トイレに出入りする女子生徒から奇異の視線を送られながら考える・・・まさか男の娘じゃなきゃこのトイレは使えないのか?そんなバカな!!
しかし今はそんなことを議論している暇などない。
膀胱ちゃんの抗議が酷いのだ。登校初日に女子トイレに侵入もまずいが、ここで粗相をするのはもっとまずいのは俺でもわかる。
どうする?
そんなの決まっているさ。この世界で”男”は最強だ。前の世界だとトイレから出たら警察がいるのは勿論だが、ここは違う。正直この世界で”男”であることを振りかざすのは嫌だったけど時と場合による。それが今ってだけさ。
突入の決心をして最初の一歩を踏み出そうとした時
「お前はなにをしようとしてるんだ?」
”男”から声をかけられたので振り返ると、周りに女子を数人連れている男子生徒がいた。
多分2年生にいるもう一人の男子だろう。
「見ればわかると思うが?」
そいつを見ながら答えると男子生徒は俺の仮面に少し驚いた顔をして、
「女子トイレに入るのか?」
「そうだ。俺の膀胱が限界に近いんだ。これは非常に高度な話であって俺の趣味ではない」
焦りながら答えると「はぁ」とため息をつかれ
「男子のトイレはあっちだ。どんな奴か見に行こうと思ったが異世界人とやらは変態なのか?」
「その議論はまた後で思う存分行うとして、とりあえず助かったありがとう」
相手の返事も聞かずに言われた方へ歩いて行く。だって走ったら出ちゃいそうだもん。
なんだ、この世界の男もいい奴がいるじゃないか。
次の授業開始のチャイムにどうにか間に合い自分の席に着席すると
「あんた、女子トイレ入ろうとしたの?」
と、前の席の佐藤さんから凄い蔑んだ目で問いかけられた。本当に自分が黒光りするやつになった気分だけど・・・あれ?ちょっと情報まわるの早すぎない?
この世界の女子からすると俺が女子トイレで用を足すのは忌避されることではなく、寧ろ歓迎されて次からその個室だけ行列が出来るレベルだ。
だけど俺と同じ世界から来た佐藤さんにとってそれはただの変態行為でしかないのだ。
まあ、俺もそれが変態行為というのは承知の上だったのだが・・・それはそれでヤバいか。
「緊急事態で仕方が無かったんだ。それに結局男子トイレを使ったしセーフだろ?」
「・・・変態」
そう言ったきり前を向いてしまった佐藤さん。
今の会話は小声で行われていたので周りには聞こえていないと思う。聞こえたとしても鈴木さんくらい・・・うん、バッチリ聞こえてたみたいだ。目を大きく開いて隣の佐藤さんを見ている。
「・・・佐藤さん」
小さな声で鈴木さんが佐藤さんを呼びかけた。凄い真剣な表情だ。
これは現地の女子からの俺の援護だろう。言ってやれ言ってやれ、あれは仕方がなかったんだと。この世界の女子からしたらご褒美なんだと!
「佐藤さんって・・・・・・カッコイイ」
なぜそうなる!?
俺と佐藤さんが驚いていると、それをまったく気にしない様子で
「あたいはそうやって男の人に意見出来るって凄いカッコイイと思う。よかったらお昼ご飯一緒に食べながらでいいから、あたいにその極意を教えてくれない?」
佐藤さん、こっちを見られても俺には答えられませんよ?小さく両手を上げて降参のポーズをとると
「教えれるかどうかわからないけど、お昼を一緒っていうのには賛成よ。よろしくね」
おお、これが女子のコミュニケーションなのか。
目の前で新たな友情の誕生に拍手をしていると「・・・あんたも来るのよ」とは佐藤さんからのお達し。
いやいやいやいや。
どこにディスられるのが決定している話し合いにその本人が席を並べるヤツがいるんだよ。
「普通に断る」「なんでよ?」「なんでその内容で行くと思うんだよ」「・・・だって」
2人で顔を少し近づけて話していると
「そこの後ろ2人。同じ編入生で仲がいいのはいいことだけど先生の授業を聞いてくれるかな?」
「「すいません」」
今の時間は保健の授業で、先生は正にボディービルとかしてそうな人で肌もいい感じに焼いている。
授業内容は赤ちゃんのつくりかたで凄い居心地が悪いし、時たま俺の下半身に視線がくるのが怖いので辞めてもらえます?
そっとカードを取り出す仕草をすると一瞬で前を向く生徒にため息が出る。
一応このカードの効果はあるけど・・・やっぱり1回ビシッと厳しくしないとダメかねこりゃ。
そんな俺の思考をぶった切る声が聞こえてきた。
「それじゃ折角男子も居る事だし実践してみるか?田中の好きな相手でもいいし、もしいなかったら先生でもいいぞ?」
その言葉を聞いた瞬間俺は横の窓を開けて中庭へと飛んだ。
ここは2階だけど、今はそんな事を言っている場合じゃない。本当に俺の貞操の危機なんだよ!
いつか漫画で読んだ着地と同時にコロコロ転がって衝撃を分散させる技を使うも
「いってー」
勿論そんな事出来る筈もなく無様に転がるだけだったが、下が芝で良かった。
そのまま起き上がると振り返ることなく走り出す。教室から先生の慌てた声がするけどそんなもん知るか!
どこをどう走ったのかわからないけど、廊下の先に校長先生と細田さんを見つけた瞬間ちょっと涙が出かけたのは秘密だ。
「太郎さん!?」
細田さんの驚いた声が聞こえたが構わず彼女に飛び込むように抱きついた。
今はここが俺の一番の安全地帯なのだ。別にやましい気持ちなんてこれっぽちもない!
・・・仮面が邪魔だな
別にやましい気持ちなんてこれっぽちもない!
「どうしました!今は授業中の筈じゃ、それにこれは土と・・・草ですか?一体何があったのです!?」
「あたしも気になるね。確か今は保健の授業じゃなかったかい?」
そうだ、今は校長先生もいたんだった。
少し残念な気もするけど2人に説明するために細田さんから離れ、ここまで来た経緯を話すと場の空気が一変した。
「校長先生。残念ですがその保健の先生にはご退場願いますね。物理的に」
とは細田さん。えっ、物理的退場って?
「そうだね。まさか初日からやってくれるとは・・・こりゃ退場してもらうしかないね。社会的に」
これは校長先生の言。社会的にか。
前の世界で今回のケースを考えてみると・・・最悪だな虫唾が走る。
発言した本人は勿論のこと、学校自体も大々的に叩かれ、校長先生や責任者の人が記者会見で謝るのが目に浮かぶ。
仮面をしていれも俺の不安が伝わったのか校長先生が
「あんたが心配することはなにもないさ。後は私達大人の仕事だ」
そう言って俺の肩を軽く叩いて笑ってくれた。
作者の小話⑧
〇キに出てくる5接地転回法を真面目に練習していた高校生時代。
中庭の芝目掛けて2階から友達と飛んでました。勿論先生に見つかり説教タイムでしたが。
やってみて思った・・・
バ〇すげーーーーーー




