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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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【獣災】探し


大部分の【獣災】は悪魔どもが請け負ってくれている、そのおかげである程度の余裕が生まれた。


「雑兵は悪魔に任せて核を探せ、それをつぶせば【獣災】は倒せる」


「そんなこと言ってもねえ、あの中からその核を見つけるのは不可能じゃない?」


「なんか特徴はねえのか」


そんなもんあったら俺が聞きてえわ。


「それなら我らに任せてもらいたい。獣といえども、いや獣だからこそ一番の弱点というものは絶対に死守するものだ。おそらくあの大群のなかに核はあるまい」


「そういうものか」


「そういうものなのだ。我らの青き血脈が叫んでいるのが聞こえる、我が同胞の仇はもっと先にいるとな」


本当の原因はたぶん俺なんだけど黙っておこう……言わないほうがいいこともある。


「つまり核がどこにあるか分かるってことか?」


「いや、仇がどのあたりにあるかが分かる程度だ。近づけば話は別だが今は分からない」


「それだけ分かれば十分だぜ。方向を教えてくれ」


「あちらだ」


青白い指先が指したのは悪魔と獣の闘争のさらに先だ。


「砂がすべてを教えてくれるさ。今の俺なら砂漠の主だって名乗れる」


おっさんが砂に手をついた。


「おわっ!?」


砂が波打つ、波紋のように広がっていくそれはレーダーを思わせた。


いやすげえな、なんだこれ。


「随分と広くいやがるな……だけどな……一点から動かねえのはこいつだけだ。見つけたぞこいつがたぶん核持ちだ」


本当に見つけやがった。


「待て……近づいてくる……ありえねえ……速すぎる……あと数秒でここの真下にくるぞ!?」


はあ!?


待て待て待て、いくらなんでも急展開だろ


「まずい、落ちる」


落ちる?


「どこへだ?」


「真下だよ」


「は?」


足場が崩れると人間はなんもできねえってことを痛感した。


いきなりさらさらと一体が沈み込み始めあっという間に膝まで沈んだ。


「砂で何とかできねえか!?」


「無理だ、索敵に飛ばしてる分もなけりゃあこれには対抗できねえ」


「ちくしょう!!」


見つけるとこしか役にたたんのか!?


「この下にはでけえ空洞がある、そこに落とされるらしい。おそらくそこで俺たちを仕留めるつもりだ」


「……むしろ好都合か」


「だといいがな……」


砂に沈んでばっかだな……今回……。


※※※


砂上上空の玉座に第三魔王がぽつんと座っていた。


その背後には地獄門。


第三魔王は悪魔が獣を蹂躙する様を眺める。


「ふむ、これなら問題ないか。じきに決着はつく」


結末を確信したメフィストの瞳が閉じた。


そして


「がふっ!?」


第三魔王の臓腑が食い破られた。


空中に血が舞う。


「なん……だ……これは……!?」


腹部と口から大量の血を流しながら第三魔王は傷口を見る。


それは確かに噛み跡であり、獣によるものであった。


しかし上空に置かれた玉座に到達しうる獣などいない。第三魔王は一つの可能性にたどり着いた。


「極小個体か……!?」


分裂の際に生み出され。


風に乗り流された極小の獣が体内を食い破った。


そうでもなければ第三魔王に届く牙など存在しない。


「まずい……が……門が……閉じる……【獣災】が解き放たれる……」


第三魔王の体は灰になり掛けていた。居城の棺に戻ろうとしているのだ。このままでは体は灰になり遥か遠くの居城に行くことになる。


居城にはメアリーがいる。


そこに脅威が不確定のものを持ち込むことになるかもしれないのだ。


体を再構成した後も獣はついてきてメアリーを襲う可能性がある。


加えて【獣災】は瞬く間に世界を覆うだろう。


第三魔王はそれでも死なない、死に続けようとまた復活するだけの話である。神がいる限り死なないのだ。


ではメアリーは、不死の女王たる彼女も同じように生きるだろうか?


それは否、異世界人の能力と現地人の能力では強度に差がありすぎる。


殺され続ければ遅かれ早かれメアリーの不死には綻びが生まれる。


メアリーを喪う?


ここまで思考した段階で第三魔王は魔王としての矜持を捨てた。


王として振る舞うことでメアリーを喪うのならそんなものいらない。


悪魔として振る舞うことでメアリーを守れないならそんなものいらない。


そう結論を出した


「な……めんなあああああああ!!!」


自らに課していた枷である復活の制約を解いた。瞬時に体は万全の状態になる。


自らが忌避していた悪魔との融合を起動した。異形と化し悪魔の権能を使うことができるようになる。


王だからと持っていた余裕と傲慢、慢心を捨てた。虚飾を剥ぎ第三魔王はただのメフィストとなる。


「やってやるよ……畜生風情がぁ!!」


ただのメフィストとなった異形は第三魔王よりも遥かに強い。


















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