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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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悪魔と獣のランデヴー


くっそ重たい空気に辟易してたら頭の上でとんでもない音が響いた。


「なんだっ!?」


その音は確かに何かが壊れる音だったが、音量と規模はさながら爆破だな、近くで聞いた大砲みてえなかんじがする。


「地上でなんかがドンパチしてやがる、浮上するぞ。【五碧】は警戒頼むぜ」


「承った」


「行くぞ」


いや、俺は行きたくねえんだが。


「さあ、口を閉じな」


何言っても強制的に持って行かれるから拒否なんて出来るわけもねえわな。そのままもう一度砂のアトラクションをくぐり抜けた。


「こいつはまた……どういうことだ」


目の前には隕石が落ちたみたいなどでかいクレーター。


「周囲に何かがいるような気配はない」


「何があったんだこりゃあ」


突然頭上から猛烈に嫌な気配を感じた、一秒だって今の位置にはいたくないような絶対的嫌悪感だ。


「ここから離れろ!!理由はわからねえがこのままだと良くないことが起きる!!」


「「っ!?」」


俺が一番動きが遅いから逃げ遅れるかもしれんが。


「はあっ……はあっ……なにも起こらない?」


ただの杞憂か?


それなら良か「はあああああああああああああああああああ!!!」


目の前に隕石が落ちてきました。


否、隕石のような速度で【獣災】が叩きつけられました。


「頑丈ねえ」


そして俺の目の前に降りてきたのは女、しかもとびきりの上玉だ。


悪魔の翼が背から生えているがそれすらも美しい、本来なら性欲の枷で頭がぶっ飛んでもおかしくねえがこれは性欲というか崇拝に近いレベルの感情だからか魂がすり切れるような欲情はない。


「耐久力というか生命力が高すぎて物理的に攻撃しても意味がないのは分かったわ、それじゃあやっぱり得意分野でやることにしましょう」


女悪魔が何かを召喚した。それは小瓶だった。


「それじゃあ今度こそさようなら。愛のない獣ちゃん」


小瓶の蓋が開く、小瓶の容積には全く見合わない量の液体がその中からこぼれ落ちた。


それはただの液体にしか見えない。そのはずだ。


なのにどうしてだろうか。アレを見つめていると暖かく、安らかなかつての記憶が呼び覚まされる。


それはおそらく、ガキのころの記憶。


母親の記憶だ。


「獣ちゃんにも親はいるのでしょう?胎内に戻ってしまいなさい」


液体はクレーターの底にいる【獣災】を包み込んだ。


その姿はまるで胎児のようだ。


みるみるうちにその身体は縮んでいき、そして消えた。


「これなら殺していないから次がくることはないでしょう」


女悪魔が軽く息をつく。


しかし、すぐに顔を歪めて地平線に視線を飛ばした。


「まずいわね……」


その顔には冷や汗が伝う。


圧倒的強者である女悪魔が冷や汗を流す意味は分からねえ。


「あーなるほどね、コレは困るわ」


目の前にはさっき消した【獣災】よりも強そうな個体。


つまり、あの倒し方では報復の連鎖は止まらないってことだ。計三体がこちらに向かって歩いている。


「ごめんなさいね」


一瞬だけ何かに包まれるような感覚があった。


それだけだ、特に変わりはない。


変わったのは砂使いと【五碧】。


瞳が虚ろになり、戦う体勢を整え始めた。


「魅了か何かか」


「効かなかったのね。【原罪】に魅了なんて効くわけないのは分かってたわ」


流石に地球産の悪魔、【原罪】のことは知ってるのか。


「こいつらを囮にするのか?」


どんなに綺麗だろうがこいつは悪魔だ、平然とそういうことをしても不自然じゃない。


「とんでもない、私は愛の悪魔。この人達が万が一にも傷つかないように避難しててもらうだけよ」


愛の悪魔……そういえばあのおっさんもそんなこと言ってたな。


「……お前はもしかしてあのおっさんだったりするのか?」


「あれは……まあ。仮の姿その一みたいなもの」


本当にそうだったとは。


「俺は戦えない。戦闘能力がまるでない。だから俺もここは退かせてもらうぞ」


「……残念だけどそれは無理。既にあなたは上位の【獣災】に出会ってしまった、そしてあなたの身体は呪いの塊。【獣災】にとってそれは極上の肉よ。もう逃げられない」


「マジで?」


「マジで」


え?それってどういうこと?


つまり、俺はもう【獣災】にロックオンされてずっと追われて食われるってこと?


「まあああじいいでえええええええ!!!」


「取り乱すのも仕方ないけど今はあの三体をどうにかしなければならないわ」


「無理じゃん!!だってお前あいつら倒せねえじゃん!!おもっくそ失敗してたじゃん!!」


「うぐっ!?そりゃあアレでどうにかなるから大丈夫だろうとは思っていたけれど……それだけしか対策がないわけじゃない」


「見栄張るんじゃねえ!!どうせまた殺して増やすのがオチだ!!」


「うう……」


あ……。


やりたくねえなあ……思いついたけどやりたくねえなあこれ。


「悪魔ってさ……概念らしいが。成長ってするのか?」


「するわ、本来なら長い時を渡ったモノほど強力よ」


『思考を分析、悪魔の負覚醒は可能。しかし前例はないため効果は測定不能』


先回りしてくれてどうもありがとう。


『現状悪魔シトリーでは【獣災】を食い止めることは不可能。98パーセントの確率で防衛に失敗し捕食されるでしょう』


やるしかねえか……。


「俺の身体を喰え。悪魔にも俺の身体は極上の肉だろう」


「え?悪魔はモノ食べませんし、なんなら愛とか魂とかスピリチュアルなもので生きてるのでナマモノはちょっと……」


ゑ?


















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