砂漠と黒とそして獣
「ああああああああああ!!」
落下がえぐい!!
せめてもっと低いところから落とせ!!
「がふん!?」
いってえ、砂の上か……そしてでっけえ獣が目の前に。
五匹。
「「「「「Syaaaaaaaa!!」」」」」
牙がびっしりの口が迫って来てる。
動こうにも落下の衝撃で体が言うこと聞かねえ。
「マジか……運が尽きるのはやかったな」
クリアがどうにかしてくれるのを期待してもいいが……まあ無理だろうな。あいつ置いて来ちゃったし。
せめて丸呑みならなんとかなるかもだけど咀嚼する気満々のだもんなあ……。
「Syaaaaaaaaaa!?」
「くそが!!こんなことしたらまた増えちまうじゃねえか!!|」
目の前の獣が黒い棘みたいなもんで串刺しになった。
運尽きてなかったわ。
「お前のせいだからな!!とりあえずこっち来い」
「うわっぷ!?」
黒い砂に飲み込まれた、これはこれで死にそうだ。
一瞬だけ視界が無くなった後に浮上する感覚と共に男が見えた。
「いきなり空から降って来やがって、お前のせいで五匹分調整が狂うじゃねえか!!。まあ助かってよかったな」
「んん?」
怒られたのか心配されたのかよく分からねえ。
とりあえず礼は言おう。
「助かった……礼を「おおっと、礼を言うのは早えぞ。五匹分の報復が来るからな。まだ助かっちゃいねえ」
報復?
何が起こるってんだ?
「見ろよ、大豊作だ」
砂漠の地平線を埋め尽くすのはさっきと同じ獣たち、ざっと見ても千以上だろう。
ははは、運はやっぱり尽きていたようだな……笑えねえ。
「あれをやり過ごさねえとならねえ。砂に隠れればなんとかなるが……今回はちっとばかし事情が違うな。金色がいやがる」
「ごる……どす?」
「ああ、金色は索敵能力が半端じゃねえ。あいつがいる限りいくら隠れても無駄だ。あいつだけは殺すしかない」
状況が悪化する一方だ。
マジでこれは詰みな気がするが……。
『あれは私がなんとかする。それを手柄にしてとり入るがいい』
そういえばお前も来てたのか……じゃあ大丈夫だ。
俺は全力で……俺って嘘つけなくね?
やべえ…どうしよう。
『ではやるぞ、お前も上手くやれ』
ちょ……ま……!
『開くがいい地獄の門』
あーあ、やっちゃったよ。
天気が悪くなって……血みたいな月が出たし。
こりゃもう始まるな……どうすればいい……。
あ。
「主よ、我が呼びかけに応えたまえ」
祈っておけば俺がやった風に見えるんじゃねえかな?
嘘じゃねえし、俺は祈ってるだけだから。
「おい……何やってんだお前は早く逃げ……ろよ……おいおいおい……どうなってんだ」
かかったな。
「我が身は浅ましく、また穢れています。しかし主の愛は我が身を貫く」
ちょうどよく赤い雷が落ち始めた。
……第三魔王の技かっけえな。
「まさか……お前が……?」
「遣わされるのは天の御使いではなく、地を這う獄の使者。それでも愛に他ならない」
そろそろ悪魔共が出て来たな。
「うそ……だろ」
無視。
だんだん盛り上がって来たな。
一発やるか。
「さあ進め!!かの軍勢は神の愛の証明、蹂躙されしは神の敵。これは聖戦である!!」
『原罪聖戦を受諾、【原罪】の要請によって地球生命と他世界生命の代理生存競争を開始します』
うおおおおおおおおおいいぃいいいいい!!!!!!!!
そんな能力知らねえんだけどおおおおお!!
『【原罪】によって戦闘の開始が宣言された際に発動します。キーワードは「聖戦」です。訂正。これは能力ではなく権能です。」
いやいやいや絶対まずいでしょこれ!!
やっぱ調子に乗るといいことねえなあ!!
『聖戦によって生き残った者が淘汰の成果として進化します。負けた方は勝ったものの血肉となります』
蠱毒だねえ!!
かんっぜんに蠱毒だねえ!!
『規模が大きいだけです。大前提として権能基盤の地球は惑星規模の蠱毒です』
そりゃそうかもしれんが!?
止めらんねえのこれ!?
『無理です。賽は投げられました』
これで獣が勝ったらどうなんだよ……?
手に負えねえ……絶対に
『肯定。現在の【獣災】が聖戦を勝ち抜いた場合主神クラスの災害となるでしょう。ですが……』
ですがってなんだよ!?
早く言ってくれ!!
『第三魔王の悪魔は本体でない【獣災】など歯牙にも掛けない能力値です】
へ?
「「「「「ガァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」」」」」
あー、虐殺だったわ。
でもね。
それは。
それでね。
やべえだろうがあああああああ!!!
あいつらが聖戦生き残ったらそりゃあもうさぞかし強くなるんでしょうねえ!!
『否定、あの悪魔たちはあくまで概念であり。生物ではない。よって進化は起こらない』
……そういうことも早めに言おうな……
『ただし』
んん!?
まだなんかあんの!?
『概念に付与された擬似知性が進化することは十分にあり得る』
……どういうこと?
『戦闘終了、勝者地球生命。淘汰反映、対象は最も相手を殺した一体。個体名シトリーとしての自我を獲得』
あれえ?
なんかハートマーク撒き散らしながらごっついのが来てるんだけど!?
『悪魔個体シトリーと認識。2秒後接触』
待て待て待て!?
あんな遠くにいるのに!?
『接触』
「ご主人様!!」
目の前にごっつい悪魔のおっさんがいます……助けてください。
ちなみに全裸です。
「私は目覚めました、悪魔と言えども愛に生きるべきだと!!」
お前のご主人様は第三魔王だろうが、帰れ。
「私をどうかおおそばに置いてください」
「嫌です、お帰りください」
砂操ってた人は悪魔のインパクトで気を失ってる。
「帰りません!!私は気づいたのです全ての傷ついた者。おもに男子を抱きしめなければならないと……あ」
「……お前……帰れもう……マジで」
いやすいません、マジで勘弁してくださいマジで。
「やっだあ!?ついつい本音があ!!」
マジでやめてください、ここに来てオネエはいらないんですマジで。
「ねえいいじゃない私役に立つわよお?今さらあっちには戻れないのよお」
マジでいらない、やめて本当、帰れ。
「ねえってば……何か来たわね」
「ん?」
「貴様ら……盟友に何をした!!」
青一色で統一された服に青い武器を持った五人がそこにいた。
「肌も青みがかってるしアバ○ーかよ」
「説明しろ……事と次第によってはここで貴様らを殺さねばならない」
「ちょうどいいわ、私の力を見せてあげる」
「いや説明すれば良いだけだろ……」
「じゃ、行ってくるわ」
話聞いてねえこいつ……。
「我が名はシトリー!!愛の悪魔なり!!愛されたい奴からかかって来なさい!!」
いやもうほんとやめて……。




