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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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浮いた国のぶっ飛んだ奴ら


物理的に空中にあり独自の文化が発展しすぎた国。


それがヒノモトである。


魔法なのか技術なのか判然としない正体不明の物を作り出す彼らには一つの共通する心情があった。


「面白ければ全て良し、世界と己の全ては面白い物のためにある」


この言葉を胸にヒノモトの工房では新たなものを創り出す。


ヒノモトには一定のペースで大幅なブレイクスルーが引き起こされる。それにはヒノモトの中枢にある枢密院が関わっているらしい。


その枢密院から国全土に召集がかけられた。


ヒノモト最大の実験場であるわくわく実験ランドに集まるようにとのことだった。


「諸君!!今世界がどうなっているかは知っているかね!!」


枢密院の教授(プロフェッサー)の声だ。


「知っての通り今世界の危機が巻き起こっている。今世界に必要なもの……それは……」


今度は博士(ドクター)の声である。


この二人は枢密院のメンバーにしてヒノモトでも最高レベルの開発者であった。


国民が固唾を呑んだ。この二人が何かをするときは酷いこととすごいことが同時に起こるのだ。


「すぅうううぱああああああ!!!!」


「ひぃいいろぉおおおおだぁああああああ!!!!」


国民の目が点になる。


スーパーヒーローとは一体なんなのだろうかという顔である。


「蒙昧な諸君にも分かるように実物を見せてあげよう」


教授が指を弾いた。


する上空からやたらかっこよく三つの影が着地した。


「胸に滾る正義の炎!!災害は俺が食い止める!!(レッド)!!!」


よく鍛えられた体を惜しげもなく披露しているのは赤髪赤目の女性である。


「海よりも深き悪への怒りは私を変えた、災いは私が砕く……(ブルー)……!」


今度はうって変わって細身の長身の女性であった。こちらは青髮青目である。


「あっはははは〜!!全部ぺしゃんこにすればお腹いっぱい食べれるんだ!!僕は(イエロー)!!!」


10歳前後の少女は黄の髪と黄の目を持っていた。


「「「三人揃って、超英雄(スーパーヒーロー)トリニティ!!!」


開いた口が塞がらないという現象を国民全員が経験した。


それも無理はない、彼女らはヒノモト史上に残る正真正銘の重罪人なのだから。


赤髪の彼女は本名をマゼンタという、彼女は炎と人の交配という狂気を自らの体でもって成し遂げ【獄炎の母(マザーブレイズ)】と呼ばれた危険人物でありヒノモトを焼きかけた極悪人。


青髮の彼女の本名はターコイズ。彼女の起こした罪は異常空間の生物の流入と飼育。そして脱走による国家崩壊の危機を引き起こしたことだ。蛸に似た異常生物や知性を持った黄色い衣などの名状しがたい生物は国民を恐怖のドン底に叩き落とした。彼女は【異形飼育者(ストレンジブリーダー)】と呼ばれた。


黄髪の少女シトリンは他の二人とはベクトルが違う。彼女は善良だ。ただ彼女の胃袋と歯が善良ではない。彼女の歯は食べれると思ったものを全て咀嚼し彼女の胃は食べたものを全て栄養にする。栄養を十分以上に摂取した彼女は変異を起こし巨大な口を持った怪物と化す。彼女は国を食べかけてしまったのだ。彼女は【大喰らい(ハングリー・ハングリー)】と呼ばれる罪人だ。


「ん?反応が薄いなあ、しょうがないなあ欲しがりめ……さあトリニティよ……君たちの力を見せてくれ!!」


「「「仰せのままに司令官殿イエスマイマジェスティ」」」


三人が同時に奇妙なポーズをとる


「行くぜ俺の可愛い子供達!!」


「やりましょう……みんな」


「いただきまーす!」


「「「変身!!」」」


なぜか国民の視線は赤に吸い寄せられた、まるでカメラワークのように。


「灼熱ぅ!!」


赤の右腕が燃える。


「爆熱ぅ!!」


赤の左腕が燃える。


「大炎上ぉ!!」


一気に赤の全身が炎に包まれた。なぜ段階的に燃えていったのかは分からない。


そして炎が収まるとそこには真紅の鎧に身を包んだ赤がいた。


「三千世界を照らしだす高天原の神威をご照覧あれ、神器鎧(かんながら)壱式【天照】」


名乗りが終わるとともに次は青に視線が吸い寄せられた。


「ああ……沈んでいく……深海に……いいえ私が沈むのは遥かな宇宙(そら)の底」


青の体が何かに包まれていく、きっとそれを理解してしまったなら精神が壊れてしまうだろう。


「私は求める……真なる姿を……」


何かが青と重なる。言葉にするもおぞましい異形の数々。否、それは青にとって言葉にできない美しさの異形の神々。


一瞬だけ意識を失った国民たちの前に出たのは美しい蒼の羽衣を纏った青だった。


「荒ぶるは神の常、されど我が草薙は全ての悪を断つ。神器鎧(かんながら)弐式【須佐男(スサノオ)】」


そしてもう一度視線が吸い寄せられた。


「僕はいつだって腹ぺこさ」


黄は丸薬を飲み込む、黄の身体が膨らみ始めた。


「お腹と背中がくっついて裏返る」


膨らんだ身体が一気に収束する。


その際に起こった衝撃で土煙が巻き起こり黄の姿が見えなくなった。


「裏も表も無意味なり、喰ろうてしまえば皆同じ。神器鎧かんながら参式【月詠ツクヨミ】」


土煙が風によって晴れる。


黄の体格を遙かに超える巨大な機械腕と仮面が浮遊していた。


「「「変身完了!!超英雄【三貴神(トリニティ)】」」」


「フハハハハ!!声も出ないだろう!!この圧倒的かっこよさの前にはな!!」


確かに皆声が出なかった。それは罪人に新たな力を与えるという行為に対してであったが。


「さあ行くのだ【三貴神】手始めに目障りな【嵐災】から倒すのだ!!」



「「「ラジャー!!」」」


【三貴神】は空へ飛び立っていった。


ちなみに、【三貴神】製作によって国庫がほぼ空になったのでヒノモトは危うく崩壊しかけた。


ヒノモトの明日がどうなるか……それは誰にも分からない。


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