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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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負精霊【聖災】=クリア


深く沈んだ意識の中で荒れ狂う感情。


狂気にも似たそれはある種のツケだ。目をそらし続けてきたことの返済だ。


予想外の強度で引き摺り込まれた私はおとなしく眠りについた。これはロートが自分で向き合うべきものだ、口出しなんておこがましい。


しかしその目覚めは最悪だった。


いきなり私は放り出された、多分あの衣装の力だろう多分【純化】によって私は排除された。


だけど底はまだ先だった。


飛ばされた先で私はロートが負覚醒状態(マイナス)になったのを感じた。


負覚醒は反転だ。結果以外を全てを逆向きにする。


正が自分が幸福になる力だとしたら、負のそれは他者を貶めることで自分が幸福になる力だろう。


ロートの場合は聖性の反転。


溢れる恩寵だったそれは溢れる呪いになる。


それは当然契約を通して私にも……。


「ぎっ……ぐぅっ……!?」


体が悲鳴をあげる。


当然のことだ私自体反転するのだから、聖の大精霊から聖の大災害に変わるのだから。


「きゃああああああああああああああああああああAaaaaaaaaaaaaaa!!!」


内側から体を破り翼が生える。


いや、翼が生えるわけじゃない。翼になっている。


私はきっと一番の災害になる。聖性なき者を全て殺しつくす怪物になる。


止められるのはきっとーーー。



そこで私の記憶は一旦途切れた。


次の記憶は騒々しい声だった。


わめきながら何かをした時に【聖災(わたし)】の感覚の一つが消えた気がした。


それからしばらくしてはっきりと聞こえた。


「ピースメーカー」


それはあまりにも古い言葉、呪いをする最古の言葉だった。


私の意識は急速に浮上した。


自我を確立して半分ほどの体を乗っ取ったところで私は切り離された。


「Aaaaaaaaaaaaaa!!!」


声ではない声でおたけびを上げて襲いかかる。


私は私を取り戻すんだ。



「Aaaaaaaaaaaaa!!!」


だめか……力の大部分はあっちが持っている。


勝ち目はない。


「aaaaaaaaa……」


それでも私は……あきらめない。


あきらめられない。


ふと後ろに惹かれた。


何か大事なものがある気がした。


迷いなく飛ぶ、きっとそこにいるはずだ。


「ぐはあっ!?」


意識のレベルが最大まで引き上げられる。


全てを認識した。


私はロートのところへ戻ってきた。


『やっと戻ったわ』


ふふ、驚いてる驚いてる。


『今までの記憶はないけど……あれが私の半身なのね』


結構前から戻ってたけどこういう時はこう言うのがお約束らしいわ。


まだ混乱してるわね、姿を見せた方が早いわきっと。


『何って……ああ。姿表していなかったわね』


今の姿は汚い。


できれば見せたくないけれど、


「久しぶりね」


「まさか……クリアか?」


随分と砕けた感じになったわね、まあ表に出てなかっただけで結構口が悪いのは知ってたけど。


ここから私はロートの血を使って【夜想体】になった。美味しすぎてちょっとだけトリップしかけたのは秘密にしよう。


……まだ足りない。これじゃ【聖災】を倒せない。良くて引き分けくらいが限界ね。


「んー。あと一押し欲しいわね。なにか他にないかしら?」


「あとってお前、リンゴの種くらいしか出せないぞ」


どうせただのリンゴじゃないんでしょう?


「【罪深き地球の実】」


案の定ただのリンゴの種じゃなかったわ。


これは邪樹をベースにした世界樹の種。このサイズなら【聖災】だって飲み込んで実をつけるでしょう。


私はそれを持って【聖災】へと飛んだ。


「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」


迎撃に使ってきたのは直接攻撃の【真理の羽】じゃなくて【導きの光】だった。


手数と面制圧で最大の威力を持つ技だ。


避け……きれない!!


「きゃあああああああああ!!」


ここで落ちたら、きっと次はロートが死ぬ。


それはダメだ。私はロートを見ると決めたんだ。


私がいないところで死なれるなんてーーー。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


嘘だ、こんなところに来たら光に焼かれて……いない。


黒い羽が全て逸らしていた。


そしてそれは同時に【聖災】の核への道も作っている。


「クリアっ!!」


私のために死にかけないで欲しい。


「助けなんて読んでないわよ!!」


「うるせえっ!!お前がやられたら次は俺なんだよ!!」


言葉遣いが変わっても素直じゃないのは変わらないわね。


あとは直線だ。


まっすぐ行って撃ち込む、


「今よ!!」


体を一筋の光に変え【聖災】を貫いた。


核の奥深くに種を置いて終わりだ。


ロートは疑っていたみたいだけど無事に【聖災】は木になった。


そしてその実は私の元へ落ちてくる。


実をつけた木は枯れた、実に全てを込めたのだからそうなるのが自然だ。


私はその実を。


「ちょ「あーん」


ロートが物欲しそうな目で見てたのは知ってたけどこれをあげるわけにはいかない。これは【聖災】の実。


私の力そのものなのだから、


「やっぱり自分の力は馴染むわね」もっしゃもっしゃ。


あら、案外美味しい。


ロートの血には負けるけど。










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