負の聖
スイッチ押したらいきなり夜になった。
「はあ!?」
なんも見えねえぞこれ……。
どうして平和創生爆弾がこんなことに……。
「ピー…ガガガ……マイクテス……マイクテス…………あー!!詠唱せずに使ったっすね!!早く言ってくれないと装置が自壊するんで急ぐっす」
録音まで……あいつどんだけこれにギミック仕込んでんだよ。
「仮展開中はほぼ意味ないっすから。相手の攻撃とかガンガン当たるんで気をつけてくださいっす。煙幕があるうちに詠唱をお勧めするっすよ」
これ煙幕かよ!?
本気でなんも見えねえんだけど。
「今煙幕かよとか思ったっすね?一応言っとくっすけどこれは下手すれば魔王クラスでも逃れられない超高性能視覚ジャミングナノマシンの集合体っすからね。オーバーテクノロジー補正で数分しか起動できないっすけど超兵器なんすよこれも!!」
ははは、何言ってっか分かんねえ。
「あ、そろそろ録音終了っす。健闘を祈るっす」
しゃあねえな……詠唱とか覚えてねえから適当でいいや。どうせ適当にやってもなんとかなる気がする。
お願い自動詠唱。
「ליוםםחכדדדםםימלךפוגיחכגקשןםפתנכגדאטכלפוכעעםיעדגגיםןרדדבמללגכחלךמעןםתצנהסגויםךליעכגגרווםפפיכדגיחםןטגחלךךםטאקשנחללםןייחל(我は牙を腐らせよう。振るう矛を朽ちさせよう。荒ぶる毒は我が血肉。愚かなる暴威に意味はなし)」
……今まで使ったことねえ言葉だなこれ。
大丈夫かこれ。
「״םטגבמלםטגצ״(【死は永久の安らぎなり】」
ぜってえダメだこれ!!!
死の呪文じゃんこんなの、ザ○とかデ○とかで使う感じのやつだ !!
ほらほら煙幕も晴れてきちゃったし終わったな……さらば俺……死後は握られてるからろくな目に合わねえのは確定だなー……
「aaaaaaaaaaaaa………」
翼が地面に落ちてる!!効いてるじゃん!!
「っしゃあ!!なんだちゃんと発動してるじゃねえ……か……」
前
言
撤
回
「なーんで真っ黒いドクロが浮いてるんだよ。俺の方がよっぽど魔王っぽいじゃねえか」
無力化フィールドもなんか呪術っぽい文字が混ざってるし。しかもいつのまにか範囲内のもの全部黒く染まってる、なにこれ。
「aaaa……Aaaaaaaaaaaaaaa!!」
「嘘だろ……!」
再起動すんの!?
これで無力化できなかったら本当にすることねえんだけど!?
んん?十二枚のうちの六枚が黒く変色してるな……結局黒くなんのがなんなのか分かんねえよ……。
ん?白と黒で分離したのか。
「「Aaaaaaaaaaaaaaa!!!!」」
「うわっキモっ……」
黒い羽と白い羽が絡み合ってのたうちまわってんだけど。
仲間割れ的な?
相討ちになってくんねえかな……そうなればこれで話が終わるんだが。
「Aaaaaaaaaaaa!!」
あっ、黒い方が負けた……あーあーあんなにボロボロになって……もっと頑張れよ。
「aaaaaaa……」
お?まだ動くか?
「aaaa……」
こっちに翼が向いている気がする。
え?俺に向かって飛んでくるの?
避けれるか……?
無理無理避けれない。そんな身体能力あったら苦労しない。
「ぐはあっ!!」
直撃だあ……身体真っ二つかなあ……。
『やっと戻ったわ』
は?
『今までの記憶はないけど……あれが私の半身なのね』
は?
戻ったってなにが?
『何って……ああ。姿表してなかったわね』
目の前に黒い光球が出現した。
「久しぶりね」
「まさか……クリアか?」
「他に誰がいるっていうのよ。それにしてもあなた随分と素直になったわね。前よりいいんじゃない?」
「そう俺はもう聖者じゃない。でもどうしてもあれを倒さなきゃならない」
「へえ、それで聖の大精霊クリア様になにかお願いでもあるの?」
「アレを倒してくれ」
「今は無理よ」
「はあ!?今倒せる風だったろうが!!」
「今だって負覚醒状態に負の聖性が混ざったから分離しただけで精霊の力の大部分はあっちにあるの」
「混ざった……?というか負の聖性ってなんなのか説明してくれ」
「あなたねえ……まあ不幸中の幸いってやつね。私相手じゃなかったら3秒で死んでたわよ」
「Aaaaaaaaaaaaaaa!!!」
「うおう!?」
流石にいつまでも放っておいてはくれないか。
羽がたくさん飛んできてるなあ……。
「クリア!!なんとかならないのか!?」
「気にしなくていいわ、どうせ脅威じゃないし」
「いやいやいや刺さってめちゃくちゃ痛かったんだからな!!」
「でもダメージなかったでしょ?」
「まあ……そうだけど」
「あの羽は裁きの羽よ。聖性が低い存在が当たったら即死するわ」
「こわっ!!」
「まあ……あなたは聖性の塊だから逆に取り込めるはずだけど?」
「できるかそんなこと!!」
「意識しなくても勝手にそうなるから大丈夫よ」
「当たったら痛いだろうが!!」
「はいはい、分かったわ。じゃあ少し借りるわよ」カリッ。
「いってえ!?何すんだこらあ!!」
指噛みやがったこいつ。
「仕方ないでしょ?補充しなくちゃいけないんだから」
あ、でも羽が逸れていく。
「やればできる子だったんだな!!」
「……前の方が良かったかもしれないわね。とりあえずアレを倒したいならあなたの力を私に渡しなさい。それでまあ互角くらいまでは持っていけるわ」
「何をどうすれば良い?」
「そうね、私に食べられなさい」
「は?」




