世界がまずいことになった。
天界にて。
大笑いするアースと激怒するラセンといういつもの光景があった。
「あっはっはっは!!やるなあ我が子!!」
「笑ってる場合か!これじゃあどっちの世界も滅んで終わりだろうが!!」
「まさか【原罪】まで引っ張り出してくるなんて面白すぎる。冗談の冗談で設定した隠し項目だったのにな」
「お前が聖性さっさとどうにかしないからだろうが!!」
「そんな事を言われてもね、我が子から呼び出されたならともかくそんなに他世界のシステムに干渉しちゃまずいだろう?」
「乗っ取ろうとしてる奴が言うセリフか!?」
「乗っ取るだなんて神聞きが悪い。我が子たちの意思だよこれは」
「お前が誘導してるんだろうがぁ!!」
「いやいやそんなそんな」
「もういい、お前と話しても無駄なことを忘れた俺のミスだ」
「そう言うな寂しいじゃないか。なんにせよ大丈夫だよ、世界の危機くらいなんとかできないで世界をどうこうできる訳ないじゃないか」
「これを解決できると?」
「できるとも、世界の破滅なんてありふれてるがね。それと同じくらい世界を救うのもありふれて……いや、溢れているんだよ?」
「なんで言い直した」
「溢れた救いがどうなるか……今に分かる」
いつも通りの不敵な笑みをアースは崩さなかった。
※※※
突然現れた災害の具現化は幸運にも僻地に分散したため本格的な被害はまだ起こっていなかった。
聖堂には神託が下りそれらの災害を鎮めることが最優先となる。
災害にはそれぞれ名前が付けられた。
火山群に出現した溶岩の竜【焔災】
高山に出現した嵐を纏う大鷲【嵐災】
海を統べる蛇【海災】
荒野に出現した動く破壊の巨亀【地災】
上空に出現した詳細不明の歪みの真円【空災】
砂漠に出現した炎でできた超大型四足獣【獣災】
神出鬼没の光り輝く十二枚の翼【聖災】
各宗教組織を通じて世界は災害討滅に向けて動き出していた。
永久凍土の古都ニブル・ゴラド
聖堂を擁する神聖都市カナン
砂漠を服従させた黒砂王国アレェナ
尊き血をつないできた貴国アズール
あらゆる意味で浮いている空都ヒノモト
魔王の勢力圏である魔王領
いずれもが大きな力を持つ存在を有している。
災害が相手であろうとも力を合わせればあるいは……。
※※※
……どうしてこうなった?
『現状確認。第一から第六までの魔王と個体名冬堂虎太郎、冬堂龍二、冬堂凛華が同円卓についている。経緯確認ならばニブル・ゴラドでの進化後に第一魔王に拉致された』
で、俺はどうなってる?
『視覚を布で封じられ椅子に縛り付けられている。聴覚はおそらく第二魔王が身体で封じている」
抜けられないの?聖性でなんとかならない?
『不可。生命の危機はないため発動しない。加えて負の聖性は正の聖性と同じ効果があるわけではない』
「これからお前を解放する、ただし下手な動きをしたら殺す」
この声は第二魔王か。
「うっ……眩しいな……」
真っ白な部屋ってなんだよ取調室かよ……ってこれ見たことあるな。
「私の【絶対白兵領域】よ。ここでは白兵戦以外はできないわどんな能力も意味はない」
あらあらご無沙汰の第六魔王じゃん。
「必要はないと思ったけど万が一のために使わせてもらったわ」
「こやつは世界崩壊の原因だ。万全を期すに越したことはあるまい?」
あれ?第三魔王さんなんか前と違ってガチっぽいな。
なんというか遊びがない。
「世界崩壊の元凶。責任追及」
誰だこいつ、なんかドラゴンっぽい。てかドラゴン娘がチャイナ服って狙いすぎじゃない?
『補足、第四魔王フー・ロン。先祖超越の龍種という規格外の逸材。単純戦闘能力は魔王の中でも飛び抜けている。』
今殴られたら俺死ぬ?
『肯定。この空間内であれば拳圧だけで爆発四散し死亡が確定する』
復活とかって……。
『不可。速やかに死ぬ』
もしかして俺絶体絶命?
『……肯定。やり過ごすことを推奨』
無茶を言いよるわ。
『追加補足、【恩寵】【天啓】【天鎖】は現在失われています。平和創生爆弾も現状起動不可です』
きっつ!!
久々にきっつ!!
心折れるわこんなん!!
「なんとか言え。返答次第で即殺」
「少しだけ時間をください」
「……3分だけ待ってやる」
まさかそれを言われる日が来るとはな!!ここにはあの石はねえんだよ!!
「返答はいかに」
1分も経ってねえぞクソドラゴン!!
ちくしょう。第六魔王とか助けてくれないかなあ!?
「……!(ぐっとガッツポーズ)」
そういうのいいからこのドラゴンを止めてくれ!!
「無言か……では殺す」
誰か助けてくれマジで!?
「まあ待ちなって、僕は他の奴らも話してからでも遅くはないと思うけど?」
救いの天使が降臨した。




