聖者と勇者
クリアには後でしかるべき報いを受けてもらうとして……とりあえず何か話さんとな。
「すみません、人がいるとは思いませんでした」
銀髪長髪の男か……そんなの最終幻想以外で初めて見たな。
「あなたは……もしかして新しい聖者か聖女なのでしょうか。なにぶん私の光は主に捧げてしまったので見えないのです」
あ、見えてらっしゃらない。それは好都合。
「申し訳ありませんが私は違います。訳あってここに逃げ込んだのです。よろしければしばしの間ここをお貸しくださいませんか?」
「それは大変ですね。どうぞ好きなだけここにいてくださって構いません。ところで元紅蓮様は二ブル・ゴラドへ向かわれるのでは?」
しっかりとバレてるわー。
「すみません。目の代わりに耳が少々良くなってしまって……」
「いえ、お気になさらず。お気遣い感謝いたします」
「しかし私だけあなたのことを知っているというのは不公平ですね。私は【無垢】の聖者と呼ばれています」
待って……聖者か。聖女が去ったと思ったら今度は聖者か……。
「私はこの通り盲ですが。耳と鼻で大抵のことは分かります。武装はコレですね」ガチャ
刀か……これはまさか……あれなのか?
座頭◯かな?
「これで世直しと実益を兼ねて旅をしていましたら神からの啓示をいただいたのです」
一応聞いてやろう
「目が見えないのに刃を扱っているのですか?」
「え?ああこれはただのおもちゃです。何も斬れやしません」
抜いた刀身はたしかに木だな。
「ではどうしてそんなものを?」
「殺さないためです。あとは……」
なんでコイン投げたこいつ。
「私以上の刃なんてありません」
指でコインが真っ二つか……こいつと握手するの絶対やめよ。
「もちろん剣術も扱えますが体を使った方が細かい加減がきくんです」
そりゃそうかもしれないが
「まあ実際のところは私の本当の刀の方が斬れますが。あれは斬撃というか現象に近いので数えていないのです」
あ、ソウデスカ。
「素晴らしいお力です。ちなみにどうして【無垢】という名をいただいたのですか?」
「それは分からないのです。私はただ純粋に世界にある歪んだものを矯正したいだけなのに」
オーケー分かった。
無邪気に笑顔で自分が悪と思ったものを排除してきたんだろうな。それがうまくいっていただけでこいつは一歩間違えたら簡単に道を踏み外すタイプだ。
正しいことをしてると思ってる奴が一番暴走しやすいんだ。
それに疑問も抱かないし気づかない。
自分の矛盾にも汚れにも気づかない。
それで【無垢】とは皮肉が効いてるな。
聖者もろくな奴がいないと見た。こんなこと直接言えるわけもないが。
「私も思いがけず名をいただいた経験がありますので。そのようなものなのでしょう」
「やはりそうですか。ところで二ブル・ゴラドへ行くのに私もご一緒してもいいでしょうか」
え?そんなの言うまでもない。
嫌。
「いえ今回のことは私の個人的な用事ですので……」
「ここで会ったのも何かの縁です。きっと主もそう望まれていますよ」
「お手を煩わせるようなことではありませんので」
「きっとお役に立ちますよ?」
あーめんどくさい、勇者の名前だしたら引き下がってくれっかな。
「剣聖様が同行されるので大丈夫です」
「けんせい……ああ、先代の勇者ですか。あんなのよりも絶対私の方が!!」
あれえ?なんか逆効果だぞう?
「聞き捨てならんことが聞こえてしまったのう?」
めんどくさい予感しかしない。
「事実です。あなたよりも私の方が上回っている」
「ふん、小僧が言うようになったもんじゃな」
「あなたも私も剣士ならやることは一つですよね?」
「先に言われてしまったか……剣士が食い違ったら解決法はあれしかないじゃろう」
バトル?バトルなの?
俺高速戦闘見えないから退屈なんだけど。
「では行くぞ!!」
「受けて立ちます!!」
ここで!?
この狭い空間でやる気か!?
「「じゃーんけーん!!」」
は?
「「ポンッ!」」
あいこだな
「ふふふやりおるわ……」
「この程度だと思われては心外ですね」
え?じゃんけんなの?
この世界の剣士って揉め事じゃんけんで決着つけんの?
平和か。
「「あーいこで」」
あれ?
なんかモーション違くない?
ていうか刀抜こうととしてない?
「ふんっ!!」
「はあっ!」
一太刀打ち合ってまた納めた……?
「「じゃーんけーん!!」
今度は普通か
「「ポンッ!!」」
あ、聖者勝った。
「「あーいこで」」
あいこじゃないけど?
ルール分かんねえぞコレ……
「ここじゃ!!」
「予想済みです!」
打ち合って納めた
え?なんなのどうなってんの?
「あれは……由緒正しき決闘法……ジャン剣です(紙に手書き)」
息もつかせずまた新キャラか……。
「あなたは……?」
「挨拶が遅れました。【無垢】様の秘書神官を務めていますアイノと申しますよろしくお願いします(紙)」
よろしくしたくないです。




