氷の世界へ
空間転移って便利だよね?
だって直接目的地に行けるもんな、どこでも○アと一緒だもんな。
「何言ってるんじゃ、あんなところに直接いったら体が順応せずに凍傷と高山病で死ぬぞ?」
ちょっと待て、凍傷は分かるが高山病?
「ニブル・ゴラドは高地にあるのですか?」
「そうか聖者殿は知らなかったか……ニブル・ゴラドは世界一高い場所にある都市じゃ。空気は半分ほどしかなく気温はものの五分で我らから感覚を奪う」
エベレストかよ、そんなところにいくの?
シンプルに嫌だ。
「そこに定住しておる民ならばともかく低地にいる我らは少しずつ体を慣らしていかなければまともに動くことすらままならんぞ」
「なにいってんのよ、わたしたちがいるんだからそんなことかんけいないでしょ!!」
「わたしのほのおはずっとこのひとをあたためつづけている」
お前の焔は俺を焼き続けているんですけどね。
「忘れてほしくないにゃ……」
猫め、存在感ないこと気にしてたのか。気の毒だから撫でてやろう。
「ふにゃ~」ごろごろ
ああ、飼ってた猫は無事だったのかな……。
「しかし聖者殿のみで行くわけにもいくまい?ここは足並みをそろえてはいただけぬか?」
「あたしたちだけでじゅうぶんだ!!」
いや、先代が一緒に来ないとフンコロガシがなんか言ってくるかもしれん。面倒ごとはさけるのが吉だ。
てことでアシストしよう。
「剣聖様にも事情があるのです。それにこちらを案じてくれているのを無下にしてはいけませんよ」
「むう……わかったよ……」
「聖者殿は本当に看板に偽りなしのお人じゃな」
偽りしかないです。言おうとしたことを回りくどく丁寧に言う機能があるだけなんだよ。
もう慣れたけどな。
「聖者様……あのう……私たちはニブル・ゴラドには行けないんです」
「申し訳ありません紅蓮の聖者様……」
ああ?どうしてだよ?お前らの宗教別に他の宗教否定してないだろ?
「はっはっはー、こいつらお前を探す間仕事全部ぶん投げてたからな。その分のツケを払う時が来たってことだ」
「うう……聖者様を探す以上の仕事なんて存在しないです……」
「でもね、聖堂に所属した以上はこれは避けられないのよメイリア……」
「「はあ……」
大変なんだな聖女って……頑張れ。
「てことでお前らはこっちだ。これから一月はここから出られると思うなよ?」
ああ、騎士団長が引っ張っていった。
「せめて毎日無事を祈ることだけは欠かしませんから~……」
「ご無事で……!」
さらばだ聖女s。
「それじゃあワシらはニブル・ゴラドに行く準備を始めるとしようか」
俺は準備するものなんてないんだが。
「とりあえず三日後に出発するとしよう。それまでは好きに聖堂を歩き回ってみるといいじゃろう。幸い紅蓮の聖者の名は石碑にもうない。つかまることもないじゃろう」
「分かりました。それでは三日後に……」
「うむ。それでは英気を養っておくがよかろう」シュン
消えやがった、こんな場所に三日間も放置されるとは……何すれば良いんだ。下手なことしたら悪目立ちすることは必至だしな……。
「ここが聖堂ねぇ?。私がいた頃の面影なんて全くないわね」
「クリアはここに居たことがあったんですか?」
「そりゃあもちろん」
「できれば人目につかない場所を教えていただけると助かるのですが……」
今気づいたが、俺を遠巻きに見てるやつらがだんだんと増えている気がする。
「んー、造り自体はそんなに変わってないみたいだし……ここから少し歩いたところに小部屋があるからそこに入ってみたら良いんじゃないかしら」
「ふゆかい……もやしていい?」
「ちっそくさせたほうがいいんじゃない?」
「……うめる?」
「ふっとばすか?」
「止めなさいって……ここでそんなことしたら大変なことになるでしょ。裁定者が世を乱しにいってどうするの」
そうだ箱、そうやって暴走しがちな四色を抑制するのだ。
しかし、なんだろな。行ったことないけどパルテノン神殿ってこんな感じなのかって感じ。白亜の壁に細工がたくさんあるし宗教のシンボル的なものがそこかしこにある。
信者たちは男は白、女は黒の制服を着ているから見分けやすいくらいが特徴か。
「あの人すごい……なんて聖性……きっと名のある方に違いないわ……でもあんな人居たかしら?」
「確か今居るのは【斬悔】【献神】【福院】【王言律】の聖女様たちと、【自律】【心】【無垢】の聖者様のはずだけど……?」
「あの方はそのどなたかってこと?」
「いや……違うな記憶の中のどの方とも一致しない。もしかしたらもう少しで聖者になる方かもしれない。お近づきになった方がいいかも」
まずいな。なにかと詮索される前に逃げてしまおう。この部屋か……。
バタン!!
ふう……一息つける。
「……誰ですか……?」
おいクリア……先客がいるぞ。




