一方その頃 魔王サイド
この世の理から抜け出す力を手に入れた者を教会は【魔王】と称した。彼らはそれぞれに手に入れた力を自らだけの法則として扱う。現在魔王は六体確認されている。
第一魔王 ソロ・エターナー 【永劫王】
第二魔王 ヅヴァロ・サァクル 【界呑王】
第三魔王 メフィスト 【悪魔王】
第四魔王 フー・ロン 【龍王】
第五魔王 ハァグリー 【飢餓王】
第六魔王 リタ・サクラノミヤ 【万能王】
そんな彼らは基本的には協力関係にはなくかといっておおっぴらに敵対しているわけでもない。彼らが治める勢力圏を魔王領としてなんとなく治めているだけである。
だから、最古参である第一魔王がちょっと声がけをすれば一同に会することもあるのだ。
場所は魔王領の中心に位置する大鉱石の上だった。申し訳程度に椅子と机。そして謎の軽食が置いてある。
「やあやあ、集まってくれてありがとう。自己紹介もいらないと思うけど一応形としてやろうか。第一魔王ソロ・エターナーだよ」
魔王を招集した張本人である幼魔王が声を上げた
「ズヴァロ・サァクルよ。第二魔王」
「私が第三魔王メフィストだ!」
「第四、龍王フー・ロン」
「はあ……第五魔王ルシファーだよ。これからはこれでいくからヨロシク」
「第六魔王リタよ」
ここが会場に選ばれた理由はただ一つ。第四魔王フー・ロンがあまりにも巨大であるためである。彼女は先祖を凌駕した先祖超越の龍種である。もはや動く災害、移動大山といっても支障がないレベルの大きさである。
「ここを指定したのは君のためなんだけど首が疲れるから縮んでもらっていいかな?」
「先達敬う。これ礼儀。了承」
もちろん人型になるなど造作もないため実際のところここである必要はない。
「じゃあねえ、回りくどいこと話しても意味ないからってあれえ!?ハァグリー君イメチェンしすぎじゃない!?」
ソロはこういうところがある
「いやいや今それ言うの?僕だって無理があるとは思ってたけどさあ。いいじゃん別に気にすんなよ」
「あらら、本名名乗った割には天使っぽくないなぁ。ああそれじゃまた堕天したのかな?」
「お前……どこまで知ってる?」
「どこまで知ってるかって、そりゃあ一から十までさ」
「まあいいや。別にもう隠す気もないし」
「そりゃよかった。だって全部他の魔王にはバラしてたからね!」
ソロにはこういうところがあるのだ
シュンッ!!
一本の剣がソロに向かって放たれた。輝く剣は聖性の具象である。
「なにしてんの?」
それはズヴァロによって防がれた。半透明の体を変形させて剣を絡め取った。
「ほんの挨拶さ」
ズヴァロの体が少し波打った。
「いいんだズヴァロ。これは遊びだから」
「……わかった」
「イメチェンの話はいいとして本題だよ。そろそろ動き始めようかと思うんだけどさ。ぶっちゃけこの中に前世の記憶があるの何人いる?」
「「………っ!?」」
リタとフー・ロンが息を呑んだ。
それだけで十分だった。
「オーケー、第五以外はみんなお仲間だね。それじゃ第五はちょっと退場してもらうよ」
ソロが指を弾いた。それだけでルシファーを除いた全員が隔離空間へと移行させられた。
「これは……私のと似ているわ……」
「違う違う、君のあれは空間の改竄だけど僕のは上書きだから似て非なるものだよ。」
「ソロ、こんなことをするということはつまり時が来たということで良いのだな?」
メフィストはわざとらしくニヤリと笑ってから聞く
「え?まだだけど?」
「じゃあなんで呼んだし!?」
仮面が剥がれるのが早いのが第三魔王クオリティである。
「まあ落ち着きなよ。地球人同士仲良くしようよ。ね?」
「ふ、ふんっ!そういうことにしといてやろう!!」
しどろもどろである。
「貴方達は……地球人なの?」
「信じる、ことできない」
「おいおい悲しいこと言うなあ。君らがこっちに来た時誰が鍛えてあげたと思っているんだい。なあサクラ、わすれてしまったかなルー」
サクラ、ルー、これは両者のかつての師匠だけがした呼び方でありその師ははるかに昔に喪ったはずのものである。驚くべきことに声までもがかつてのままであった。
「そんな……ありえない……!?」
「師は死んだ……はず」
「まあ、そういうことだと思ってくれれば良いよ。僕はあまり覚えていないけどさ。君らが転生者だってことだけ思い出した」
「これでも信じないなら、前の名前でも言いましょうか?」
「いえ、良いわ。分かった」
「了解、先達は地球人」
「良かった良かった。それじゃあ地球人同士で地球の話でもしようかな」
元地球人の話はいつまでも続いて爪弾きにされた第五魔王は大人しく兄弟の元へ帰った




