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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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復活


目の前でいくつもの火花が散る


剣がぶつかっているのだと思うけど僕の目には写らない早すぎて分からない


理解もできない戦いには介入しようがない


「さすがは聖女だ、まだ食らいついてくるか」


「随分と余裕ですね?」


「伊達に邪神やってるわけじゃないさ。はあっ!!」


小柄な体が吹き飛ばされ壁に叩きつけられた


体格差というよりも本気を出されたという方が正しいのかもしれない


「かはっ!?」


「もう終わりだ。次生まれるときは【斬悔】なんて呪い背負うんじゃないぞ」


大司教様の刃がもう一人に向く


「お前の【献神】も俺が切り裂いてやがあっ!?」


背後から飛来した瓦礫がぶつかったようだ


「勝手に次にいかないでください、私だって伊達に聖女やってるわけじゃないんです」


剣を杖代わりにして女の子は立ち上がっている、その周囲には宙に浮く剣があった。


「言うじゃないか……。それは【斬悔】の派生か」


「どうでしょう、私も隠していた二本目の武器かもしれませんよ?」


「はっ、いけしゃあしゃあと言うものだ。聖女が嘘をついて良いのか?」


「嘘なんて申していませんよ?これは紛れもなく私の武器なんですから」


「それも全て折れた時に立ち上がることができると思うなよ」


「あら、神ができもしないことを言うものじゃないですよ?」


「ほざけ人間、お前の減らず口もあと少しで聞き納めだ。首と胴体のお別れの準備でもしておけ」


大司教様が消え火花の散る剣撃の嵐が再開された


僕には止められず


僕には見ることもできず


何もできない


僕は……無力だ


『突然で悪いが力が欲しいか』


またか


僕はもう縋らない


神に縋っても何もならない、利用されるだけだ


『勘違いすんな、俺はお前だしお前は俺だ』


なにを言って……いや、この声は……僕を苛む声そのままだ


あれは僕じゃない僕の声だったのか


……僕じゃない僕ってなんだ


訳がわからない


『お前は俺の仮想人格だった』


かそうじんかく?


つくりものってことか


『そうだ、お前は俺の意識を守るためのスケープゴートにすぎない』


そんなことを言われても……


『お前が何もできなかったのは、もともとなにかをするようなものじゃなかったからだ』


確かに……僕はなにもできなかった


なにもできる気がしなかった


『でもお前は、自我を確立した』


僕が?


「ああ、自分がすることを自分で決めただろう。あれははっきりとしたお前の意思だ。』


でも、そのせいで大司教様は死んだ


『ああそうだ。お前の起こした奇跡でしっちゃかめっちゃかになった。だけどなお前はいま新しい感情を得ている』


感情?


なんだろう。分からない


『それは怒りだ。お前は守りたかったものを守れず。決着もつけられずにいる自分に怒りを抱いている』


これが……怒り


これが……怒りなのか?


『そうだ。お前は今この状況をぶっ壊したいと思っているはずだ』


そうなのかな?


でも、言われてみるとそんな気がする


『今は大司教とやらの意識が戦闘に集中してるから表に出れたがこっからは分からねえ』


信用できない


『そりゃそうだ、だがな。お前に何ができる?」


僕には……何も……できない


『俺ならこの状況をなんとかできる』


ほんとうに?


『約束する』


大司教様を救ってくれる?


『言っておくがお前を虐げてたのはあいつだぞ?それでも良いのか?』


知ってたよ


それでも、あの人は僕に愛をくれたんだ


僕にとってはそれがすべて


真っ白な僕に注がれた色だ


すべてをかけてもいい


『……俺がそう言うならいいさ。助けてやろうじゃないか』


僕はどうなるの?


『多分俺と同化することになる』


消えるの?


『もう確立した人格が消えることは無い』


そっか


ならいいや


『じゃあ始めるぞ』


今度こそ


僕は大司教様を救うんだ



※※※



え?


なんなの?


もう一個の俺の方がよっぽど聖人じゃん


でもまあ力が足りないのは確かだし


少しばかり苛ついたのも本心だ


だから


「ふう……」


体を取り戻して最初にやることは決まっている


ちょっとばかり本気でやろうと思う今は神からの干渉もないようだし


「お前の力を見せてみろ【もう一人の僕(アルターエゴ・トゥルース)】」


イメージするのは打開の手段


無力を嘆けど為すべき救いを求め


自分への怒りを目覚めさせ愛を謳った愚鈍


そんな俺を象った道具だ


腕でも脚でも好きなところから持っていけ


全部まとめて片をつけてやろうじゃないか


















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