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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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神というもの



降り注ぐ光


神の力を象徴する聖なる力の奔流


それが目の前の大司教様を貫いた


原因はそう、僕の言葉だ


「あっ……」


その一息分の声だけが


最期に大司教様が遺したものだった


光は次々と信者たちを貫いていく


「やめて……やめてください……」


意味がないことは分かっている


僕の口から出た言葉で奇跡ははじまってしまった


奇跡は完遂される


神の奇跡が失敗することはありえない


失敗するのは人の業だけだ、神からの断罪が失敗することは断じてない【天啓】が発動した瞬間に全てを理解させられた神は僕の為に【天啓】を用意したのではなく自分の力の行使のために僕を使ったのだと


「僕はこんなこと望んでいない……」


喋る内容への介入なんて造作もない。僕は幾度となく自分の口が勝手に喋るのを経験した。


そして僕は断罪を願わされた


「どうして……こんなことに……」


僕はただ助けたかっただけなのに


『不可、邪教の首魁の生存は認めない』


邪教……?そんなことはどうでもいい。ただあの人に生きて欲しかった。なにもなかった僕をなんでもなかった僕を愛してくれた。僕を僕として見てくれた


『重ねて不可、邪神の配下の生存は認めない』


僕は……それでも…望む


『緊急事態発生、邪神の介入を確認』


介入?邪神の?


『ただちに……ただ……抵抗……機能低下……強制……終了……』


信じられないことをが起こった


目の前で大司教様の体が復元されていく。それどころか信者たちも同じように復元していく。


奇跡、そう形容するしかない。死者蘇生が行われたのだ


「やらせるかよ……【神殺し(タブー)】の悲願を達成するまでは俺は……リーヴァス・ガズハウンドは倒れない!!」


若い男の声で大司教様が喋る


なんだろう、生き返って嬉しいはずなのに大司教様が他の声で喋っていると胸が苦しい。


「俺は誓った……お前らを滅ぼして人の世を作ると!!」


大司教様が僕に向かって叫んだ


やっぱり僕の胸の苦しさは増すばかりか、今度は視界まで狭まる


「尖兵程度に俺の願いを潰されるわけにはいかない」


大司教様の手には一本の剣


ただの鉄の塊に見える


だが、直感で悟った


あれに当たってはいけない


「これはただの剣だ、だが俺といつまでも共にあった剣だ」


溜めが見える早く動かないと


死ぬ


「力を貸してくれ【変わり果てし我が妻(サラ)】」


大司教様は一歩で距離をゼロにした


だめだ


間に合わない


死ぬ


死ぬ


もう首に剣が来る


ダメだ


「やらせない!!」


突然壁が破壊され剣というにはあまりの大きい金属の柱が僕を剣から守った


「紅蓮の聖者様は殺させない!!」


小さい女の子だった


その手には大きすぎる剣


あまりにもアンバランス


あまりにも不自然


「あなたは……?」


この子は誰なんだ


「そうですか……記憶を無くされているのですね……私は聖女ガラシャ。【斬悔】のガラシャです。そして……」


もう一人女の人が出てきた


「聖者様……お会いしたかった。聖女メイリア。【献神】のメイリアです」


全く記憶にない


第一僕は聖者なんかじゃない


そんなことよりも、この人たちも殺されてしまう


死ぬのは僕だけでいい


報いを受ける権利は僕だけのものだ


大司教様を殺した僕だけが、大司教様に一番に殺される権利がある


「逃げてください……大司教様の狙いは僕だけです」


早くあの刃にかかってしまいたい、でも未だに分からない。どうして僕は拳を握りしめているのだろう


歯を食いしばっているのだろう


目に力が入っているのだろう


「「っ!?」」


なんだろう二人を泣かせてしまった


「記憶を無くしてまで……あなたは他者を優先するのですね…」


「それでこそ聖者様です……ぐすっ」


「「ですがそれは聞けません」」


二人は大司教様の方を向いてしまった


多分僕の声はもう届かない


いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ


大司教様を殺すの大司教様に殺されるのも僕の権利だ


「僕のせいなのに……ぼくだけの……」


そんな呟きを無視して僕には見ることすらできない戦いが始まってしまった




















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