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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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まっしろになったひと


なにかあった


おれにはなにかあった


それだけは分かる


分かるが


なにがあったんだろう?


でも、分からない


嫌なことも、好きなことも分からない


分かってることは二つだけ


家族は信じられること


【己のすべきことをしろ】という教義


でも、なにをすべきなんだろうか


一つも分からない


考えようとするたびに頭の中に靄がかかる


「こんなところにいたんですか、今日は農作業の日ですよ」


この人は家族の一人


指示をしてくれるから好きだ


おれは何をすればいいかわからないから


「わかり、ました」


「……なにか思い出したことなどは無いですか?」


「ないです」


「そうですか……ならいいのです」


今日は野菜を収穫するのだろう


ここは不思議な場所だ


建物の中なのに太陽があったり


広大な農場があったりする


良い場所だ


※※※


「嘘……紅蓮の聖者様の名前が消えた」


「聖者様が!?」


あることから二人一組で行動するようになった聖女がいた


教会においてそれは珍しいことである。聖女は本来一人でも相当な能力を発揮する、加えて干渉を嫌うものが多いためだ


いつの時代も聖女は6人


それに加えて聖者が6人


それらをまとめて【十二使徒】と呼ぶが最後に使徒が揃ったのははるか昔の話である。


教会は使徒を探すために躍起になっているが成果は芳しくない


聖女の持つ聖号は


【斬悔】


【献神】


【王言律】


【機跡】


【白愛】


【福院】


以上六つである


対して聖者に与えられる聖号は時代によって様々だが一つだけ必ず存在するものがある


【救世】


この聖号だけはいついかなる時も存在している


現在確認されているのは聖女四人と聖者三人である


重厚長大な刃を扱う【斬悔】のガラシャ


罪を切り裂くことで神に仇なすものを一切合切浄化する力を持つ聖女


神へ捧げることで超常をなす【献神】のメイリア


神への供物を捧げることで神からの支援を受ける力を持つ聖女


彼女らは紅蓮と呼ばれる聖者を探し続けていた。


協会には巨大な石碑があり、教会に確認された聖女と聖者の名が示される


本名は教会にとって何の意味も持たないため聖号のみが刻まれることになるがそれは一種の存在証明であり聖性を持つ限り消えることはない


そこから紅蓮の名が消えた


つまりは聖者ではなくなったということだ


死んだ場合でも名は刻まれたままだ、光を放っていた聖号が消えるという形になる


堕落したかもしくは邪教に改宗した場合は資格を失ったとされ名前が消える


つまりはそれほどの事がその身に起きたといいうことになる


「事は急を要します、悠長にやっている場合では無くなりました。」


メイリアの手が自らの両目を覆う


「仕方ないですね……でもあなただけに負担はかけさせない」


ガラシャがメイリアの手を取り自らの目も塞いだ


「良いの?あなたまで背負う必要はないのよ」


「今さら何を言っているのかしら。愚問よ、やりなさい」


「……分かったわ」


メイリアとガラシャの瞳が淡く光る。これは【献神】の力の一端である


神への供物として何かを捧げることで神からの支援を受けることができる力だ


瞳を捧げて神の視点を得る


つまりは見たいものを見ることができる千里眼である


代償はその視力の全て


今回は聖女二人で分割したため視力の喪失とはならないが


だが本来であったならこれを行なったとしても紅蓮の姿を捕捉することはできない


高次元よりの来訪者であることによってただでさえ見づらいのに加え、聖性と呪いの二重の妨害によってどこにいるかさえ定かではなくなる


しかし、今の紅蓮には聖性も呪いも無いも同然である。故に今ならば目的のものがどこで何をしているのかが分かる


「見つけた……場所はピラミダス!!」


つまりは紅蓮の場所が分かる


「行くわよメイリア!!」


「ええ!!」


聖女の歩みは力強く


片目ずつ見えなくなった瞳は輝いていた





















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