受難の意味 5
…………おかしい、何が原因かは分からないが……
何かが確実におかしい。例えるなら今いる空間が全て作り物のようだ
加えて俺の全ての行動が監視されているように感じる
「クリア、何か異常はありませんか?」
こういう時に役に立てよ。ぜってーなんかおかしいぞコレ
「特にないわ。害するものは何もない」
"害するもの"はないか、では聞き方を変えよう。
「私の周りに何がいますか?」
いないわけないだろ?なんかこう第六感的なやつが反応してやがる
「何って……そりゃあ色々と?」
やっぱりか。俺の周りに何かいる。まあ、だいたい想像はつくけどな。
例えば
いつも以上にふわっふわな土とか
最適な湿度とか
快いそよ風とか
一切の邪魔が入らない空間とか
気温だってちょうど良い
こんな事は普通ありえないのに。というか、流石に露骨すぎる。
「はあ……。出て来てください」
めんどくせえ早く終わらせてやる。つっても……出てこないか。
「………………………分かりました」
出てこないならこっちにも考えがある
「やはり私はここから早く立ち去るべきでした」
俺が出ていけば良い。それでこいつらは動かざるをえない
「っ!?」
足に土がまとわりつく。水分を含んで沼のようだ。
妨害か。でも、意味はない
なぜなら、俺には聖なるパウアーがあるから……ってあれ?
全然振りほどけない、なぜだ……?
「くっ!?」
動けねえ。だが、口は動く
「そこまでする理由はなんですか……私とあなたたちは関わるべきではないのです」
クソ、腰まで埋められたかちくしょう
……まてよ?沈めばこのまま死ねるんじゃね?
『否、自殺とみなす。故に死は不可』
あー、そうかよ。だったら最初の殺害志願の時点で教えてほしかったよ
窒息死の手前で居続けるなんざ冗談じゃねえ。出てえけど動けねえのは本当だしな
どうするか、まあ、下半身が抱きしめられてるみたいなのは気のせいだろう
「……お話がしたいです。出て来てもらえませんか?」
下手にでてやる。潔く釣られろ
「「「「「………………!!!」」」」」
なんかわたわたしてんのだけ伝わった。早く来いよ……
「……怒らない……?」
土か、
「怒りませんよ絶対」
怒るを通り越して激昂するからな
「どこにもいかないでよ……」
水も拗らせてんなー
「行きません」
去るのはお前らだ
「遊んでくれる?」
風か……元気ないな、ざまあ!
「ええ」
今からお前らで遊んでやんよ。覚悟しな
「わ、私は……あの……その」
言うことないなら帰れよ箱
「ずーっと一緒に居てね」
うわー、火のやつが一番やばい目してるわ
こわっ!?
まあ良い、姿を見せたが最後だ
言いくるめて終わりよ
俺の勝ちだフハハハハハハハハハハハハハハ!!!
※※※
エルフ達はこの世界において守護者であるとともに裁定者である。
彼女らがその身に背負っている役目は大きく分けて二つ。一つ目は転生者による世界の混乱が極致に至る前にいさめること。もう一つは五人のうち誰かが死ぬような事態になったときに世界をリセットすることである。
彼女らは世界の構成要素の化身であり、災厄の代行者
それぞれが持つ力は絶大、しかし偏見を持たぬように白紙のごとき存在でなければならない
故に結界に守られた聖域のなかで生きていく
例外は認められるにしろ、軛たる存在に不具合はあってはならないからだ
そう、たとえば偶然であってしまった存在によって心乱され役割を遂行できなくなるようなことはあってはならない
造物主的にも一度決めた定めが崩れること世界運営において大きな問題となる
故に
「おいこらあああああああああああああああああ!!!お前んとこの転生者がまたやらかしかけてんぞどうすんだおい!!」
神どうしでイザコザが起きるのも仕方ないのである。なお今現在キレまくっているのが、転生を司る神ラセンである
「いや、それはどれだ?。最近転生者が多くていちいち覚えていないのだ」
首をかしげるのは地球を管轄する神アース
「ああん!?どれだってお前、お前が直々に送りこんだ奴だよ!!」
「ああ、奴か……奴にそんな力などないはずだが?」
「お前……あの世界のシステム覚えてるか」
「いや、特に記憶はしていないが?」
「だからか……お前の付けた罰あるだろ、アレなあの世界でやるととんでもねえボーナスがつくんだよ」
「あそこにボーナスシステムなんてあったかな……あ、まさか……善い人ボーナスか!?」
「そうだよ、お前何を制限した?」
「殺生、食事、性的事象、睡眠、暴言だな」
「その制限をやり遂げた人間をなんて言うとおもう」
「聖人だな」
「大正解だ馬鹿野郎、これ見ろ」
ラセンが投げ渡した紙には現在の善い人ボーナスの総計であった。
それは今も増え続けていて10桁の大台に乗りかけている
「なんてこった……生きてるだけで無限にボーナス稼いでるじゃないか」
「そのせいでアホみたいな出会いをして今は裁定者のガキのメンタルぶち折ろうとしてやがる」
「……まずくないかそれ?」
「まずいからこうやってキレてんだろうが!!」
「分かった分かったどうにかしよう」
アースはタブレットのようなものに情報を打ち込み始めた
「これでいいだろ?あとで聖性もなんとかしておくから」
「チッ、今はそれでよしとしてやる」
神の都合に振り回されるのは異世界に行っても同様なのであった




