ガーネット、あの子と再会する。
「わあ、お久しぶりです! お元気でしたか?」
思わず駆け寄って手を取っちゃった。
「え…ちょっと」
「その後いかがでしたか? あの時は固まっていましたが今は普通に見えます。あれはお調子を悪くされてたのですか?」
「ねえ、待って」
「凄い偶然です。ここはあなたの家だったのですね! ということはリンウッド公はお父さまですか? かっこいい方だと思います。だけど私のお父さまも負けていません! でも力では絶対に負けてしまいますね。体力も! 以前一緒に走った時お父さまはすぐに息が切れてしまって」
「ねえ!」
強めの声がした。彼女はうつむいてぷるぷる震えてる。
私が手を離しても震えは止まらない。
「もしかして、私、ウザいですか?」
「違うっ」
違うみたい。彼女はもう少しだけぷるぷる震えた後に、顔を上げて言った。
「ボクの思ってた順番で、やらせて」
彼女は深く息を吸って、頭を下げた。
「ノエル・リンウッドです。以前お会いした時は、礼を失しており、申し訳ありませんでした。名すら告げなかったことを、お許しください」
「そんな、いいんです! 私こそごめんなさい、むりやり話しかけちゃって! ノエル様と言うんですね。素敵なお名前です!」
私はもう一度、彼女の手を取った。
「まっ、待てよ、頭まだ下げてない、てか、さ、触んなっ」
ばばっと無理やり振り払われちゃった。やりすぎちゃったかな。
「ごめんなさい、ノエル様。私、嬉しくて。まさかこんなに早く会えるなんて、また治療に行った時に会えるかなー、なんて思ってたんですけど。嬉しい誤算です!」
「……様は、いい」
「はい、ではノエルさんですね。魔術研究所でお会いした時は声をかけても?ノエルさーんって呼んでもいいですか?」
「うるさい」
怒ってる。やっぱりやりすぎだ。
「ごめんなさい、静かにします」
「違う、そんな顔しないで」
どうやら顔に出てしまってたみたい。「違うんですか?」って聞いたら、ノエルさんは少し言いにくそうにしてから、頭の上、耳に手を当てた。
「"これ"、聞こえすぎるんだ。だから、それだけ。あなたが嫌とか、そういうのじゃない」
「そうなんですね。じゃあ、少し静かにします。しー、です」
私は声のトーンを抑えて、指を口元にあてた。
……えっと、でも、この後はどうするんだろ。
二人して黙っちゃってるよ。
ノエルさんは私の目を見つめてる。
なんだろう? とりあえず笑ったら、ノエルさんは目を伏せちゃった。
それから、小さい声で言った。
「本当に、気にしてないんだ」
「気になってる事なら、ありますよ?」
ノエルさんは少し震えて、私を見た。
私は改めてノエルさんの全身を見た。うん、やっぱり。
前回は、匂いで当てられず、目で見ても分からなかった。
だけど今なら分かる。白いふわふわのドレス。小さな肩、小さな足。それから汗の匂い。
「やっぱりノエルさんって女の子だったんですね!」
ノエルさんの目が、きゅっとなった。
あ。怒ってる。
「……はぁ~~~~っ!!?!? お前またそれ%&#$#%#%&#$#%#!!!!!」
ああ、大音量。
やっぱり私って会話に向いてなさそう。
人間って、難しい。




