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蚊です。転生したら人間でした  作者:


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33/35

知らない人だ。こんにちは。

「ここに女が居て石を投げたら当たるかもしれねぇって、分からなかったのか?」

「すみませんねぇ、今の私にはあなたしか目に入らず。ですが、『今度』は逃げませんでしたね、デュオ様」

「っ!」


 男の人はデュオさんを見てくすくすと笑った。え、なんだろ。良い雰囲気ってこと?


「デュオさん、この方はお知り合いですか?」


 デュオさんに聞いたんだけど、男の人が答えた。


「もちろんですよ。常日頃からデュオ様にはお世話になっております、お嬢さ――」


 男の人は途中で止まって、私の顔を見た。

 ん? なんだろ。


「おやぁ。おやおやおやぁ? これは、デュオ様に『遁走貴公子』の仇名を授けた、ガーネット様じゃないですか」


 あだな? とんそうきこうし? またよく分からない話。

 男の人はまたデュオさんに笑いながら喋った。


「デュオ様、何故ガーネット様と接触を? もしかして口止めでもするつもりだったのでしょうか? いえ、きっとそうですよね。ガーネット様に何を言われたのかは知りませんが、それは間違いなく貴方の弱み。であれば口を塞ぎたくて仕方ないはずです。何と言ってお願いをしたのですか?」

「――よく喋るな、オーフェン」

「おや、私の名前を?」

「ああ。初等学習院で見た顔だな。確か、上級生か。静かで頭の良さそうな奴だと思ってたんだが。がっかりだ」


 デュオさんは一歩踏み出した。


「ベラベラ喋る奴は、ただのバカだ」

「バカとは――」

「え! それって」


 ベラベラ喋る奴。それってわたし!

 だけどデュオさんはすぐに身体をねじって私に小さな声で言った。


「お前には言って――いいから今は静かにしてろっ」

「はい。静かにですねっ」


 私は唇に指を当てた。しー、だね。


「こそこそと、何のお話をしているのですかぁ?」


 あ、オーフェンさん、近くに来てる。


「てめぇには関係ねぇ」

「つれないですねぇ。ですが、構いませんよ。どうせ貴方は何も喋ったりしないでしょうし。だから」


 オーフェンさんは、私に向けて言った。


「ガーネット様にお聞きします。あの時、デュオ様に何を仰ったのか。私に教えてくれませんか?」

「はい。いいですよ。あの時はですね」

「おいガーネット――」

「二人だけの秘密の話を、していたんです」


 オーフェンさんに謝らないと。

 頭を下げてね。


「ごめんなさい。それ以上説明することはできません」

「うっ、うは、そういうことだ、オーフェン。下がりな」


 デュオさんの言葉に、オーフェンさんは首を振った。


「……ですがねぇ。デュオさんにお聞きするよりは、ガーネット様にお頼みした方が、聞き出しやすそうなのでねぇ」


 それから、オーフェンさんはまた笑った。


「力ずく、でも、聞いてみましょうかねぇ」


 オーフェンさんがそう言った瞬間。

 風が、ごうって吹いた。


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