ガーネットは授業を受けている。
それから数日。私の毎日はあまり変わってない。
授業も復習もしんどいし、友達とは会えないし、牛乳はおいしいし、寝る前のノエルさんは温かい。
寝間着から服を着替えて、また寝間着に着替えて、また寝間着から服を着替えて。
何も変わらない日々。だけど今日は違うんだよね。ふふふ。いつもと違う授業なんだよね。
「ガーネット。本当に、ほんっとう~~~に、独りで大丈夫なんだろうな」
ノエルさんは心配そうに言った。
「大丈夫です !勉強にも少し慣れてきましたし。平気です! それに魔法学を学ぶのは夢だったんです。魔術研究所の先生に是非専攻しろって言われましたし。別に夢ではないですね。でも私にとって必要なことらしいので、頑張ります!」
「……そうだよな。ガーネットの体質のこと、だもんな。仕方ない……いや、うん、ボク、過保護すぎるのかも……」
ノエルさん、うつむいちゃった。相当がっくししてるね。もしかして、魔法学の授業、受けたかったのかな。
ノエルさんが受けるのは経済学の授業。なんでも、ノエルさんには、公爵家の娘として今後の執務に必要な学問を学ぶ責任があるとか。
今から3年間、どんな授業を受けるのかは予め綿密に決めているとか。
すごおおい。大変。疲れちゃわないかな、ノエルさん。心配。
「じゃあな、ガーネット。鞄、置き忘れるなよ。ボクは授業が終わったら、図書室に行くから、来て…よかったら、来てね」
なんだか言いにくそうにしてる。よかったら来て、ってことは、行かなくてもいいってこと?
うーん、どうしよう。
ノエルさんと別れた私は、考えながら歩いた。
そういえば、舞踏会が終わってからは一人になる事ってあんまりなかったよね。
今までの授業は、ノエルさんとずっと一緒だったし。
これからは違う。魔法学だけじゃない。ノエルさんと一緒に受けられない授業もあるんだ。
ちょっとだけ、不安かも。
でも、楽しみなこともあるんだよね。
もしかしたら、リンベルさん達にも会えるかもしれないし、新しい友達が出来るかもしれない。
ふふふ、そう思ったらなんだかうきうきしてきた。足取りも軽くなっちゃう。
太陽の光が目に入って眩しい。本棟から天文棟への渡り廊下、外にちょっと身を乗り出してみると、湿った風が吹いてきた。
うわあ、すっごく、いい景色。
お気に入りの場所、さっそく見つけた。幸先いいかもです。




