ガーネットはベッドに座ってみる。
ノエルさんと一緒に入学の式典を終え、寮にやってきた。
なんと、ノエルさんと同じ部屋! 割り振りは学校側が決めると聞いていたけど、すごい偶然。
だけど、今はそれより、確かめたいものがあった。
私は指でそっとそれをなぞる。ふむふむ。次に、押してみる。おおおお。
「ノエルさん。このベッド、柔らかいですよ! シーツも滑らか。すべらか? 家のベッドよりいいかも知れません。あ、家のベッドも好きですよ。だけど新しいこのベッド、私、もう気に入りました! これなら毎日いい睡眠が取れそうです!」
「そっか、良かったな」
「はい、本当に嬉しい! ところでノエルさん、何か悩み事ですか?」
「ああ、ちょっとな。えっ!?」
ノエルさんが驚いたような顔で私を見た。あれ?違ったかな。
「すみません、少し、落ち込んでいるような気がして。ごめんなさい」
「い、いや、謝らなくていい。そういう変化は大歓迎っ……! じゃなくて、違う。どう切り出そうかって、違う。考え事をしてたんだ」
「考え事?」
「……この後、新入生を祝う舞踏会があるだろ。自由参加の奴」
ノエルさんはもう一つのベッドにぼふんと座った。真剣な顔です。私も自分のベッドにぼふん。
「ガーネット、参加したい?」
「はい!」
だって、新入生の皆が集まり、ご歓談する場所。絶対楽しい。初めて話を聞いた時から絶対参加しなきゃって思ってたもんね。
「そうだよね。ガーネットならそう言うと思ってた。もちろん、問題ないよ。だけど、注意して欲しい事がいくつかある」
「大丈夫です。目立たないように、喋りすぎず、落ち着いて、ですよね。心得てます!」
ふふふ。ノエルさんの言いつけだけど、それだけじゃないよ。
女神さまの命令だって忘れてないもんね。
周りに迷惑をかけないように、蚊だってバレないように。
その為にも目立っちゃダメなんだ。
「ううん、それだけじゃないんだ」
やっと、気付いた。ノエルさんの声、緊張してる。
「いいか、ガーネットにはこの学園での生活を、普通に、楽しく過ごしてほしい。その為に、今まで伏せていたことを、今ここで言う必要が出てきた」
え? なんだか不穏かも。
ノエルさんは真っすぐ私を見て言った。
「ウエストリアには、ボクを除いて三人、公爵子女がいる」




