039 スカラベとつながった世界と下準備 その4
エモーショナルペナルティをくらい、一週間ほど現実で静養し、身も心もさっぱりしてから05:00にログインした。霊の神殿の祭壇である。
「スカラベ君、僕が歌と踊りに混ざったことに気がついてた?御神体もなんか踊っていたけど。」
あさりうまうまである。
「誰か増えたなとしか気づかなかった。」
「まぁいいや、楽しかったし。とはいえあの程度でエモーショナルペナルティくらうとはまだまだ未熟だね。君がログインする直前まで私達は歌い、踊っていたよ。自分でつくった雰囲気に飲まれるとか、ゲーム楽しんでるね。アバター増殖とかあんな数までふやすのは僕でも滅多にやらないよ。あさりうまうま一人千人軍楽隊とか、阿波おどりとか、宴会芸としてやったことはあるけど。今でもたまに呼ばれることがあるよ。今回は君が主催だったから、かなり人数抑えたんだよ。」
「アバター増殖って一般的な技術なのか?」
「魂の神殿やそれに類する施設の外でできるのは僕だけかな。まぁ精進したまえ。」
「アドバイスとかないか?」
「扱えるアバターの数は決して重ねた魂の数にはよらないよ。プレイヤー百万人に化けたときは大変だったなぁ。1500人ちょっとしかいないゲームで、百万人はサクラとしてもやり過ぎたなぁ。もちろん全員装備はちゃんと違うし、顔も違うよ。モフモフは癒やしだけど、増殖した僕には数がたりなかったとか言う笑い話だよ。」
「杭とかどうなってんだそれ。」
「よほどのことがない限り僕は杭を使わないよ。海はアリみたいに渡れるし、使うメリットがないかな。」
「自分とは違うアバターを生み出すコツとかないか?」
「自分の最小単位を小さくすることだね。キャラクター作成では君の身長が小ささの限界だけど、それは作成するときだけさ、このゲームはもっと自由なんだ。」
半分の身長の自分を、横に増やしてみる。
「そうそう、その調子。」
「「なるほど、こういうことか」」
「「「「「そうだよ。」」」」」
「「「「「「それ、怖くないか?」」」」」」
「「「「「「「「「未熟だからさ。」」」」」」」」」
「なるほど。」
「まぁそっちのほうが人間として正しいのかもね。」
「一発芸勝負しようか!」
「いいよ、受けて立とう!」
「百段ピラミッドからのジャンプ!」x5050
「リアルマトリョーシカ寄せ絵からのコサック!」x1000000
「負けだ負け。それどうやってやるんだ?」
「これが年季ってやつさ。」
「はしゃぐのはいいんじゃがなにしにきたんじゃお前ら。」
祭壇から黄色い光が出てきて無数の爪楊枝でできたダヴィンチの橋になると、改まった声で聞いてくる。
「ああすまない、スカラベ君の魂の改造の話だっけ。」
「そうだ、 忘れてた。魂の重ね合わせまではやったんだっけ。」
「そうじゃったよな。目が覚めるなり踊り始めて何事かと思ったわい。ひさしぶりに楽しかったのぅ。」
「で、ぶっちゃけ何をしたいスカラベくん。文字道理なんでもできるよ。」
「太陽を作れるか?前に一度やってみたけど、一瞬しか存在できなくて。」
「おそらく太陽に関する知識が足りてないのぅ。良いか、太陽の概念をつくるなら、それ相応のスキルが必要じゃよ。物理的にただしい太陽なんぞ、それほどこの世界で約に立たん。もっと発想をふくらませるんじゃ。」
「そして、それをどういう風に使いたいか?浄化に使うか、攻撃に使うか、回復に使うか、推進に使うか。」
「ダメージがでる攻撃手段として、使いたい。推進はインパクトで十分だ。持ってるスキルは、サンプルスフィア、魔力感覚、時空属性、インパクト、スキル刻印だ。それぞれ選別及び採取、知覚手段、加速、推進及び回避、スキルが組み込まれた物品の制作に使っている。」
「サンプルスフィアと魔力感覚で水素及び太陽の光及び重力子を選別し、一定範囲内に押し留めればいいんじゃないかな?」
「時空属性で円錐をつくればよかろうな。問題は波長を揃えた強力な光じゃが、今ならば暗闇でも行けるかもしれんな。なんせ踊りながら青い光だしておったろう?」
「手を超光速で振って光を集めろと?」
「いけるね。」
「問題ないじゃろう。楽しく踊っておったろう、手からもバリバリ出ておったぞ青い光。」
「重力なんてほとんど意識したことないんだが?」
「専用の魔法にすれば関係ない。」
「うむ、題するならば「『スカラベ』第一章 それは新しくつくられし太陽」とか、どうじゃ?」
「非刻印魔法にする必要はないよね。持続性はあっても、何処かから読み込むことはできないんだし。」
「想起属性や配置属性が未習得ならやむなしか。ロマンがないのぅ。」
雑誌に見たレーザーを使った核融合炉の写真がなんとなく頭に浮かんでくる。きれいな花火になりそうだ。
「なんとなくイメージはできた。」
「ではそれをスカラベくんの魂に組み込もう。なんか三百近くあるけど、全てに組み込んじゃえ。」
「うむ、この程度の改造ならバックアップなんぞいらんな。」
祭壇に私は吸い込まれて、意識が白く染まった。
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name: スカラベ
レベル: 645
称号: 太陽を創る者、大地の破壊者、第四回40000km最速踏破大会優勝者、群体、歌と踊りに狂う者、適合した者
物攻: 7.1e1000 物耐: 6.001e460
魔攻: 8.02e1200 魔耐: 5.023e400
俊敏: 3.07e400 技量: 4.461e900
生命: 4.87e700持久: 8.111e900
魔蓄: 7.43e800 魔回: 7.302e800
魔法: 刻印魔法『試作太陽』x300
スキル: インパクトlv2e640 魔力感覚lv42 サンプルスフィアlv4 スキル刻印lv1011 時空属性lv2300 配置属性lv1
杭: 176(神殿、森、クレーター、神殿2、死と龍) 注:この機能はオフになっています。
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ここは、死と龍の山脈から少し離れたところである。目が覚めたら、いつの間にか刻印魔法が発現していた件について。あとこれ、300個同時発動できるってことだろうか。起動するための文言は、なぜかなんとなくわかる気がする。かなり騒がしい『ミチ』の上に目標を定めて、すべての魂に対して、同時に『試作太陽』を念じさせる。
「まぶしい!眩しすぎる!」
「何が起きた?5鯖は安全じゃなかったのか?」
「誰か知らんが、ここはBBQの鉄板じゃないんだぞ!」
「どちらかといえばオーブンでは?」
「我々はグラタンかなんかってことか?」
「やめてくれ、腹が空く。」
だれも意に介さない模様。『ミチ』の上には結界でも敷かれているのか?もともと軽石がよく飛んでいく世界に、彼らは何を期待しているのだろうか?『ミチ』の上に三百の巨大な太陽が生まれたのだが、彼らでは威力の確認はできない様子。その代わり、『ミチ』に群がっていた獣はすべて蒸発していた。そして、自分のいるところも灼熱となってしまい、慌てて飛び上がった。無様である。消費魔力は一つあたり100000程度、威力不明となると扱いが難しそうだ。爪よりも小さく圧縮して夢幻都市の方に放つと、胡蝶獣が必死に抑え込み、腹に大きな穴を開けたのが見えた。非存在性実体に効くのなら、威力は良さそうである。
刻印魔法は一般に魂に刻んでいて、初めて習得扱いになります。非刻印魔法は、空中にスキルを配置して作ったりします。その中で持続するものが、「『?』第??章???」みたいな形式の魔法です。モフモフは、「『??
』?????」や無詠唱で動きます。魂になんちゃらとかいう非刻印魔法は、譲渡できませんが、その代わりアドリブでなにかを付け加えたりできます。魔法は、基本的にはアバター1つにつき一個しか同時に発動できません。これは、仕様です。発狂要素でもあります。日夜オフラインモードでは、恐ろしい魔法やスキルによって、処理落ちが多発しているのだとか。超光速を表現できるこのゲームで、処理落ちする魔法とか、恐怖でしかないですね。




