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031 スカラベと滅亡鯖の恐怖 その9

注:シャボン玉=真空崩壊した空間のこと。検証班や主人公はだいたい気が狂っている。

 「一つ聞きたいことがある。このゲームでプレイしていくうちに、スキルを覚えていたなんて話はあるのか?」


 「ある。検証で、同じ作業を何千回と行った結果、それに特化した三枠スキルとなってしまったという失敗談なら知っているが、聞きたいか?」


 「詳しく聞かせてくれ。」


 「検証班の新人が、積み木を作って塔を建てたらどうなるのかという検証を提案してな。面白そうだったから、ノコギリと大量の木材を渡してやった。そして、三日後、「積み木作成」スキルが出ましたと楽しそうに報告してきたな。始まって六日後、「精密配置」スキルが出たと小躍りしていた。塔を見にいったら、積み木だけで壮麗なものができていて、びっくりした。」


 「精密配置は、配置属性だな。積み木作成スキルの効果を教えてくれ。」


 「使ったノコギリがどんなに悪くても、使用者の想像どうりの積み木ができるとかなんとか。」


 「想起属性の可能性があるが、断定はできない。」


 「それは本の知識か?もし配置属性ならば、なにかの意味が積み木に与えられているかもしれない。想起属性は、検証班泣かせのスキルでな。なんせ同じもの作ろうとして、千差万別のものが出来上がるんだ。もし積み木作成スキルが想起属性のスキルなら、やることが制限される分、自由度があがるはずだが、未開拓の分野の検証の第一歩となるかもしれん。」


 「今、そいつは何をしている?」


 「ここで必要な物品を作らせている。ものを精密に、大量生産できるスキル持ちは貴重なんだ。」


 「配置属性スキルのレシピは判明しているか?」


 「いない。だが、貴様の検証のなかで、時空属性が配置属性か想起属性に変質する可能性がある。扱っているのは時空属性でも、貴様の修行を見る限り、貴様の操ろうとしている属性は明らかに時空属性ではない。空間にラベルを貼って、それに付随する質感の認識を行っているな?空間を素材にする想起属性、または配置属性の可能性の芽が見える。」


 「わかった。ちょっと待ってくれ。芽が見えるとは?」


 「系統樹を見るスキルが存在する。例えば総帥を見るのであれば、大量生産特化のスキルの系譜からできたモフモフの全てがわかる。彼には、二つしか木が生えていない。一度に、兆とかのレベルでモフモフを創造して、自分用と売るように厳選する。残ったモフモフは、おそらく彼の創る空間に閉じ込められているはずだ。そういうつながりが見える。彼は一体生物型の非刻印魔法に、一体何を見出したのか。」


 「なるほど。」


 検証に戻ると、今度は手のひらにシャボン玉をおいている職員がいっぱいいた。真空崩壊を安定させようとやっているらしい。私はシャボン玉が大きくなったら、上に新しい小さなシャボン玉を置くという方法で、安定させようと試みた。下のシャボン玉がなくなったら上のシャボン玉を下げていくのである。どんどんシャボン玉が増えてゆくので、私はそれを縦横に並べて配置して遊び始めた。部屋が半分程度シャボン玉の群れに覆い尽くされたところで、さきほど話をしていた人が、こちらを見て少し怖がっているのに気づいた。


 「ちょっと目を離したスキに、やばいことやりおった。」


 「どこがやばいのか?」


 「そこにあるシャボン玉は全部、お前のものだろう。うっかり部屋を消されてもらってはこまるのだ。ここからは、検証はこっちで行え。」


 そういうと、以前ガイル教官が訓練場と言っていたのと、同じ空間に案内された。


 「最も、もし消されても、痕跡復元するだけだがな。そうなったらそうなったで、都合は良いのだが、他の職員の目が怖いのでな。こっちならその危険なシャボン玉を、いくつ浮かべても満杯にはならないはずだ。」


 そして、扉から去っていった。


 今度はシャボン玉を変形させる。大きくなるところの部分的な制御なのだが、なかなかに難しい。球から、立方体に変化させるだけでも一苦労である。大きすぎたら、小さなシャボン玉をつくりそちらにエネルギーを少し移動させる必要もある。立方体や三角コーンなど、様々なものを模倣し、並べてゆく。狼などをかたどって作っても、動くことはない。


 シャボン玉をこねくり回して遊んでいると、一つ、危険な考えが頭び浮かんだ。これで鎧をつくったら、無敵になるのではないかという考えである。だが少し考えてみると、これは難しいことがわかる。なら、盾なら作れるのではないか、と。その盾の表面にぶつかったものは消失する。なかなか良さそうじゃないか。さっそく、扉からでて、木の小盾を借りてきた。職員たちの見守るなか、木の小盾にスキル刻印をする。盾の敵に向ける側の面に何か飛んできたとき、それに対してシャボン玉を表面に小さく発動する。魔力感覚、時空属性の刻印である。それを受けとった職員が、それの持ち手を持って構える。他の職員がものや魔法などをぶつけまくる。ぶつけられたものは全て消滅した。最後に、持っている職員がそれの持ち手をもったまま、盾の表を下に向けて、自分もその上に乗る。床の上ではなにも起きなかったが、高いところから落ちながらそれをやったとき、その職員の下にあった床が消滅してしまい、そのまま無限に落下していった。なんかその盾の量産をたのまれたので、試しに二十個ほど作り上げる。何人かの職員が、無限に落下してゆくのが見えた。

ジャンプしたら無限に落下する鎧と、持ち手側の上に乗って盾ごと落ちると無限に落下する盾、みなさんはどちらをつかいたいですか?

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