030 スカラベと滅亡鯖の恐怖 その8
前回装用事情聴取です
目が覚めると、両腕が生えていた。
「スカラベ、意識はあるか?」
大きく頷くと、白い服に赤い帽子を来たプレイヤーが、大きく頷いた。
「喋れるな?貴様の時空属性の練習法を詳しく教えてくれ。」
「わかった。まず両手を、胸の前に持っていき、ボールを持つかのようにする。」
「こうか?」
「そうだ。そして、そこにボールがあり、自分はそれを持っていると認識する。」
「なるほど。」
「ボールの半径を大きくしてみたり小さくしてみる。次に、そのボールのサイズを固定して、その反発力を手のひらに感じる。できるようになったら、それを別の物体、例えばアヒルのおもちゃだとかに変えて見る。」
「そしてどうするのか?」
「話を急ぐな。ある程度認識を変えるのが自由自在にできるようになったら、次のステップだ。」
「ふむ?」
「一旦それをボールに戻す。そしてそのボールのもつなにかのエネルギーを大きくする。」
「やってみよう。たとえ真空崩壊が発生しても、ここならすぐに隔離できる。」
何人かのここの職員が、私のいったことをやってみようとしている。目をつぶって両手を大きく離したりしているその姿は、とても異様である。
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一時間が経過したとき、一人の職員の手の中からシャボン玉が発生し、両手が消滅した。
「「「『アザー』この時空間異常を隔離せよ。」」」
発生したシャボン玉は、職員の両手以外の被害を発生させることなく、消え去った。
「これだ。スカラベは非常に危険なバグを故意なく発生させた。地下都市はバグの被害で消え去った。これでいいだろう。スカラベに一切の落ち度はない。まず間違いなくバグではなく仕様だろうが、原因を特定するまではそう報告しよう。にしても何だこのクソ仕様は、またこのゲームのレビューに一をつける理由が増えてしまったぞ。」
「あなた方がレビューをつけていたのか?」
「決して我々だけではないよ。」
「これは仕様なのか?」
「スカラベ、それを言うなら貴様も検証に参加しろ。滅亡後1鯖の地形を破壊できたプレイヤーはお前だけだ。総帥が『アウグスト』に乗って、最高級の攻撃力を持つ魔法を放ちまくった結果、なにも地形は変化しなかった。貴様はその時出た結論である、「1鯖の地形をスキルや魔法で破壊することは不可能」を覆したのだ。とても興味深いことに、今までこの忌々しいシャボン玉を意図的に作れたものはいなかったが。喜べ、検証が終わり次第「スカラベ式1鯖破壊法」として機関誌に寄稿する予定だ。」
「私にはとても喜べないのだがそれは。」
「どちらにせよ功績には違いあるまい。第四回40000km最速走破大会の優勝もあって、貴様が注目されるのは今さら避けられることではないのだ。「第四回40000km最速走破大会優勝者、ハンドパワーで地下都市を破壊する」となれば悪印象だが、そういう方向に話を持っていくつもりはないからな。」
「優勝賞品の本はどうなった?」
「あれは実体を持たない本だ。貴様が望めばすぐに手もとに現れるはずだ。」
試しに手もとにくるよう念じて見ると、手もとにシステム魔法入門ー星の巻が現れて、大きく安心した。
「真空崩壊に巻き込まれても、どうにもならないっと。ふむふむ。」
「何を言っている?」
「いやなに、ふつう真空崩壊に巻き込まれたものって情報が欠損すると考えられるんだ。そうではないことがわかったから、地下都市復元の可能性が出てきた。」
「戻せるのか?」
「自己意思がないものは痕跡再現の応用で戻せる。痕跡再現は無属性の魔法だ。痕跡属性なんてものは作れなかった。もし属性スキルとして存在するなら、少なくともスキル枠を二百消費する必要があるだろうな。もしくは経験値を対価にするか。現状どちらも未検証だ。」
「なんて魔法なんだ?」
「痕跡復元と言う。魔力消費が体積に比例して大きくなると思われるが、今回が初使用だ。」
「痕跡系の魔法を覚えるにはどうすればよい?」
「痕跡復元と真空崩壊の検証が終わったら、教えてやろう。」




