027 スカラベと滅亡鯖の恐怖 その5
タイムアタックをしているうちに一ヶ月はアッという間に過ぎ去り、本走の日となった。結局128人中32人が脱落した。最遅で1分速度にしてマッハ2014という恐ろしい魔境が整った。
「さぁて皆さんお待たせしました。第四回40000km最速走破大会、この青猫が司会を努めます。試走の段階で最遅の選手でさえ一分かからずに走破と、脱落者とそうでない組に大きな差がついておりましたがこの大会、試走と本走で全くコースが違うため、どうなるか私には展開が読めませんがMCの赤猫さん、どうでしょうか?」
「絶対に五分かからずに終わると思います。理由といたしましては、現在試走で最速の選手、なんと初めて完走した時点で六分を切っていたんですよね。十走目で小数点下十二桁を叩き出したその実力を侮るわけには行きません。青猫さんは誰に注目していますか?」
「私は二位の選手に注目しています。なんとこの選手、自らを変形させて走るのですよ。この選手はなんとスタート地点からゴールまで自らをつなげ、その先端に自分を出現させることでゴールするため、物理的制約をほぼ無視できます。ゲームのフラッシュレートの間隙を縫ってゴールするその魔法は、グリッチをするかのような繊細で精密な力技です。私がチャレンジしたところ、一万回やって零回ゴールしました。つまり常人には無理な技です。」
「青猫さん、弱気を言ってしまっては行けませんよ、この赤猫、一億回やって六回成功しましたから。」
「ハハハ、なかなかに厳しいことを仰る。そして最速のアレは魔法ですらないようですよ、青猫さん。」
「あの選手が魔法を使うのを一度も見たことがありませんが、彼が魔法未習得の可能性はあると思いますか、赤猫さん。」
「充分ありうると言えるのが怖いところです。なんせ彼、特技に「大地の破壊」と書いてありましたが、ここ1鯖でそんなことができる場所はありますか、青猫さん。」
「ない、ですね。地表が汚染物質に覆われる時に、崩れるような大地はみな溶けてしまいましたから。」
「つまり5鯖からやってきた可能性もあると、ハハハハハ。」
「おっとそろそろレース開催の時刻が迫って来たようです。スリー、ツー、ワン、スタート!」
「98人が一斉にスタート、先頭を進むのはスカラベ選手、次にハイポラ選手、大きく他の選手を引き離しております。おっとハイポラ選手、擬球の展開に失敗、途中から再走、現在スカラベ選手の独走状態となっております残り1100km、ほぼ同時にスカラベ選手とハイポラ選手がゴールを駆け抜けた!さぁ痕跡再現のお時間ですがまだまだ選手の多くは6000km地点、やはり彼等は速すぎる。全員がゴールしてから判定と参りましょう!氷と竜巻と雹に誰もが苦戦中、おっと半分が再走を始めました。もうルートを把握したのか、未再走の集団を追い抜き、現在岩砂漠ウィズ豪雨を駆け抜けております。そして洞窟はみなひとっ飛び、やはり最速の影響は強かったか!4分7秒、全員ゴールしました!前回の大会から一時間以上速度を上げて来ました。さぁて痕跡再現の結果は......スカラベ選手の優勝です!記録は7e-44秒、ハイポラ選手の擬球の先端が到達したのと同時にゴール!再走がなければハイポラ選手の勝利でした。惜しかったですねぇ。5鯖出身疑惑のある、スカラベ選手が優勝となりました。スカラベ選手、どうですか優勝してみて?」
「もし運が味方しなければハイポラ選手の優勝でした。これからも精進して行きたいと思います。そして本番はやっぱり調子が狂いますね、もしガバがなければどんなに遅くとも2e-100秒は出せていたのに、もったいないことをしました。ほんの少しズレるだけで全く結果が変わってしまう、繊細すぎるチャートを組んで走ったのが原因でしょうか?でもそのチャートがなかれば7e-44なんて結果は起こり得ないことだったので、この大会は奥が深いと思います。」
「それではこのシステム魔法入門ー星の巻をどうぞお持ち帰りください。入門とか書いてありますが、とっても難しいですよ。」
「この私赤猫は、歴代最速記録として今回でた7e-44秒を登録したいと思います。たとえだれにも塗り替えられなくても、それでいいじゃないですか。青猫さんはどう思いますか?」
「私も同感です。それでは、ご視聴ありがとうございました。司会者青猫と、」
「MC赤猫が」
「「お送りしました。」」




