026 スカラベと滅亡鯖の恐怖 その4
ログインすると、冒険者ギルドの杭から出た瞬間、第四回40000km最速踏破大会の会場に転移された。運営の腕章をつけた人の一人が壇上に立つのが見えた。
「今大会で司会を務めさせていただきます青猫と申します。皆さんこの大会に参加していただき、ありがとうございます。現在登録されている選手の数は、128人と大変切りの良い数字となっております。まず今回この会場に転移していただいたのは、試走を必ず行い、タイムを縮め、スタート地点からゴール地点まで八時間を切っていただくためとなります。それを達成された方は、こちらの赤い扉の先の部屋で杭が使用できますので、元いた場所に戻っていただくことができます。そうでない方には、試走コース外で杭の使用は事実上不可能になりますのでご注意ください。杭でどこに出ようが直ちにここに戻されます。もし、一ヶ月以内に八時間を切れなかった選手は、本走での出場及び次回大会での選手登録が不可能になりますのでご注意ください。その場合、観客席にてレースを見ることができます。これは、一般客として登録された方と同等の扱いとなります。ただ一つ違うのは、本走に出る選手の試行錯誤を目にすることができるという点でございます。故に私どもは積極的にこの大会に参加するように呼びかけているのであります。...ああそうだ、大事なことを言い忘れていました。あそこに見える青い扉の向こうが試走コースとなっております。コースの内側では杭の使用が可能ですが、会場を出ることはできません。ゴールからはあの一方通行な黄色の扉から出ることになります。是非地球一周の距離のあるダイナミックなコースを楽しんでください。質問を認めます。...ないということでよろしいですね。これ以降もしわからないことがあったら、運営の腕章を装備している人の中で特に黄色のバンダナをつけている人たちに聞いてください。」
そういうと、司会者は壇上から降りた。
青い扉の向こうに移動すると、そこは草原であった。かなり傾斜があるところが多くあり、岩などもあった。まず自分の斜め後方に500000発のインパクトを重ねて放つと、岩に激突して死んだ。そしてコースのはじめのところに戻された。それを見ていたプレイヤーの一部が腹を抱えて笑っていた。
二度目のチャレンジ。今度は250000発を放つ。同じく岩盤に激突して死んだ。
三度目のチャレンジ。今度は50000発を放つ。岩盤の目の前で止まった。500kmのショートカットに成功した。そこから先は洞窟を抜けていくようだったが、わずかに直線ルートが見えた。1060kmほどだと目算したため、ジャンプして1060000発を足裏が指定の角度を向いたときに起動。砂漠地帯にも直線ルートが見えた。ジャンプして足裏にインパクトを起動し3940kmほど吹き飛ぶと、氷の世界になった。眩しい。そして滑る。まともに立つのが難しいほどよく滑るしよく輝く銀世界、だが直線ルートを発見。早速杭を打ち込むといつぞやの垂直飛びで体を軽く浮かせ、インパクトで加速と姿勢制御をし3秒後、森を突っ切る。残り四分の三の標識を見ながら杭を打ち込み、溶岩地帯となった。ほとんどは草原地帯と変わらないが、突然どこからか高熱の蒸気を吹き出てくる。たまに噴火が起き、煙が空を覆う。軽石に注意しながらなお空を飛ぶ。そして出てくる残り半分の標識。獣は出てこようとするたびに見当外れなところに飛んでゆき、姿を見失ってウロウロしている。そして海のバイオームが見える。進路上を台風や竜巻が塞ぎにかかっているが、台風より上を飛べば台風は無視できる模様。竜巻は素直に避けた。島が出てきたり、沈んだり、普通に楽しむ分には面白そうだった。海底噴火で爆風が飛んでくることも。どこか哀愁が漂う残り四分の一の標識。雹が突然降ってきたり、地上が常に震度7強で揺れ、裂ける大地もあった。が、雹以外は無視して飛べた。極端に大回りさせる雹は意外に強敵に思えた。最後のバイオームは雷が異常に落ちてくる平野。ここも竜巻が多く発生していた。ご丁寧に豪雨までも降り注ぎ、地面は泥濘んでいる。地上スレスレを直線で飛んだら一つも当たらなかった。ゴール。タイムは5分44秒33だった。
四走目、さらなる速度を目指す。今度は最初から最後まで直進、ただし竜巻でスイングバイした。3分22秒01という好タイムが出せた。
五走目。スタートダッシュを強くかける。2分40秒20となった。
六走目。できるだけ高度の変化を穏やかにして速度低下を減らす。タイムは1分3秒00となる。第五位の模様。最速の方の走りを見てみると球と擬球に体を変化させている。速いわけだ。走ってすら、飛んですらいない。
七走目。最初から最後までインパクトを強引に使って最速を試みる。タイムは12秒01、第三位となる。
八走目。さらなる最適化と高速化を試みる。タイムは2秒00。最速となった。
九走目。もっと大胆な制御で1秒切りを目指す。タイムは0秒0001。だが第二位との差が0秒00004しかない。
十走目。『アウグスト』に相乗りした時を思い出して、無意識に封じていた全力を出す。0秒00000000001となった。
十一走目。速すぎて判定不能。痕跡再現により暫定記録、4e-25秒を得た。
十二走目。7e-95秒となる。
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百二走目。3.4e-750秒。これ以上は痕跡再現でも検証不能と言われ、ログアウトした。
むしろ 3.4x10^-750秒を正確に痕跡再現とはいえ計測できたほうが可笑しい。なお、第二位はその日は最終的に6e-749とかなり迫っていた。




