025 スカラベと滅亡鯖の恐怖 その3
「話を蒸し返すようですまんが、例のコンペティションで十倍ウォークは、本当に必須か?」
「速度を上げれば上げるほど、強い獣が寄ってくる。ここはそういう鯖さ。決して一歩の距離は制限されていないのがポイントだ。」
「つまり、一歩の距離を伸ばせば、いくらでも速くなる。」
「その通り。141.4kmを最小歩数で攻略せよというチャレンジも行われている。歴代最速のプレイヤーは僅か十分で走破した。魔法の使用は禁止、初心者支援の大会だからな。使用できるスキルの数や種類では制限なし。」
「魔法ありの大会はあるのか?」
「そちらはまず賞品が違う。得られるのは魔法の知識が書かれた本さ。なんでも、魔法で一から新しいシステムをこのゲームに組み込みたいプレイヤーに最適らしい。まだ三回しか開催されていない新しい大会さ。距離は40000km、大会ごとに自動生成される特別なフィールド場で行われる。非刻印魔法は自分で構成したもののみが許可される。出てくる獣のステータスの平均は、出場プレイヤーの平均のステータスx20。」
「出場資格は何だ?」
「完走できること。参加受付の締め切りの後に、試走用にコースが開放される。開放されてから一ヶ月以内に、そのコースを8時間以内に完走したことを示す記録を大会運営に提出することが求められる。ここで落ちると、次の大会に出られなくなる。第一回は半分以上の選手がここで落ちた。第二回は四割の選手がここで落ちた。出ようと思うなら、完走できることを示せということだ。」
「そちらに参加登録をしたい。」
「それでは、ついてきてくれ。」
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ほえないいぬについていくと、大きなモニターが壁になっている部屋に出た。
「まずモニターに触れ。」
軽くモニターに手を触れると、プレイヤーの施設利用者登録画面が現れた。
「まず名前を登録しろ。パスワードはない。利用者の魔力で判別しているからな。」
スカラベで登録すると、下部にサービスの検索欄が出てきた。
「第四回40000km最速踏破大会と検索しろ。」
検索すると、選手の参加締め切り一日前という赤文字とともにホームページが出てきた。選手として参加と書かれたボタンを押すと、登録フォームが現れた。選手名と特技を記入する欄がある。
「選手名はアカウント名でいい。特技の欄は自由だが、称号持ちならそれを書いてやれ。種族転生システムで命名されるものを書くのはおすすめしない。」
選手名「スカラベ」特技「大地の破壊」と書くと、登録完了の文字が画面に浮かんだ。
「どの鯖のどこにいようが、試走開始時刻には会場に転移されるから安心だ。会場にゆくのが間に合わないなんてことはありえない。」
「これは刻印魔法なのか?」
「そう、これはただの刻印魔法。刻印魔法と非刻印魔法には、大きく違いがある。非刻印魔法は継ぎ足しはできるが、こういう大規模の処理システムを組むのには向かない。これを組むのに幾つスキルが必要かなんて考えたこともないね。1鯖を含む滅亡鯖にはインターネットのようなものが割と普及している。このシステムを使って魔法を組むことも珍しくない。高度な集合知をゲームの中に実現したのさ。第二回大会優勝者が基礎を組み、第一回大会優勝者がインターフェースを作った。第三回大会優勝者はこれに魔法を新しく組み込めるようにした。君が優勝したらなにをするのか、滅亡鯖の誰からも注目されるだろうな。もちろん君が何を為すかは自由だよ。」




