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024 スカラベと滅亡鯖の恐怖 その2

 「ばっかるこーんに、1鯖のなにかと5鯖のなにかが繋がっていると聞いたが、ほえないいぬは何か心当たりはあるか?」


 「それ、滅亡鯖連合軍鯖監視網5鯖監視班の誰かが意図的に洩らした情報だと思う。だって1鯖監視班が何も言っていないという事は、即ち、例えば使われた技術や、使われたエネルギーの予測を見て判断しているに過ぎないはずだ。不確か過ぎる情報だよ。ばっかるこーん総帥以外の鯖監視網のメンバーは秘匿されてるから、何もわからないということしかわからない。ばっかるこーん総帥は1鯖の監視には直接携わっていない。1鯖のプレイヤーは2鯖、3鯖、4鯖、5鯖の監視を行うことができるが、1鯖の監視はできないんだ。これに例外はないよ。」


 「あさりうまうまと言うプレイヤーについては?」


 「3鯖で鯖間攻撃魔法の開発を行い、5鯖を滅亡させようとした容疑で総帥の監視下に置かれたと四ヶ月前に滅亡鯖連合軍本部から発行されている新聞で発表があったよ。インタビューで、「私は5鯖を滅ぼそうとはしていない。5鯖を救済しようとしたのだ。」とあって話題になったよ。見るかい?」


 滅亡鯖連合軍機関誌「理想的世界」2xxx年2月第277号

 鯖間監視網と景創探偵連盟が大手柄

 5鯖を滅亡させようとした「サマエル」グループの会長を検挙

 「サマエル」グループはいままで「救いなき鯖に滅びの救済を」をスローガンに、

 低ステータスのプレイヤーの支援を行う団体として活動してきた。

 去年九月頃から怪しい動きをしていたため、

 鯖間監視網において要注意団体とみなされており、

 景創探偵連盟からも目をつけられていた。

 しかし、十月に行われた痕跡追跡の無刻印魔法による、

 鯖痕跡一斉調査により、その目的が判明。

 会長であった「あさりうまうま」以外はすぐに見つかり、

 全て滅亡鯖連合軍に恭順した。

 「あさりうまうま」は鯖間監視網や景創探偵連盟よりも、

 遥かに高度な隠遁魔法を使っており、

 指名手配されたにもかかわらず、その行方は依然不明のままであった。

 鯖間で魔法を行使するとき、その痕跡は特徴的なものとなる。

 鯖間で魔法やスキルを行使する際には、

 全て総帥への計画書の提出が義務づけられており、

 それに違反した者は誰であれ、

 滅亡鯖連合軍の提供するあらゆる財の利用ができなくなる。

 しかし、今回開発された鯖間攻撃魔法は計画書には

 それは鯖間監視魔法と書かれており、

 その術式は従来の鯖間監視魔法によく似たものであったから、

 景創探偵連盟によるタレコミが大きく検挙に結びついたと言えるであろう。

 「あさりうまうま」氏はその高い能力を有効活用させるために、

 一定期間総帥の監視下に置かれることとなった。

 記者: なぜ5鯖の鯖間攻撃魔法による滅亡を起こそうとなさったのですか?

 あさりうまうま: 5鯖は滅亡鯖連合軍により、

         特例を除き直接の干渉が禁止されている鯖だ。

         以前鯖間攻略支援を行いたいとばっかるこーんに持ちかけたが、

         あいつは首を横に振った。

         ならば自分の本懐に戻ろうと考えたんだ。

         あいつの悔しがる顔が見たくなかったかと言われると

         嘘ではないがな。

         半分以上が引退している鯖に、救いなどありはしない。

         だからこれは、救済なんだ。

         一旦滅亡を経験させることで、

         この5鯖の自由度を大きく上げる事を狙った。

         ただの老婆心だったよ。

 記者: なぜあなたの位置が露見されたか、心当たりは?

 あさりうまうま: この計画は全て僕一人しか知らなかった。

         監視魔法への偽装は完璧だった。

         探偵連盟は、僕の魔法を実際に試したのだろう。

         でなければ、気づくはずがない。

         僕が実際に運用しようとした理由は、

         新規プレイヤーが増えたからだ。

         もしそうでなかったら、

         永遠にその計画を凍結させていただろう。

 記者: ばっかるこーん総帥の監視下に置かれることに対して、なにか一つ。

 あさりうまうま: ばっかるこーんに対して、

         あいつが警戒する外患よりも、

         獅子身中の虫のほうが恐ろしいってことを示してあげよう。

         この身をすべてばっかるこーんに使うことは誓ってもいい。

         だが、もし自分の信条を容易く覆す腑抜けになったのであれば、

         僕は大いなる失望を抱くことになるだろう。


 「これは驚いた。ばっかるこーんはすでに腑抜けてしまったということか。」


 「本人は認めておられないが、まず間違いなくそういうことだ。」


 「精神に作用する魔法やスキルをかけられた可能性は?」


 「もし総帥にそういったものを掛けられるプレイヤーがいたら、そいつがトッププレイヤーさ。だって、そういったものは、自分よりステータスが下の相手にしか効きっこない。」


 「声明を出された「ばっかるこーん」がばっかるこーんでない可能性は?」


 「それこそありえない。腑抜けたかと無礼者に面と向かって言われた時、総帥は『アウグスト』にお独りで乗っておられた。『アウグスト』は、譲渡できる非刻印魔法だが、とてもプライドが高く、誰にも奪えた試しがない。」


 「何度も襲撃があったということか?」


 「譲渡できるタイプの非刻印魔法の特徴として、創造主や使役者がログアウトしても消えないというものがある。文字通り、寝込みを襲われるわけだな。『アウグスト』ほどの高性能なモフモフは、使役主に対する自動調整機能がついている。乗った者のうち最も高いステータスの持ち主を自動的に使役主として、消費魔力を肩代わりさせたりする。だが、これでは誰でも奪えると言っているのと同じだ。そこで、契約スキルを使用する。契約スキルで契約を交わしていない者は、乗っても使役状態にならない。使役主がログアウトしている間は、契約に従った行動しかしない。ここからが本題だ。契約スキルを結んでいる場合、契約スキルのレベルが奪おうとするものの契約解除スキルのレベルと対抗になる。契約スキル及び契約解除スキルだけを伸ばせば、ばっかるこーん総帥のスキルレベルを上回ることは十分勝ち目がある。だが、ばっかるこーんの契約に用いているものは、決してそういう類のものではない。契約解除スキルだけではばっかるこーんのもつ全てのスキルレベルを足したスキルレベルが必要だ。ばっかるこーん総帥ご自身がそういうものだと自信たっぷりに語っておられた。ばっかるこーん総帥は簡単にスキルレベルが上がる類のスキル群を発見し、それを発表した。それからは襲撃はピタリと止んだと聞く。これは『アウグスト』はプライドが高い、そう揶揄される。」


 「抜け道はないのか?」


 「いかにばっかるこーん総帥でも人は人だ。人がつくった魔法である以上、瑕疵があるのは十分あり得る。」

最近パソコンが不調です。もし四月までのどこかで更新が途切れたら、パソコンが壊れたとご理解ください。四月からは一日一話平均千五百字を目標に頑張って更新します。

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