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心穏やかに

「あれ? 今日は私が一番乗り? そっか、じゃあ、お姉さんウイスキー・マックお願い」

「あら、あんたもういたの?」

「ん? あ、雅志。遅かったわね。私さっき来て、先頼んじゃったわよ」

「あら、そう。お姉さんあたしにはサイドカーと季節のサラダとキノコのピザ、それから」

「あんた食べるわね。太るわよ」

「夕飯食べてないし、一応カロリーは気にしてるわよ……でも、そうね。注文は以上にするわ。あんたは食べないの?」

「食べてきたから」

「誰と?」

「一人」

「はぁ……」

「わざとらしくため息つかないでくる? お姉さん同じのおかわり。だって、安くておいしいお店見つけたんだもの行ってみたくなんじゃない」

「どうしてあんたは……まあ、いいわ。今度あたしも連れていきなさい」

「いいけどお酒はビールか焼酎ぐらいしかなかったわよ」

「別に、おいしいご飯が食べたいだけだからいいのよ。あ、お姉さんごめんなさい。ここのもかなりおいしいわよ」

「確かに」

「それで、今日はどうかしたの?」

「別に何もないけど、あんたと飲みたかっただけって言ったら怒る?」

「怒らないわよ。あんたとあたし一体何年の付き合いだと思ってんのよ。じゃあ、今日は飲みたかっただけでいいのね?」

「うん」

「じゃあ、あんたの奢りでじゃんじゃん飲もうかしら。お姉さんメニュー見せて」

「見せなくていいです! あんた何考えてんのよ!! 私は奢らないわよ」

「ケチね。今日は何もないんだったらまったり飲みましょ」

「ケチで結構よ。全く油断も隙もありゃしないったら。今日はってあんたは何にもないの? ていうか、あんたの愚痴とか殆ど聞いた事ないわよ」

「あら、そうだったかしら?」

「そうよ。オネエになったのだって事後報告だったし! あの時は相談してくれたっていいのにってちょっとショックだったのよね」

「それはごめんなさい。でもね、今世では男だからっまて忘れるように努力してたのよ。でも、我慢出来なくて親には泣かれたり怒られたりしたけど、これがあたしよ! ってやってたらあんたの事忘れてたのよね」

「酷いわ。一番の親友だと思ってたのに」

「あら、あんたはそんな事言わなくても一緒にいてくれると思ってたのよ」

「本当?」

「ええ、多分」

「嬉しいけど、そういう事は私じゃなくて姉さんに言いなさい」

「言いたいけど、なかなか恥ずかしくてね」

「初々しい反応。甘酸っぱ過ぎる。お姉さん! 何かレモンか梅干しない? うんと酸っぱいやつ! 口直しにちょうだい!!」

「あんたってほんと失礼ね!! ちょっとはその性格直しなさい!!」

「今さら無理よ」

「そうね。あんたみたいなひねくれた女には無理だったわ」

「ひどっ! ……そんな事よりこの間新しい映画の予告をたまたま見たらすっごい面白そうだったの。今度見に行かない?」

「行かない。だって、あんた、アクション物かホラーしか見ないじゃない。趣味じゃないわ」

「あーあんた恋愛とかしか見なかったか……残念。姉さんでも誘おっかな」

「ロージャン様が行くんだったらホラーでも何でも見るわ」

「あ、じゃあ、三人……潤平さんも一応誘っとこっかな」

「あら、あんたにしては成長したじゃない」

「ふふ。私だってあんたに怒られてばっかじゃないんですー!」

「そういうとこさえなけりゃいい女なのに」

「何ー?」

「何でも……あんたがお酒弱いって言っただけよ」

「弱くないわよ」

「はいはい」


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