準備
「どうだった? あの男は?」
「まだメール送ってないから分かんない」
「は!? 何やってんのよこのグズ!! この前ガツガツ行けって言ったじゃない!!」
「いや、まだ2日しか経ってないから! それに何て送ろうか迷ってるの!!」
「普通にこの前温泉楽しかったですねでいいんじゃないの? なんで迷うの? 意味分かんないんだけど」
「えっ、でも、顔見知りぐらいの人間からいきなり連絡来たら怖くない?」
「怖くない。ロージャン様からも送るって伝わってるんだろうからさっさとする」
「えっと……」
「何? まさかあたしが文章まで作ってあげなきゃいけない訳!? 今さら奥手なんですってぶりっ子になるだなんて信じらんない! かまとと女!!」
「いや、そうじゃない! そうじゃないから軽蔑した目向けてくんのやめてよ!」
「じゃあ、早くなさい」
「いや、近いから近いから! ゆっくり書きたいから離れてよ」
「あら、ごめんなさい。お姉さん、チーズニョッキのグラタンとアビー」
「送ったよ」
「返事は?」
「まだ。てか、すぐに返事あったら怖くない?」
「怖くないわよ。今時の子はね、すぐに返事がなかったらもうダメだって思うらしいわよ」
「嘘でしょ! 相手が四六時中スマホ弄ってるとでも思ってんの!?」
「ね、トイレとかどうしてんのかしらね?」
「トイレにまで持ってくのはなんか嫌」
「あたしもよ。お姉さんありがとう。おいしそう」
「私もなんか頼もうかしら……あ、返事来た……はやいわね。この人」
「何て?」
「えっと『こちらこそ楽しかったです。今度食事にでも行きましょう』だって」
「良かったじゃない。肉食べたいって返しときなさいよ。どうせだったら普段食べられないような高いの」
「ちょっと、最初からたかりに行ってるって思われたらダメよ」
「そう? まあ、モデルならそういう女たち見慣れてるだろうし、よし、あんたは控えめな女で行きなさい!!」
「ああ、よく漫画とかであるパターンのね」
「そうよ。頑張んなさいよ!」
「はーい。お姉さん、私にもアビーちょうだい」




