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高ぶる心を鎮めて

「あれ? 姉さん、今日は雅志は?」

「今日は来ないわ。実はシュネーと二人だけで飲みたかったから来ないでってお願いしたの。それともシュネーはわたしと二人っきりは嫌?」

「嫌な訳ないよ!」

「そう、良かった。それでシュネー、わたしさっきシュネーが来るまでずっと前世でシュネーが死んでからの事を思い出してたの」

「……姉さん」

「ごめんなさい。しんみりさせちゃったわね。あ、ねぇ、強いお酒ちょうだい。お姉さんのオススメでいいわ」

「ううん。私、姉さんと今世でも出会えてとっても嬉しかった」

「いまも?」

「当たり前よ」

「良かった。わたしねシュネーをあの男と婚約させてた事ずっと後悔してたの。うちはほら、両親が早くに亡くなってたじゃない。だから、シュネーにはとびっきりいい男を用意してあげようと思って選んで選んでしたのに婚約した途端にあんなクズ男になるだなんて……もっと男は選ぶべきだったわ!」

「姉さんが悪いんじゃないよ。あいつがあんな浮気性な男だなんて最初思わなかったし……今世でもおんなじようになってるなんて思ってもみなかったもの。姉さんが悪いだなんて思えないわ」

「でも……、ああ、シュネーに1つだけお願いがあって」

「お願い?」

「うん。あのクズ男一回会ってみたいの」

「!? えっ、何で!?」

「びっくりさせちゃった? でも、シュネーもあの男も生きてるって知っていつかは一発殴りに行きたかったの。こんな事雅志に言ったら止められちゃうから雅志には内緒ね」

「いや、雅志じゃなくても止めるわよ。それに姉さんの仕事のイメージ悪くなっちゃう」

「それは問題ないわ。あいつを殴れるなら今までのイメージ壊したって何1つ後悔しないわ」

「姉さん、そんな笑顔で言われても私はお断りよ」

「えー! なんでー」

「あんな奴とはもう関わりたくないし、それに殴る為とはいえ、あんな奴が姉さんと会うだなんて嫌」

「シュネー、わたしの事思ってくれてるのね。嬉しい。でも、ダメ。もう決めたのシュネーを前世だけじゃなくて、今世でも泣かしたくせにまだシュネーに未練があるだなんて許せないの」

「姉さん落ちついて。気持ちはありがたいけど、本当にいいから」

「シュネーは協力してくれないのね。わかった。勝手に行ってくるから」

「やめて! 姉さん本当に落ち着いて! ていうか、姉さんあいつの顔知らないでしょ?!」

「大丈夫。雅志から名前聞いてるからその辺の社員にでも聞けば分かるでしょ」

「待って! 雅志呼ぶ! 雅志から止めてもらうからね!」

「えー! つまんないな」

「つまんなくていいからほら、お酒飲んで落ち着いて! お姉さんアイスブレイカー1つ」

「……仕方ないな。今日のところは諦めてあげる」


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