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仙境異聞 霞  作者: 神楽坂 幻駆郎
第1.5話:妖檄舎、引っ越し騒動記
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13.蚊帳の外

霞がシロと接触していたころ、霧子と吹絵は屋敷の門前に戻り、屋内の見取り図を作成し、対策を練り始めていた。


「これが屋敷のフィールドマップだ……で、私等が鼠に襲われた部屋はここ……霞が飛び込んだのはここだ」

「嘘でしょ……」

「ああ、物理空間がない……おそらく本命は、ここに潜んでいる」


霧子が指さした空間、そこは廊下に通じており、部屋の空間がない。

 しかし霞は確実に飛び込み、姿を消した。


「霞ちゃんも、そこにいるのね?」

「ああ、これは直感だが、霞は無事だと思う」


 霧子が苦い顔をしながら、苛立ちを押さえて爪を噛む。


「根拠は?」

「鼠の襲い方だ。追い出すだけで十分、殺すような動きをしなかった」

「そう言えば……」

「殺すのなら、もっと夜が更けて、屋敷内で人間が寝静まった時に襲うのが普通だとは思わないか?」


霧子の分析は、思いの外、冷静だ。


「それをしないところを見ても、現状維持を続けるのが目的だと?」

 

吹絵が息を呑む。

 

「社長……この案件、根が深いぞ……」


 そう言いかけて、霧子の全身がビクンと戦慄した。


「!」

「どうしたの、霧子?」

「霞が動いた……あの馬鹿、アレをやる気だ」


 そう言って、霧子は自らの額を押さえる。


「え、アレって?」


無茶な展開に戸惑う吹絵。

霧子はお構いなしに、言葉を続ける。


「アレはアレだ……稲荷大社で見せた、あいつの必殺技みたいなもんだ」


吹絵にはまだ事態が呑み込めない。


「とにかく霞がアレをやるなら、こうしちゃおれん……再突入する!」

「え、ちょっと霧子、今出たばかりじゃない! 小鉄君たちを待って作戦を練るんじゃないの?」

「状況が変わった、吹絵も来い!」

「霧子!」


両手袋をギリリと締めると、条件反射的に屋敷に突入する霧子。

吹絵も刀を携え、戸惑いつつもその後を追った。


霧子と吹絵は、あっという間に件の襖まで再突入を図る。


『霞、早まるな……今、姉ちゃんが行くから!』


心の中で念じ、襖を開け放つ。


そこに広がる光景……それは、お飯事の修羅場だった。


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