3.真なる銃
保管庫を出た霧子が、ほくほくとした笑顔で鷲尾の元に戻る。
その両手は、無手だ。
「仙道……銃を返してもらったんじゃないのか?」
鷲尾が不思議そうに問いかける。
「ああ、返してもらったよ? 私の真銃をな……」
霧子が上機嫌で、ニヤリと微笑む。
「しかし、お前……」
空手じゃないか、と言いかけた鷲尾の肩を、霧子がポンとつかむ。
「だからさ、撃ちに行こうぜ!」
霧子と鷲尾は、そのまま本庁地下二階の、射撃練習場に移動した。
「よく見てろよ、鷲尾ちゃん……」
シューティング・レンジに立つ霧子が、神妙な面持ちでターゲットを注視する。
「レディ……ビルド!」
霧子が言い放つと、銃を構える様に差し出された右手の手の平に力場が生じ、瞬く間に銃の姿を形成する。
その姿は、Colt:Dragoon。
かつてアメリカ西部の黎明期を制した、伝説のパーカッション拳銃だ。
「ファイア!」
霧子が引き金を引くと、旧式拳銃の銃口から青白い稲光が咆哮となって迸り、的を焼き尽くす。
「次! リ・ビルド!」
霧子の号令で、右手の銃はさらに変化する。
その姿は、Winchester rifle:M1894
その銃身とストックを更に切り詰めた、近接戦闘用のランダル・カスタム。
構えるや否や、散弾とスラッグ弾が左右の的を粉砕する。
千々に砕ける標的を眺めながら、霧子が舌で唇を濡らす。
「どうよ、鷲尾ちゃん、ビビったか! これがこれから野に放つ、野獣の真の力だ」
そう言って、霧子がニヤリと笑う。
「全く、後悔しているよ……これほどの戦力が離れるとはな……」
鷲尾は霧子の実力に怯え、嫌味を盛るので精一杯だった。




