少年漫画編!
2014年4月20日。
朝の目も眩む太陽が、リュウが座っている最前列の後ろの席に降り注いでいた。
「ちっ...」 リュウは痛そうなふりをして声に出してつぶやき、包帯を巻いた左腕を押さえ、目を細めて太陽を睨んだ、「静まれ、我が竜よ、まだ目覚めの時ではない...」
「リュウくん...」 メグミがリュウに近づいてきた。ほんのり青白い赤面を除けば、その顔はいつも通りの無表情で、蓋に黒猫がプリントされたお弁当を持っている、「あなたの竜のために、タコさんウインナー持ってきたよ...」 彼女は感情のない声でつぶやき、お弁当を置くと、くるりと振り返って、足早に自分の席へすたすたと戻っていった。
一方、最前列の最前席では、シズカが実存的危機に陥っていた。自分を愛してくれない主人公のせいで、彼女のメインヒロインのエネルギーが損なわれつつあるのだ、「キャアアアアアア!な、なんであの人は、あんなに自然にかっこいいの、たとえ--」
ゴンッ!
「お願いだから、もう叫ぶのやめて!」 キララは教科書を折り畳んでシズカの頭に叩きつけ、コミカルなほど大きなたんこぶを作った。当の本人は、他人事ながら恥ずかしくて赤面している、
「昨日、Steamにいたよ...」 コガネは両手に頭を乗せて、ベフゾドのプレイが気になっているタカコに、気だるげにつぶやいた、「CS:GOやったの。マイクなしで、チーム丸ごとキャリーされた。」 それから、彼女は突然、トレードマークの '-⩊-' の顔から我に返り、うーんと唸りながら顎をトントンと叩いた、「あ、違う、ほんとはマイクつけてたんだけど、その珍しい時に、大量の水をゴクゴク飲んでた。」
「わあ!水分補給は大事だよね」 タカコは無邪気に返し、コガネに頷いた、「ベフゾドくんは素晴らしい友達だよ!いろんなこと知ってるし、迷惑じゃなければ助けてくれるし、見返りも何も求めないんだもん!」
「統計的に言うと、」 モモカは眼鏡をくいっと押し上げ、古典的な白い不透明のレンズを作り出した、「ベフゾドくんのような人は、敵意があるように見えても、たいてい本当に誠実なんです。」 彼女は優しいけれどガリ勉らしい声で言った。
そのとき、戸が滑るように開き、ベフゾドが落ち着いた様子で入ってきた。穏やかで礼儀正しい顔は、いつもの定位置にあった。
『女性を助ける101の方法』という本を読んでいたジンが、すぐにぱっと顔を明るくし、気高い興奮とともに微笑んだ、「ベフゾドくん!おはよう!」
「おはよう、ジン」 ベフゾドは、本物の兄弟のようにジンと手を叩き合わせ、肩にカバンを掛けたまま、礼儀正しく落ち着いた声で話した、「よく眠れたか?」
「ああ、」 ジンは安心させるように頷いて答え、巨大な手を机の上に下ろした、「君はどうだ?」
「今夜は赤ん坊みたいにぐっすり寝たよ」 ベフゾドは楽しそうに言い、軽く微笑んだ。だがそこで、彼の笑みは消え、ジンの隣の机に目をやると、その表情は困惑に取って代わられた、「ん?リカはどこだ?」
「リカさん?」 ジンも同じように困惑して隣の空席を見たが、突然はっと息をのみ、気づいて額をぴしゃりと叩いた、「ああ!彼女は昨夜風邪を引いてしまって、お母さんが先生に電話したんだ。今は欠席だよ、それを伝えに校長先生のところへ行っているから。」
「ああ、なるほど。」 ベフゾドは安堵のため息をつきながら答え、中列の真ん中の席へ向かった。コガネたちに挨拶するためだ、「みんな、おはよう。」
「あ、いちばん喉が渇いてる人だ」 コガネは気だるげなユーモアで返し、両手から頭を上げて、ベフゾドを見上げた、「ピング200だったのに、チーム丸ごとキャリーしてくれてお疲れ。」
「それってすごいよ、ベフゾドくん!」 タカコは両手をパンと合わせ、目を幸せそうな三日月形に細めた、
「ありがとう、タカコ。でも俺はVPNを使ってたから、ピングは89しかなかったんだ」 ベフゾドは楽しそうに、落ち着いて答えた、
コガネの顔の上半分が一瞬で濃い青に染まり、目は衝撃で見開かれ、顎が床にめり込んだ、「はあ?!だからクラッチできたのか!」 彼女は突然の甲高い声で言い放ち、いきなりベフゾドの手を掴んでぶんぶん振り始めた、「VPNのサブスク共有して!共有して!共有してよ!」
「やだね」 ベフゾドは満面の笑みを浮かべた、「一つのネットワークに繋げられるのは三台までで、その三台は妹の携帯と、俺のノートパソコンと、俺のガラケーなんだ。」 彼は悪びれもせず、面白がっている声で答えた、
コガネは彼の腕を放すと、文字通り自分の机の上で溶け始め、青い水たまりになった。ベフゾドの目が恐怖で見開かれた、「なっ?!どうやって彼女は--」
「心配いりませんよ、ベフゾドくん!」 モモカが割って入り、眼鏡を押し上げて、まばゆい白い不透明を作った、「この状態は '絶望' と呼ばれているんです!キララちゃんがチョコレートミルクを差し出せば、すぐに元に戻りますから!」 彼女は優しい声で答えた、
だがベフゾドのパニックは収まらず、液体状になったコガネが床に垂れないよう、必死に食い止めようとしていた。
黒板を拭き終えたキララが彼らの机にやって来てようやく、彼女は疲れ果てたようにため息をつき、首を振り、カバンからチョコレートミルクのパックを取り出して、コガネの側の机の上に置いた、「はぁ!本当に手のかかる人!」
まるでスイッチを入れたかのように、コガネは固体状態に戻り、ストローを掴んで、アルミの封をぷすりと突き破り、気だるげな顔でゆっくりと吸い始めた。
ベフゾドは純粋な混乱状態に陥り、口を魚のようにぱくぱくさせ、その表情はコミカルな '°O°' になった。それから、彼はすぐに首を振り、額の汗を拭った、「いや、もう何も聞かないでおくよ。」 彼は疲れ果てた声でそう言い、降参するように頭を上げて自分の席に戻り、次の授業のノートを取り出した。次は歴史だ。
キーンコーンカーンコーン--
戸が滑るように開き、カナエ先生が教室に入ってきた。すぐに陽気だが威厳のある声で一喝する、「はい皆さん、席に着いて!今日は江戸時代にどんな楽器が使われていたかを学びます!でもその前に...」 彼女は素早くページをめくり、声も表情も悲しげに変わり、目が '-' に細まって、文字通りの滝のような涙が頬を流れ始めた、「今日はリカちゃんが風邪を引いたのでお休みです!」
「かわいそうに」 ミカサが同情をこめてささやいた、
アヤトは指を組んで、ぐるぐる巻きの包帯をした鼻をその上にもたれさせ、静かで、疑り深く、感情のない声で言った、「彼女は病気だと我々に信じ込ませて、感情を操りたいだけだ!だが、私のような大参謀を騙すことはできん--」
「黙れ、アヤト、ベンチプレスされる前にな!」 リュウタは即座に最後列の後ろの席を敵意むき出しで振り返った。こめかみに怒りの血管 'ꐦ' が浮かび上がる、
アヤトはたちまち震えて汗をかき始め、それを隠そうとした、「も、もちろん原始的な野蛮人は、すぐに私を殴ろうとするのだろうな--」
「アヤト、この原始的な野蛮人の方がお前よりよっぽど共感力がある、そのクソみたいな口を閉じろ」 ベフゾドは冷たい視線をアヤトに向けて即座に割って入り、彼を一瞬で黙らせ、目をそらさせた。一方、クラス全員の顔は、ベフゾドの汚い言葉に怯えて、紙のように白い '●O●' に変わった。
数秒後、先生は咳払いをして、授業を続けた、「はい、それでは教科書の186ページを開いて」 彼女は黒板の方を向いた。
歴史の授業のあと...
ベフゾドは学校の廊下を歩いて食堂へ向かっていた。片手はポケットに入れ、もう片方は脇に垂らしていたが、そのとき、背の高い三人の不良が、背の低い生徒に絡んでいるのを見つけた。
「てめえら、何してやがる?」 ベフゾドは怒りに任せて怒鳴り、不良たちの中でいちばん背の高い男、ドラゴンボールZのベジータのような髪型の、真紅の髪の少年を引き戻した、
不良の顔はたちまち、アニメのいじめっ子特有のあの不快な顔にねじ曲がった--細めた目、むき出しの歯、嫌悪の表情、「今、俺を引っ張ったか?」
「ああ、引っ張ったが、それがどうした?」 ベフゾドは敵意をこめて、この不良と目線の高さまで顔を下ろし、喧嘩を始める準備をした、
他の二人の子分、青いリーゼントの男と坊主頭の男も、すぐにベフゾドの方を向き、木刀を手のひらにパシパシと打ちつけた、「ボス、ひとこと言ってくれれば--」 子分の一人が冷たい表情で言い、もう一人は床につばを吐いた、
「いや、キラ、こいつは俺が自分で片付ける」 主犯の不良はベフゾドの方に向き直り、彼の首を掴んだ、「面白いとでも思ってんのか、小僧--」
バキッ!
ベフゾドはためらうことなく、全力で不良の股間を蹴り上げた。公平を期して言えば、ベフゾドは元キックボクサーとはいえ、すでにお腹に薄く脂肪がつき、最高の戦闘コンディションではないにもかかわらず、その威力は恐ろしいものだった。
不良は両手で股間を押さえ、椅子のように折れ曲がり、白目をむいて床に崩れ落ちた。
子分たちは純粋な恐怖で顎をぽかんと開け、目を皿のように見開いた。この学校で誰も倒せなかったトキトは、'不動の山' というあだ名を持っていたのだ。
「な、なんだ今の...威力は...?!」
「ぼ、ボス...?」
ベフゾドの視線が残りの二人の子分に突き刺さった。その睨みは、彼自身が口にしないことを語っていた、「その生徒を放せ。」
壁に押さえつけられた生徒は、短い白髪に灰色の瞳で、その間、恐怖で汗をかき震えていた。ベフゾドが自分の味方なのか、それとも彼らの味方なのか分からなかったからだ。
子分たちはすぐに、絶対的な恐怖で汗をかき始め、顔は紙のように白くなり、木刀を握る手の力が緩んだ。
だが、'あまり賢くない子分' というアーキタイプ通り、二人は一歩前に出て、すぐに刀を握る手を強くした、「お、お前をやっつけてやる!」 リーゼントの方のキラが震えながら言った。
二人は同時に、大きな雄叫びとともに飛びかかった、「くらえ、'山をも砕く拳--'」
ベフゾドはためらわなかった。彼の戦闘スタイルは、強打者であるがゆえに防御とカウンターが基本なので、二本の刀をどちらも受け止め、キラの顔面を全力で殴りつけ、かわいそうな彼をくるくると回転させて、そのまま劇的にボスの上へ倒れ込ませた。その後、ベフゾドはすぐに坊主頭の子分の刀を掴み、彼を自分の方へ引き寄せて、肘を彼の鼻に叩き込み、坊主頭はキラの上に崩れ落ちた。ベフゾドは子分から奪った木刀を床に落とし、積み重なった山めがけて乱暴に蹴り飛ばすと、壁に押さえつけられていた生徒の方へ、落ち着いた気遣いとともに向き直った、「大丈夫か?」
生徒はすぐに床に身を投げ出し、感謝の '土下座' で、ベフゾドの足元に頭を下げた、「ありがとう、ありがとう、ありがとうございます!あいつら、丸三年も僕の昼食代を奪ってたんです!」 彼は滝のような涙を流して泣きながら叫んだ、「僕の最初の子供に、あなたの名前をつけます!お名前は何ですか、おお、我が救世主よ?!」
「えっと...ベフゾド...」 ベフゾドは、困惑した表情になって答えた。彼は手を振って軽くあしらった、「礼なんていらない、サービスだ...」 それから、彼は小声で付け加えた、「たぶん...」
生徒は素早く立ち上がってもう一度ベフゾドの手を握りしめ、それから走り去った。ベフゾド自身は、いじめっ子の山を後ろに残して、食堂への道を再び歩き続けた。
食堂で、ベフゾドはスイカのケーキを一切れ買い、席に座って食べ、皿を調理師に返した、「ありがとう、ケーキ美味しかった」 彼は礼儀正しい声で言い、満足そうに軽く微笑んだ、
調理師は、真紅の左目と黄色い右目、短い黒髪を二つの小さなツインテールに結んだ女性で、驚きの表情でベフゾドを見た。学校の歴史上、誰もが皿をテーブルに放置するだけで、皿を返したのはベフゾドだけだったのだ。彼女の頬は真紅の赤面に覆われ、パニック状態で素早く皿を受け取り、空いている手で彼に向かって軽く手を振った、「い、いえいえ、またす、すぐ来てね!」 彼女の足は一瞬で文字通りのぐるぐる円になり、マッハの速さで厨房へ駆け込んだ。
「... なんでみんなああなるんだ...」 ベフゾドは独り言をつぶやきながら、額をこすって食堂をあとにした。
三時間目が終わったあと、彼はマリナに会いに行きたくなった。会いたくてたまらなかったからだ。
だが、キャンパスを半分ほど歩いたところで、背後から声が聞こえた、「おい!お前!」
ベフゾドが振り返って誰なのかを確かめると--そこにはガルゴンがいた。シズカとそのバンドメンバーのリハーサルのときに見かけ、彼に威圧的な睨みを向けていた人物だ。
今、ガルゴンは歯を全部見せてにやりと笑いながら、ベフゾドに真っすぐ近づいてきた、「おい、お前。」 彼は自信に満ちた声で言い、指で自分の胸を指さした、「俺の名前はガルゴン・キークだ。お前はトキトの金玉を蹴った、あの '不敗の' トキトを、そして東海道でキラを倒した。感心したぜ。」 それから、ガルゴンは数歩後ろに下がった、「俺と戦え、転校生!」
ベフゾドは困惑してガルゴンを見つめ、当惑して目を細めた、「お前と戦う?ちびっ子の金玉を蹴ったからか?」 彼はポケットから手を引き抜いた、
「そうだ!お前はかなり強そうだし、俺の拳が疼いてたんだ」 ガルゴンは奇妙な戦闘の構えに入り、期待に満ちてにやりと笑った、「お前の実力を見せてみろ!」
「まあ、いいか...」 ベフゾドは自分のキックボクシングの構えに切り替え、目を細めた。ガルゴンの攻撃パターンを学ぶために、打撃を受ける覚悟だった。
突然...
ガルゴンの右目が明るい黄色に光り始め、両手は青い滝のような流れに覆われた。
ベフゾドはすぐにショックで目を見開き、構えを解いて、ガルゴンを指さした、「なんだそりゃ?!なんで光ってんだ?!」
ガルゴン本人も驚いて目を見開き、動きを止めた。彼は光る目と、手の青い流れを消した、「お前...これが見えるのか?!」
「ああ!」 ベフゾドは警戒して目を細めた、「今のは何だ?」
「ハハハ!」 ガルゴンは純粋な興奮とともに高笑いし、両手を叩き合わせた、「やっぱりお前は何かおかしいと思ってたんだ!お前には、ライフフローがあったんだ!」 彼は息を整えながら宣言し、安堵のため息をついた、
「は?ライフフロー?正気か?」 ベフゾドはさらに目を細め、驚いて瞬きした、「何の話をしてるんだ?」
「ゴホン」 ガルゴンはこぶしに向かって咳をして喉を整え、腕を組んだ、「よし、どういう仕組みなのか、手短に説明してやる。」
「分かった...?」 ベフゾドは困惑して瞬きをしながら、ガルゴンの話に注意深く耳を傾けた、
「人間は誰でも体の中に二つのフローを持っている。魂のフローと、肉体のフローだ」 ガルゴンの声は教えるような調子に変わった、「フローの主な色は、肉体か魂が犯した大罪によって決まる。そして色合いと副色は、性格によって決まるんだ。大罪を表す主な色は九つある、」
「うん。」 ベフゾドは好奇心から顎をトントンと叩き、ガルゴンに続きを促すように頷いた、
「赤は、主な罪が憤怒の者に与えられる」 ガルゴンは指を一本ずつ立て始めた、「青は、主な罪が怠惰か悲しみの者のものだ。黄色は強欲。緑は嫉妬、紫は傲慢だ」 彼は数を数え続けるために二本目の手も上げた、「暴食はオレンジ、そして色欲はピンクだ。」
「うん。」 ベフゾドは理解して頷いた、
「さて、お前が俺のフローを見たということは、お前がすでにそれを覚醒させていて、無意識に使ったってことだ」 ガルゴンは手を下ろし、好奇心に満ちた声で言った、「だから三つ質問させてもらう。お前は自分の魂の望みを知っているか?自分の主な罪を知っているか?そして、自分を愛し、受け入れているか?」
ベフゾドの顔は、とても考え込んだものにねじ曲がり、床を見つめた、「俺の魂の望み...主な罪...自己愛...」 彼は静かに独り言をつぶやき、それから自分の答えに自信を持って、ガルゴンに顔を上げた、「ああ。俺の魂の望みは、妹の守護者であることだ。それに最近、罪を犯した覚えもない。そして、ああ、俺は自分を愛していて、ありのままの自分を受け入れている。妹にとって最高の守り手になれたからな。」
その言葉を口にした瞬間、ベフゾドの全身が漆黒のオーラに覆われ、左目だけが白く光っていた。彼は真っ黒になった自分の両手を純粋な恐怖で見つめ、パニックに陥った、「な、なんだ?!なんで俺は黒いんだ?!」 白く光る左目で、ガルゴンを一瞥すると、すぐに黄色く光る目と青に覆われた体が見えた、「それに、なんでまたお前の 'フロー' が見えるんだ?!」
ガルゴンの顎が床まで落ちた。ベフゾドがこんなにも早くライフフローを解放したばかりか、最も稀な組み合わせの一つまで手にしていたのだ、「信じられん...」 それから、ベフゾドのパニックを見て、彼はすぐに一歩前に出て、両手を振って彼を落ち着かせようとした、「深呼吸して、戦う気持ちを全部捨てれば解除できる!」
ベフゾドがそうすると、彼は光る目も漆黒の体もない、普通のシルエットに戻り、突然のアドレナリンで数歩後ずさり、膝が震えていた、「な、なんで俺の左目は世界が白く見えたんだ、お前も光ってたのに、お前は自分のを発動してもいなかったのに...えっと、何だ?'フロー'?」
「いいか」 ガルゴンは深く息を吸い込んだ。ベフゾドにフローを教えるのは本当に大変だと感じ取ったのだ、「他の二つの色について言い忘れてた。もし肉体か魂のフローが黒なら、それは、あらゆる罪をその身に宿した、肉体を持つ悪魔だということだ。もし色が白なら、それは白いシャツのように純粋だということだ」 彼はベフゾドの肩を持って立ち上がらせ、きちんと立たせてやった、「それぞれの罪は他の罪に打ち勝つ。白は他のあらゆる色に打ち負かされるから、最も弱い。一方、黒は最強で、事実上あらゆる他の色に勝つ。だが、それでも白は簡単に黒を倒す。白のフローの使い手は、魂か肉体の絶対的な純粋さを持っているからだ。彼らは罪を浄化されたか、あるいは生まれつき罪がなかったかのどちらかなんだ。」 彼は疲れ切った声で述べた、
「つまり...俺の魂は俺の肉体に勝つのか?」 ベフゾドは混乱して目を細めた、「俺の魂が本来なら肉体を殺すはずなのに、どうして俺はまだ生きてるんだ?」
「そんな仕組みじゃねえよ、馬鹿野郎!」 ガルゴンはいら立って怒鳴ったが、すぐに息を吐き出し、いら立ちながら鼻をつまんだ、「お前の組み合わせは、世界でも最も稀なものの一つだ。歴史全体を通じて、魂のフローが白だった人間は五千人しかいないし、そのほとんどが預言者や教皇だ。そして、肉体のフローが漆黒で魂のフローが白の人間なんて、ほぼ出会えるはずがない。その組み合わせは、魂が浄化されているのに、悪魔の肉体を持っているということを意味する。」
「ああ...」 ベフゾドは安堵のため息をつき、好奇心に満ちた目でガルゴンを見上げた、「でも、なんで人間はそもそもライフフローが必要なんだ?」
「能力のために決まってるだろ」 ガルゴンは両手を腰に当てた。それから、彼は誇らしげに片手を、鍛え上げられた胸に置いた、「俺のライフフローの名は 'ウィーザー' だ、ウォーターストリームを使って敏捷性と攻撃力を上げられる。だがそれは肉体のフローだけだ!魂のフローは、死にそうなほどの限界点に達すると、俺をいわゆる 'コズミック・ガルゴン' に変身させて、体を宇宙の鎧で覆い、相手が気絶するまでその状態を保つんだ!」
「そんな無茶苦茶な能力を持ってるのか?!」 ベフゾドの目は純粋な恐怖で皿のように見開かれた。だがそれから、彼は舗装路を見下ろした、「じゃあ、俺はどんな能力を持ってるんだ...?」
「簡単に分かるさ」 ガルゴンはベフゾドに片手を差し伸べ、良い戦いへの期待でにやりと笑った、「俺と戦え!」
「いいだろう。」 ベフゾドはゆっくりと安堵のため息をつき、キックボクシングの構えに切り替えてライフフローを発動した。体が漆黒のオーラに覆われ、左目が白く光る。
ガルゴンも自分のライフフローを発動し、ためらうことなくベフゾドに飛びかかって腹を殴ろうとしたが、ベフゾドは必死のガードで素早くその拳を防いだ。ガルゴンはこの隙を利用し、すぐさまベフゾドの頬に左フックを叩き込んだ、
「俺の最初のパンチで気絶しなかっただと?!お前、もうこの学校で最強ランキング2位だ!」 ガルゴンは狂ったように高笑いし、ベフゾドが反撃する前に後ろへ飛び退いた、
ベフゾドは数歩後ろに下がり、打撃を受けた後で重く息をついた、「お前のパンチは、まるで山みたいだな」 彼は咳き込みながら言い、首を振って、戦いの構えに戻った。だが今、彼は足が少し速くなったように感じていた、'妙な感覚だ...あいつのパンチを受けたあとで、俺が速くなったみたいな...?'
ガルゴンは今度は、拳を突き出して飛びかかった。ベフゾドを簡単に上回っていると悟ったのだ。少なくとも彼はそう思っていた、「これを防げるもんなら防いでみろ!」
ガードは無駄だと悟り、ベフゾドは横へダッシュし、自分の体をくるりと回転させて、拳でガルゴンの鼻を打ち抜いた。
ガルゴンは本当に後ろへ吹っ飛び、舗装路に叩きつけられ、混乱して鼻を押さえ、目を細めた、「何だと...?!お前、あんなに痩せてるのに、どうしてそんなに強く殴れるんだ?!」 彼は純粋な当惑とともに言い、素早く体を起こして、次の突進に備えた、
一方、ベフゾドの頭の中では歯車がゆっくりと回り、足が遅くなったのを感じて、自分の拳を見つめながら、気づきに目を見開いた、'待てよ...あいつに殴られたあとで少し速くなって、殴り返したら元に戻った...ってことは...俺の能力は、ダメージを相手に返すのか?!'
ガルゴンはベフゾドの内心の思考を待たなかった。彼は再び飛びかかったが、今度は直接のパンチを繰り出すふりをして、実際にはベフゾドの脚の間をスライディングで滑り抜け、彼の背後に現れ、脇腹への蹴りで彼を回転させた。その後、ベフゾドの不意を突き、強烈な右フック、続いて左フックを繰り出し、ベフゾドが追いきれない速さの連続パンチで彼を覆い始めた、「俺の強さが見えるか、転校生?!見えるか、って聞いてるんだ?!」 ガルゴンは興奮して吠えた。最後の一撃で、ガルゴンはベフゾドの胸を直撃し、彼を後ろへ吹き飛ばして舗装路に激しく叩きつけ、額と鼻と口から血を流させた。
ベフゾドの目はぼやけ、立ち上がろうともがいた。彼は肉体のフローを再び発動した。自動的に切れてしまっていたからだ。だがそれから、彼は怒りで歯を食いしばって体を起こし、めまいで左右にふらつきながら、どこか興奮した声で言った、「ガルゴン...俺の能力が何をするのか、分かった気がする...」
「おお?まだ生きてやがるのか?」 ガルゴンは腕を組み、歯をむき出しにしてにやりと笑い、自信たっぷりに言った、「それで、お前の能力は何をするんだ--」
ガルゴンが言葉を言い終わる前に、ベフゾドは彼の真正面に現れ、丸一トン分の力で彼の顔を殴りつけた。
ガルゴンの笑みは一瞬で消えた、「な、今のは--」。だがベフゾドはそこで終わらず、止まることなく連続パンチでガルゴンを覆い続けた、
「俺の能力は...」 ベフゾドは殴りながら誇らしげにつぶやいた、「... 誰かに殴られると、俺の魂のフローが受けたダメージで満たされて、それを肉体のステータスに移し替える...そして肉体のフローは...」 ベフゾドはガルゴンを最後にもう一度殴り、モノクロの衝撃フレームを作り出した、「ダメージを利子つきで返すんだ!」
ガルゴンはベフゾドの最後の一撃のあと舗装路に倒れ、その表面に蜘蛛の巣状のひびを作った。かろうじて意識を保ち、顔中のあちこちから血を流している、「俺の...師匠でさえ...お前ほど俺を満足させてはくれなかった...」 彼は血まみれの笑みでつぶやき、興奮して息を吐いた、「俺は自分が強いと思ってた...だがここにお前がいる...」
ベフゾドは、ガルゴンと同様に自分のライフフローも切り、二人とも血を流しながら、ゆっくりとガルゴンを引き起こし、彼の腕を自分の肩に回して、保健室へ向かった、「俺の能力には名前が必要だと思うか?」
「ああ...」 ガルゴンは、ほとんど意識もないままつぶやいた、「好きなように名付けろ...」
「じゃあ...」 ベフゾドは一瞬立ち止まり、床を見た。それから、彼はガルゴンの方に再び視線を上げ、わずかに微笑んだ、「'スリープウォーキング' と名付けよう!」
ベフゾドがガルゴンを保健室まで送り届けると、保健の先生は血を流している二人のティーンエイジャーを見て仰天し、素早くガルゴンにしっかりと包帯を巻き、ベフゾドの額にも包帯を巻いた。その後、彼はガルゴンの番号を尋ねた。ライフフローについての情報が必要になった場合に、手に入れられるようにするためだ。また、ガルゴンは、フローの使い手はみな '花' と呼ばれることを明かした。ベフゾドが家に帰ろうとしたとき、その前に、彼は包帯を外してゴミ箱に捨てた。マリナに体調を疑われないようにするためだ。
午後7時だった。
マリナは、ベフゾドに食事をさせてもらったあと、舌を突き出して純粋な集中の表情で、携帯でアングリーバードをただ遊んでいた。
GTA 4をプレイしていたベフゾドは、突然考え込むようになり、マリナのクルパチャまで這っていき、彼女の肩に手を置いた、「マリナ」 彼は好奇心をこめて呼びかけた。
「ん?」 マリナは優しく声を漏らし、ゲームを一時停止して、首をかしげ、好奇心いっぱいにベフゾドを見上げた、
「これが見えるか?」 ベフゾドは魂のフローを発動し、左目を白く光らせた。
「え?!」 マリナは驚いて息をのみ、目を見開いた。彼女は携帯をテーブルに置いて、困惑して目を細めた、「これ何、ゾディクちゃん...?」
「これは 'ライフフロー' って言うんだ!」 ベフゾドは陽気に答えた。彼自身も、超能力が存在するという事実に大興奮していた、「教えてやろうか?」
「うん!」 マリナは即座に、すぐさまの興奮とともに答え、手をぱちぱちと叩いた、「教えて!」
「よし...」 ベフゾドは彼女の隣に座り、彼女の肩から手を下ろして、代わりに彼女の手を取った、「俺の質問に三つ答えなきゃいけない。お前は自分の魂の望みを知ってるか?自分の主な大罪を知ってるか?そして、自分を愛して受け入れてるか?」
マリナの陽気さは深い思案へと消え、彼女はうーんと唸りながら、天井を見つめた。ベフゾドは辛抱強く彼女の答えを待った。ついに、10秒後、彼女は答えた、「私の魂の望みは、ゾディクちゃんの錨になって、ゾディクちゃんと幸せな人生を送ること」 彼女はベフゾドの手を少しだけ強く握った、「私の主な罪は...たぶん、怠惰か悲しみ...それと...」 彼女は感謝の涙でいっぱいの目でベフゾドを見上げた、「前は自分のこと愛せなかった...でも、ゾディクちゃんが、私がゾディクちゃんの心臓がまだ動いてる唯一の理由だって言ってくれてから...私は自分のこと、限りなくもっと愛せるようになったの!」
彼女がその言葉を口にした瞬間、彼女の体の周りに白く純粋なオーラが形成され、手の色は淡い青に変わった。ベフゾドはすぐに彼女をぎゅっと抱きしめ、頬にキスをした、「おめでとう!これでお前も '花' だ!オーラを消すには、誰かを守ったり攻撃したりすることを考えるのをやめるだけでいい!」
彼女のオーラは一瞬で消え去った、「は、花...?」 マリナは好奇心いっぱいに尋ね、涙を拭った。彼女は彼の膝の上にまた座り、彼を見上げた、
「フローを使う人たちは、そう呼ばれるんだ」 ベフゾドは純粋な愛情から軽くくすくす笑って、彼女の鼻をつんと叩いた、「それとな!平均的な花は150年生きるんだ。体と魂がすごく深い調和の中にあるから、どちらも互いのもとを離れたがらないんだよ!」
マリナの目は純粋な愛情で細まり、彼の頬を掴んで上下につねり始めた、「花!すっごく面白い名前だね、ゾディクちゃん!」 彼女は興奮して言った、さっきの涙はもう消えていた、
ベフゾドはただ声を上げて笑い、彼女につねられるままにしていた。それから、彼は突然興味を持ち、彼女を見下ろした、「ところで、お前の肉体と魂のフローが何をできるのか、何か心当たりはあるか?」
「うーん...」 マリナは彼の頬を放し、顎をトントンと叩いた、「ううん...たぶん、ない...あ!」 彼女は突然はっと息をのみ、気づいた。自分がたった一回触れただけで、キトウとマイを友達にしたことを思い出したのだ、「私の能力は、魂を浄化することだと思う!」
「浄化?!」 ベフゾドは驚いて目を見開き、信じられないというくすくす笑いとともに首を振った、「お前、何者だ?!イエスか?!...」 彼は突然顎をトントンと叩き、どこか考え込むような様子になった、「... 待て、たぶん本当にそうだな。少なくとも俺にとっては。」
「ゾディクちゃん!」 マリナは純粋な愛情をこめて呼びかけ、すぐに彼に抱きつき、バニラの香りがする彼の胸に顔をうずめた、「恥ずかしいよ!」 彼女はくすくす笑いながら言い、彼を放そうとしなかった、
「ところで...」 ベフゾドは優しい好奇心でマリナを見下ろした。彼女は胸のあたりからわずかに顔をのぞかせた、「お前は自分の能力に、何て名前をつける?」
「うーん...」 マリナは天井を見上げたが、それでもベフゾドをぎゅっと抱きしめたままだった。それから、彼女ははっと気づいたように息をのみ、目を幸せそうな三日月形に細めた、「'ティアーズ・フォー・フィアーズ!'」
「オホホホホ!完璧な名前だ!」 ベフゾドはマリナの頭のてっぺんにキスをし、突然こみ上げた愛情の波に乗って、荒っぽく彼女を撫でた、「なんて創造的なんだ!」
「ありがとう、ゾディクちゃん、あはははは!」 マリナはくすくす笑い、胸の中の温かい気持ちで頬がバラ色に染まった、
笑い声と興奮は、午後いっぱい彼らのアパートに響き渡った。やがて二人はおやすみを言い合い、眠りについた。
つづく...




