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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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ドール:イグナ・ヴァルカ

ぞわっとした感覚に思わず手を出してしまったという様子だが、ドールにとってこれはあり得ない行動だった。


使役人形スレイブ・ドールあるじに支配されている限り自由意志では動けない。

それが、今この白い何者かに触れられて、アイシャのドールが勝手に動き出したのだ。


それに気付いたドール:イグナ・ヴァルカは歓喜した。

「うぉぉ、なんだぁ?動けるぞ!? ぃやっほぉぉ!」


「ちょっと、待ちなさいよ。どうして勝手に動いてるのよ?!」

アイシャは焦ってドールに話しかけた。


ちらっと流し目で少女を見るヴァルカ。

「そういやぁ、仕返ししてやりたい奴がもう一人いたっけなぁ」

「ひぃっ!」


その目を見てアイシャが小さく悲鳴を上げる。

「主人に歯向かうって言うの?!いいわ、あんたなんか消してあげる」

強気な発言で相手を脅迫するが、顔が青ざめているのがよくわかる。


「こんの、クソガキがぁ。このヴァルカ様をさんざこき使ってくれたなぁ」

「どどどドールなんだから、当たり前じゃない。この、あたしが呼んであげたんだからね!あんたなんか、こっちに来ることも出来なかったんだから!」


ヴァルカは顔を引きつらせて言う。

「ああ、呼び出してくれたことには感謝してるさぁ。だがなぁ、日がな一日、あーしろ、こーしろ。お使いやら部屋のかたずけやら。。。私は召使いじゃねーぞ!」


ナージャがあきれて口を開く。

「なんとなぁ。精霊を使役するという意味をはき違えてりゃせんかのお」

「精霊ってもっと荘厳な感じじゃないでしたっけ?」

風の祠を思い出しミリーが聞く。

「まあ、もともと精霊に自我はないんじゃが、あれはあの娘の性格が基になったんじゃろうな」


(だから、がさつなのか。。。)


「「誰がだ!」」

俺は両方に突っ込まれてびくっとした。


「結局、あんた何者なのよ。こいつがこうなったのも、あんたのせいじゃないの?」

「だれがこいつよ、このガキ」

また、にらみ合う。


(あー、それでそこの、おっぱいと幼女はうちのアインから俺を取り合いたいんだっけか?」


キッ!と主人と従者が俺をにらむ。

俺は、胸を揉むしぐさで手をワキワキさせて挑発した。


「あああ、あんた、何するつもりよ!」

なぜか二人がシンクロして胸を守るように隠す。

仲良しかい。。。


アイシャが汚いものを見る目でいう。

「あんなのやっぱり欲しくない。。。なんかむかつく」

「ご主人、奇遇だな私も今無性にぶん殴りたいやつがいるんだが」

二人の敵意がこちらに向いた。


「白さぁぁん。。。」

アインがあきれて不服そうな声を上げる。


(このままじゃ収集つかないだろ)

俺はこの状況を収めるため、あえて敵になることにした。決しておっぱいの感触が忘れられずに言い間違えたわけではない。

幸いにして、客のほとんどは広間から避難している。

残っているのは仲間と執政官数人にカーラだけだ。


エラランが泣いて懇願する。

「お二人とも、お止めくださぁぁぃ」

フアラはケタケタ笑い、ゴージは興味深げに戦いの行方を見守る。


(来るぞ!)

「纏え!白霧しらぎり!」

俺とアインは纏いを自在に行うための掛け声を予め決めていた。

俺の付けた名は、白霧の羽衣(しらぎりのはごろも)


新たに得た力を表す名前だ。


少年の体を透明な薄衣うすぎぬが幾重にも覆い隠す。


「はぁああ!」

ヴァルカの炎弾が俺たちに降りかかる。


大きな一発ではなく、無数の散弾を撃ってきた。

一つの威力は低くても足止めには十分な威力だ。


俺たちは火の雨を搔い潜り、ヴァルカの足元に迫る。

回転から一気に蹴りにつなげて、足を払う。


薙ぎ払ったと思った瞬間、手ごたえがないことに驚いた。


ドールの姿は消え、いつの間にか後ろにいたアイシャの傍らにいた。

「しまっ。。!」


予測のつかない動きについていけずに隙を作った。

ヴァルカの蹴りがアインを襲う。


炎蹴フレア・シュート!」

炎を纏った蹴撃が少年を焼く。


咄嗟に氷の盾を展開したが間に合わず、その勢いで砕かれた。

数メートル先まで吹き飛ばされる。


「へぇ、やるじゃん」

ヴァルカが称賛の声を上げる。


何とか炎は防げたが、蹴りのダメージはもろに食らった。


「アイン!」

仲間達がはらはらしながら見守る。加勢しようにも、武器は預けたままだった。


実体化した精霊の力は獣人と同等か、それ以上の膂力を持つように感じた。

「ぐぅ」

何とか立ち上がった少年は、どう戦うか頭を巡らす。

向こうは二人で位置を共有しているから、すぐに避けられてしまう。


こちらの攻撃は一方向だ。

だが方法はある。


(坊主、俺があのねぇちゃんを抑える。お前はあのクソガキをふん縛れ)

「わかった」


俺たちは攻撃に移ると見せかけ、ヴァルカの目の前で二手に分かれた。

一瞬どちらを追うか迷った隙に、俺はその豊かな胸に顔をうずめてしがみついた。


「ぎゃぁぁぁ!はなせぇぇぇ」


(行け!坊主!)

アインは、アイシャに向かって走り、勢い余って平手打ちを少女の頬に見舞った。


何が起こったかわからない顔をしていた少女が、頬の痛みに徐々に顔を歪ませる。

「び、びぇぇぇぇぇんんんん!」


「え?」

突然泣き出した少女にアインが呆然と立ちつくす。


「えぇぇぇん、いたぃぃぃ! わぁぁぁぁん!」

初めての痛みに心を乱し、幼い子供に戻ったように泣き出す。


ぼぉぉぉおおおおおお!


しがみついていたドールから勢いよく炎が上がった。

(わ、びっくりした)

思わず離れると、表情が消えて白目をむいたヴァルカが突っ立っている。

ドールの体から炎があふれ出し周りを焼き尽くす。


そして、広間は炎の地獄と化した。


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