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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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もう一人の王候補

「わぁぁ」

アインはその街の大きさに圧倒された。


一行は王城の城下町に到着した。

山肌を削って造られた城を望み、裾野のように広がる石造りの街が見える。

数千人の人々が暮らす城下町は活気にあふれ、かつて訪れた港湾都市を思い出す。

様々な色と形態、種族の違う人の行き交う大通りが城門へと続く。


一行が大通りを抜けて城を目指して歩いていると、城門からすごい勢いでこちらに走ってくる女性がいた。

白磁の門で別れたはずの火守役のカーラだ。

「坊ちゃぁぁぁん!」


いつもクールだったカーラとは思えないほど取り乱してアインの前に跪く。

「カーラさんどうしてここに?」

「御無事でよかったですぅ。門でお別れしてから、本国から行方不明になったと連絡が入って呼び出されて、事情を聴かれて責任を問われるわ。。。ああ、再びお会いできました。。。えっぐぐぅ」

話しているうちに泣き出しそうになって堪えるカーラ。


「苦労したんじゃのぉ」

ナージャが察して労う。


「お見苦しい所を見せた」

キリっと立ち直りいつもの姿に戻るカーラ。


「でも、どうして私たちの場所が分かったんですか?」

ミリーはすぐに飛んできたカーラを不思議に思う。


「物見があなた方の姿を見つけて報告してきたのでな。予め特徴を知らせておいたのだ。さあ、ご案内しますので参りましょう、坊ちゃん」


カーラに案内されて城門へ向かった。

城門は常に開かれており、人々が行き交っている。

城門を抜けたその先の中庭に市場がたっていて、人々の活気ある声でにぎやかだ。


「城を解放して市場にしてるのか」

カイルが感心したようにつぶやく。


「ああ、ここなら悪さを働けばすぐに衛兵が来るからな。商人が安心して商売をするためさ」

カーラが説明してくれた。


中庭を抜けると山肌に沿って登り道になり第二の門が現れる。

王城へは山肌に作られた城壁を登り、その先の門をいくつも通ることで辿り着ける作りになっていた。


カーラが道案内をしてくれて、門番に話を通し一行はすんなり通過することが出来た。

何度目かの門を通過すると王城の入り口に辿り着いた。


入口を抜けると広いエントランスがあり、そこに大勢の人が整列して待っていた。

「っ!」

アインはそのように大勢に迎えられた経験が無いためびくびくしている。


「ようこそ!アイン様」


先頭に並んでいた数人の中の一人。森人エルフの男が前に出てあいさつをする。

「私は、この城で筆頭執政官を務めている、エラランと申します。父から連絡を受けてお目にかかるのを楽しみにしておりました」


森人エルフの長であるウェレランの息子らしい。

前に並んでいる数人が執政官なのだろう。


土穴族ドワーフ草人ハーフウッド有翼族シルフ)、魔族の執政官もいる。


皆がそれぞれ名を名乗り少年を歓迎する。


ぼばぁぁぁ。。どかああん!

突然、炎の弾がアインの目の前に現れ爆発した。


「あんたがもう一人の王候補? ずいぶん小さいじゃない」


人垣が道を作るその奥に、真っ赤なドレスを着た小さな女の子がいる。

金髪の縦ロールをふぁさっと手で払い、生意気そうなその目でこちらを見る。

その傍らには、今、炎の弾を放ったであろう精霊が仕えている。


突然の蛮行に人々は度肝を抜かれて困惑した。


「ななななな、なんてことをしてくれるんですかぁぁぁ! 姫ぇぇぇ!」

エラランがその女の子を大声で叱る。


「あいさつ代わりよ。この程度でやられちゃうなら王候補失格じゃない?」


爆発の煙が消え、そこには氷の盾を展開した少年がいた。

自らと仲間を咄嗟に守り、油断することなく言葉を発する。


「君は。。。だれ?」


「あたしは、アイシャ。アイシャ・クレイ、あんたと同じ王候補よ」

ふふんと、小馬鹿にしたように名を名乗る。


ナージャはあきれてその娘を見る。

「ずいぶんと物騒な娘じゃのぉ」

「師匠、あの隣にいるのって。。。」

「ああ、ドールじゃな。わしも初めて見た」


使役人形スレイブ・ドール。精霊を実体化させて主に従わせた人形だ。

主人に絶対の忠誠を誓わされた憐れな精霊。


「つまり、あいつもアインと同じ精霊魔法の使い手ってわけだ」

カイルが剣に手をかけて言う。


「形は違うみたいだけどね」

リタも気付かれないように、ガルフからもらった螺旋の針(ヘリックス・ニードル)を手にする。


カーラが間に入って一触即発の状況に待ったをかける。

「おおお、お待ちください!お気持ちは分かります。少しだけお時間をください」


「姫!やりすぎです!」

「あら、カーラじゃない。久しぶりね」

道端で友人に会った気軽さで少女が声をかける。


「あら。。。じゃないですよ。何てことしてくれたんですか。。。」

「だぁって、弱っちそうだったんだもん。そんなんで、あたしと勝負しようなんて100年早いのよ」

「あなた、7歳じゃないですか。。。」

「いいの!」


「なんだよ、人の事小さいって、自分だって。。。僕と年だって変わらないじゃないか」

アインは、さっきから小ばかにされてむっとしている。


「あら、生意気なこと言うのね。なら、ここで勝負する?」


「かぁぁぁぁっつ!」

今まで黙っていた土穴族ドワーフの執政官ゴージが大声を発して動きを止めた。

その大音響に、そこにいる全員が耳を塞いで縮こまる。


「姫、おいたが過ぎるようですな。何でしたら、このゴージがお相手しますぞ」

「。。。」


アイシャはまずいやつを怒らせたと、ばつが悪そうな顔をする。


「ま、まあいいわ。歓迎してあげる、喜びなさい。。。行くわよ」

爆発娘はドールに抱きかかえられ退散した。


「なんだったんだぁ?」


後に残された少年たちは、ポカーンとした顔で見送るのだった。



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