ドワーフの贈り物
その後も、ゴーレムの掘削が続けられた。
中には、金、銀、胴や、魔力によって変質した希少な鉱物の宝庫だった。
「おぉーーーーい、こっち来てくれ!」
「こ、こりゃぁ」
どうやら、すごいお宝が見つかったようだ。
こぶし大の銀色の鉱物が魔力により光を帯びている。
「これ、銀魔鉱石じゃねーか」
それは希少と言われるものの中で、さらに希少な魔力を帯びた鉱石だった。
「おーーい、リターーーー!こっち来てみろ!」
腰を掛けて様子を見ていたリタが親方に呼ばれ、立ち上がる。
「なんだい?」
「これ見てくれ、銀魔鉱石だ」
「へぇ、これが?」
話にしか聞いたことのない金属を目にして、反応が薄い娘にガルフは興奮して言う。
「おいおい、これがどれだけ貴重か分からんか?めったにお目にかかれる代物じゃないんだぞ」
そう言って、リタに銀魔鉱石を渡す。
きょとんとして受け取るリタ。
「これはお前のもんだ」
「へっ?いいのかい。今貴重なものだって。。。」
「今回の一番の功労者はお前だ。これは、一番手柄を立てたものが手にするのがふさわしい。なあ!みんな!文句は無いよな!」
「おー、嬢ちゃんが持つべきだ」
「そうだ。嬢ちゃんのおかげで倒せたんだから、それはあんたの物だ」
皆が口々に礼を言って、リタの功績をたたえる。
「じゃあ、ありがたくもらっておくよ。でも、これどうしたらいい? 親方」
「俺に良い考えがある。一旦、俺に預からせてくれねーか?」
異もなくうなずく。
「ああ、任せたよ」
それから、村に戻り、今回の戦果を分かち合った。
戦いを勝利に導いた娘を村人は褒めたたえ、軍司の再来と祭り上げた。
その後も、リタは鍛冶の仕事を手伝いながら仲間を待った。
ゴーレム討伐から数日後、親方が渡したいものがあると言ってリタを訓練場に呼び出した。
「出来上がったぞ、これだ」
杭のような形の棒を3本渡された。
魔力の輝きで銀魔鉱石製なのが分かる。
「なんだいこれ?」
「まずは、あれを使って投げて見ろ」
言われるままに、風の魔法を使い準備する。
的に向かって、その杭を投げると。
キュイン
初めは針か杭のようだったそれは、つむじ風に近づくと形が変わった。
先端だけ残し、薄い板が螺旋に広がり中空状態になる。
板状に変化した箇所がねじれて、風を受けると横回転の力をドリルのように縦に変える。
ズギギギ、ガッガコン
回転しながら的に当たったそれは、鎧人形を貫通し後ろの岩を砕いた。
「これって。。。」
リタはその威力に目を丸くしている。
「おお、成功したか!お前のナイフを見た時から考えてたんだよ。ただ材料が見つからなくてな。それで、銀魔鉱石を使ってみたんだ」
「すごいよ、これ。ありがとう!親方」
リタは親方に抱き着いて感謝を述べた。
「お、おい。やめろって、わはは」
親方もまんざらでもなく照れる。
「あと、他にも使い方があってな。。。」
使い方を教えてもらい、名付けを行う。
ライアー、ロシュネー、レイアとしてわが身の分身とすることを誓った。
それから、数週間経ち、仲間たちの乗った馬車がこの村に到着した。
この村とも別れの時が来た。
「行くのか?」
「ええ、本当にお世話になりました」
「こっちこそ、助かったよ。また近くに来たときは寄ってくれ。村人全員で歓迎するよ」
「うん、親方の事も教えてもらった鍛冶の技も忘れないよ」
「達者でな」
親方の目に光る物を見つけ、リタは嬉しそうに手を振り別れを告げた。
仲間たちの元に走る娘を、ドワーフの鍛冶屋は寂し気に見送った。




