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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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日常

「おはよう。起きたな。寝坊助ねぼすけ

父親が笑顔で迎えてくれる。

髪の毛の代わりに蛇がうねうねと動いている。下半身は蛇の尻尾が2つに割れたような姿をしていた。


「おはよう父さん。母さん今日の朝食なに?」

特に父の姿を不思議とは思わず、母に朝食の献立を聞く。


「黒パンと隠れねずみの燻製肉と、血吸い鳥の卵の目玉焼きよ」

「わぁ、おいしそう」

ん?どんな味だったかな?

少女の違和感は朝食の匂いでかき消された。


朝食を恐る恐る口に運び、味を確かめる。

うん、食べられそうな味だ。

ん?いつも食べているのに何でびくびくしてるんだろう。


自らの行動と認識の違いに少女は戸惑う。


「どう、おいしい?」

「うん」

母と会話すると、そんな違和感はどうでもよくなる。


「父さんは今日も狩りに行くの?」

「おう、今日こそ大物を獲ってくるから期待してろよ」

「あまり無理しないでね」


いつものありきたりな家族の会話だ。

うん、おかしなことは無い。

少女の中で生まれた違和感は薄氷のように溶けていった。


。。。


数日が過ぎた。


毎日が変わらず、退屈な日々が流れていく。

家族との会話に笑い、時に喧嘩して仲直りして、ああ、幸せだなぁと少女は感じていた。


時々ふと涙が流れる。

理由もわからず沸き起こる悲しみに抗えず、部屋にこもっていると優しい両親が心配してくれる。


「大丈夫?何処か痛いの?」


母の声を聴くと不思議と悲しみが薄れていく。

扉を開けて母に抱きしめてもらうと、その悲しみは遠くにある陽炎のように朧げになる。

すぐに元気を取り戻して少女は笑った。


退屈でつまらない毎日が、どうしてこんなに愛しくて涙が出るほどうれしいのか。

少女はそれに気づくこともなく、その生活を繰り返していた。


その日も、いつも通りの日になるはずだった。

「さあ、今日は母さんの手伝いで山菜を取りに行ってから、魔法の修行をして。。。ん?まほう?」


自分で口にした言葉が、頭の中で繰り返し鳴り響く。


魔法って、なにを言ってるの。。。わたし。

その言葉を思い浮かべるたびに、記憶の断片が押し寄せる。


「。。。そうだ、私の杖。どこだろう」


今まで考えもしなかった、その存在を思い出す。


「。。。こっち?」


誰かに呼ばれたような気がして、ふらふらと外に出る。

柳のような木の根元にそれはあった。


「あなたが私を呼んだの?」


どうして今まで気が付かなかったのだろう。

少女は、その杖を手にする。


「え?」


その瞬間、全ての記憶が戻った。

手にした杖の宝珠に光が宿っている。


そして、振り返ると一軒の家が見える。

パキーーン

ガラスが砕けるような音がして、景色が変わる。


目の前に両親として接してきた魔族の夫婦がいた。

「やはり、気づいてしまうのね」

「ああ、仕方ないことなんだよ」


哀しい目をして夫婦は少女には分からない会話をする。

危害を加えることがないことは、ここ数日接して分かる。


「あなたたちは、私をだましていたの?」

「。。。ごめんなさい」


少女は怒るでもなく理由を尋ねた。

「なぜ、こんなことを?」

「少し長くなる、向こうに行って話そう。大丈夫、この術は一度破られれば再びかかることは無い」

それは事実なんだろう。

少女の心を捕らえる魔術が効力を失ったことを感じる。

毎日暮らしていたはずのその家を、懐かしいとは思えなくなっていた。


中に入ることは躊躇われたため、庭に面したオープンデッキにある椅子に腰かけた。


二人は近くでお互いを支えながら少女に語りかける。

この地に来た理由と、そこまでに至る事情を。


彼らは、まだ普通人(ネイティ)だった時のことから語り始めた。



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